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ブロックチェーンを使いこなす勘どころ、教えます
講師/日立製作所 Blockchain推進部 佃 美和

社会を変える技術として注目を集めるブロックチェーン。しかし、いざトライしてみると思ったような効果が出ない、というケースも少なくないようです。そこで、ブロックチェーンのメリットをビジネスでしっかり得られるよう、日立のエキスパートがその潜在能力を余さず引き出す勘どころをお伝えします。

まずは、ブロックチェーンのしくみをおさらい

まず、ブロックチェーンのしくみのおさらいからはじめましょう。

ブロックチェーンは、取引の履歴を集めたブロックを一定時間ごとに生成して、それをチェーンのようにつないだものを、すべての参加者が共有するしくみです。

これまでは公正な取引を行うために第三者機関の仲介が必要でしたが、ブロックチェーンなら個人どうしが直接取引をしても、参加者全員がすべての履歴を管理しているので公正さを担保できるのです。

ブロックチェーンは暗号資産(仮想通貨)の基盤技術としてはじまりましたが、安全に所有権の移動や清算を行えるというメリットによって、幅広い業界から注目を集めています。

ブロックチェーンの5つの特長を押さえましょう

ブロックチェーン導入に向けてのはじめの一歩が、ブロックチェーンでビジネスをどう進化させたいのか、しっかり考えること。そのためにブロックチェーンの特長を押さえておきましょう。

(1)非中央集権

特定の管理者を介さずオープンに、公正な取引が行えます。幅広い参加者の間で取引を行うオークションや、特定の機関に依存せずどこでも使える身分証明の実現などが期待できます。

(2)耐改ざん性

後から取引履歴を変更することがきわめて難しいしくみです。厳密さが求められる土地の移転記録や電子カルテなど個人情報の記録などに役立ちそうです。

(3)透明性

すべての履歴が記録されていますから不具合が起きた時、参加者をまたいだ原因究明が容易です。製品のトレーサビリティはもちろん、例えばダイヤモンドの採掘から顧客までの流れの保証などにも活用できます。

(4)耐障害性

中央ですべてを管理するのではなく、複数のノードでデータを分散管理する障害に強いしくみです。社会インフラシステムも任せられます。

(5)自動取引

ブロックチェーンではスマートコントラクトという機能によって取引プロセスを自動化できます。これにより押印や署名など契約のための煩雑な業務を効率化できます。

いかがですか。ブロックチェーンを使ったビジネスのイメージ、浮かびましたか。

ビジネスに合わせて選べる3つの「型」があります

ブロックチェーン基盤には情報の共有範囲によって3つの型があります。ビジネスがイメージできたら、適した型を選択します。

パブリック型

誰もがノードを立てることができ、自由に取引に参加することができるブロックチェーンです。暗号資産(仮想通貨)は、このパブリック型を使って世界中の誰もが使えるブロックチェーンを実現しています。

誰もがノードを立てることができ、自由に取引に参加することができるブロックチェーンです。暗号資産(仮想通貨)は、このパブリック型を使って世界中の誰もが使えるブロックチェーンを実現しています。

コンソーシアム型

限定された複数企業間での利用を前提としたブロックチェーンです。情報の共有範囲をコンソーシアム(「組合」の意味)内でとどめることによって、B2Bビジネスでの信頼性を確保しながら、参加企業はブロックチェーンのメリットを受け取ることができます。

限定された複数企業間での利用を前提としたブロックチェーンです。情報の共有範囲をコンソーシアム(「組合」の意味)内でとどめることによって、B2Bビジネスでの信頼性を確保しながら、参加企業はブロックチェーンのメリットを受け取ることができます。

プライベート型

単一組織内でのやりとりを前提につくられているのが「プライベート型」です。コンソーシアム型の情報共有範囲をさらに狭めたもので、企業内での財務データや人事データなどの活用に適しています。

単一組織内でのやりとりを前提につくられているのが「プライベート型」です。コンソーシアム型の情報共有範囲をさらに狭めたもので、企業内での財務データや人事データなどの活用に適しています。

B2Bのビジネスが目的ならば、コンソーシアム型に絞られるのではないでしょうか。コンソーシアム型ブロックチェーンを実現するフレームワークの代表選手が、オープンソースのHyperledger Fabricです。ビジネスでの使い勝手を高める機能を数多く持っています。

B2Bのビジネスが目的ならば、コンソーシアム型に絞られるのではないでしょうか。コンソーシアム型ブロックチェーンを実現するフレームワークの代表選手が、オープンソースのHyperledger Fabricです。ビジネスでの使い勝手を高める機能を数多く持っています。

コンソーシアム型基盤の代表選手、Hyperledger Fabric

例えば、分岐の問題。パブリック型では運用的にブロックチェーンが複数に分岐する可能性があり、その時、短いチェーンは無効になります。すなわち短いチェーンの取引が覆される可能性があるのです。これはB2Bビジネスでは絶対に許されません。Hyperledger Fabricは、一度行われた取引が間違いなく確定するようチェーンの分岐が起きないしくみを実現しています。

他にも、必要最小限の相手とだけ情報共有する機能や増加するトランザクションに柔軟に対応する機能など、Hyperledger FabricはB2Bビジネスに欠かせないしくみを揃えています。

次回は、読者の皆さんのブロックチェーン導入のイメージがさらに膨らむよう、Hyperledger Fabricの具体的な適用例をご紹介していきます。

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