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1990年代後半以降のインターネットバンキングの登場により、年を追うごとに銀行に足を運ぶ機会が減ったと感じている方も多いのではないでしょうか。昨今ではスマートフォンアプリで完結する金融取引サービスも次々と拡充され、この傾向はコロナ禍を経てさらに加速しています。

店舗窓口(対面チャネル)の利用者が減少しているなか、金融機関においては、地域から都市部への人口流出や、取引先である中小企業の減少といった地域特有の課題にも直面しています。お客さまの足が店舗から遠のき、お客さまの数自体も減っている今、金融機関が収益力を回復させるには、行員の業務負担の軽減などによるコスト削減や、新たな収益の柱となるビジネスモデルの創出が不可欠となっています。

では、金融機関の収益力回復のための具体的な打ち手には、どのようなものがあるのでしょうか。本稿では金融機関の「トップライン拡大」と「コスト削減」を支援し、金融機関のお客さまによりよい顧客体験を提供することができる日立のネット×リアルチャネルソリューション*についてご紹介します。

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「ネット×リアルチャネルソリューション」は日立の登録商標です。

金融機関に求められるチャネルシフトとは

トップラインの拡大とコスト削減を両立させるには、従来の金融機関の業務をデジタルシフトする必要があります。従来の営業店端末(リアルチャネル)とインターネットバンキング(ネットチャネル)は、今後、ATM・店頭タブレット・スマートフォンアプリ・相談端末や、金融機能の他企業への提供(異業種連携)といった非対面チャネルでの“セルフサービス”にシフトしていくでしょう。

これにより、窓口事務の人員コストや営業店端末の運用コストを削減することができるとともに、店舗での待ち時間の解消などによる顧客満足度の向上が期待できます。また、窓口事務を行っていた人員を、より収益性の高いコンサルティング業務などへ配置転換を図ることで、トップラインの拡大にもつなげることができます。

従来は、リアルチャネル、ネットチャネルがそれぞれ独立して金融取引を提供していました。これからは、より多くの業務をデジタルシフトするために、対面による丁寧な対応が可能なリアルチャネルと利便性が高いネットチャネルを、それぞれの特性を生かしつつ、ATMなどの非対面チャネルで融合していくことが必要です。これが日立の考えるチャネルシフトであり、それを実現するのがネット×リアルチャネルソリューションのソリューション群なのです。

金融機関に求められるチャネルシフト:従来のリアルチャネル(営業店端末)・従来のネットチャネル(インターネットバンキング)→今後重要となるチャネル(ATM(セルフキャッシュ)・店頭タブレット・スマホ・相談端末・異業種連携)

イメージ図:金融機関に求められるチャネルシフトとは(拡大)

日立のネット×リアルチャネルソリューションで実現できること

本稿では日立のネット×リアルチャネルソリューションの中から、4つのソリューションを抜粋してご紹介します。

1. 窓口業務のチャネルシフトを加速し、非対面・非来店取引を促進する「Branch in Mobile」

従来、窓口対応が必須だったさまざまな金融取引を、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末でお客さま自身が行えるようにするのが、この「Branch in Mobile」です。現金・現物(通帳、伝票、印鑑、本人確認書類など)を扱う取引以外はすべてネット上で完結。いつでも・どこでも手続きが可能になり、お客さまの利便性が向上します。また、現金・現物を扱う取引についても、あらかじめWeb上で入力した内容をATMや店頭タブレットに引き継ぐことで、セルフ化が可能なため、行員の業務負担減につなげられます。
現在は、営業店の店頭タブレットを用いた金融取引のセルフ化・非来店化の施策として、複数の銀行様に導入いただいています。

イメージ図:窓口業務のチャネルシフトを加速し、非対面・非来店取引を促進する「Branch in Mobile」

イメージ図:窓口業務のチャネルシフトを加速し、非対面・非来店取引を促進する「Branch in Mobile」(拡大)

2. 改正犯収法に対応した、安全かつ利便性の高い本人確認処理を実現する「eKYC支援サービス」

オンラインでの本人確認を実現する「eKYC支援サービス」。ネット上での契約や口座開設時の本人確認手続きに要する行員の業務負荷を軽減します。お客さまは自宅から本人確認手続きをスムーズな撮影操作により行えるようになり、利便性の向上につながります。
また、オンラインによる本人確認手段として、公的個人認証サービスも取り揃えており、2023年6月にデジタル庁より示された、公的個人認証への一本化の方針にも対応可能です。

eKYC支援サービス(ICチップ読取または券面撮影でセルフィー写真と照合 → 金融機関で本人確認を実施)

イメージ図:eKYC支援サービス(拡大)

3. 短期間で法人向けポータルサイトを構築できる「法人向けデジタルチャネル統合プラットフォーム」

店頭での顧客接点が減少しているなかで、銀行と法人のお客さまの新たな接点となるのが、「法人向けポータルサイト」です。ここでさまざまな情報を発信することで、日常的な顧客接点の創出や、銀行と企業の関係構築を促進できます。また、お客さまの属性情報や閲覧履歴などに応じて、個社に向けたOne to Oneメールを送信したり、ポップアップバナーでレコメンドしたりすることもでき、行員によるコンサルティング活動に役立てることも可能です。

イメージ図:「法人向けデジタルチャネル統合プラットフォーム」

イメージ図:「法人向けデジタルチャネル統合プラットフォーム」(拡大)

4. オープンイノベーションによる新たなビジネスの創出を支援する「オープンAPI管理サービス」

APIを公開することで、銀行とFintech企業のような外部のサードパーティーとの間で、安全にデータを送受信できるようになり、新たなビジネスの創出をスムーズに進められます。「オープンAPI管理サービス」は、高度にセキュアな環境で、行員自身の手によるAPIの作成・管理を実現するものです。APIの作成・管理を外部に委託しないことで、外部環境やお客さまのニーズの変化に、スピーディかつ柔軟に対応できるメリットがあります。

イメージ図:「オープンAPI管理サービス」

イメージ図:「オープンAPI管理サービス」(拡大)

日立がチャネルシフトの最強のパートナーになり得る理由

日立は長年にわたり、多数の銀行に、勘定系システムなどのバックエンドシステムや、金融機関とお客さまとの接点を担う営業店システム、ATM、インターネットバンキングといった各種チャネルのシステムを提供してきました。

また、日立の豊富なソリューション群だけでなく、他社ベンダーの勘定系システムとの接続や、金融機関の既存の複数チャネル間のシステム連携を実現してきた実績が豊富にあることから、各金融機関の置かれた環境やご要望に合わせて、それぞれ異なる課題に寄り添った最適解をご提案ができるというのが、日立の一番の強みであると考えています。

日立のネット×リアルチャネルソリューションは、潤沢なソリューション群を有しており、それらの最適な組み合わせをご提案することができます。スマートフォンアプリの開発(デザイン含む)や継続的インテグレーション/デプロイ(CI/CD)環境構築などにも対応可能です。

昨今では、激しい時代の変化に対応すべく、ローコードツールなどを活用して内製化に着手する金融機関も増えてきました。ネット×リアルチャネルソリューションでは内製化を支援するソリューションやサービスも提供しています。

秀間さん・野中さんの写真
今回の語り手:金融第一システム事業部 全国金融システム本部 チャネルソリューション第一部
秀間 信弘さん(左)、野中 美希さん(右)

語り手より

このように、日立は大小問わず幅広い金融機関のDXを強力に支援することが可能であり、金融機関からお客さまへのネットとリアルを融合した最適な顧客体験の提供を支援していきます。チャネルシフトにご興味のあるお客さまは、ぜひお気軽にご相談ください。