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昨今、ビジネス環境の変化やテクノロジーの進展により、業界業種を問わず、「ノーコードツール」への注目が高まっています。

ノーコードツールとは、その名の通り、プログラミング不要な「ノーコード開発」を支援するツールのこと。このノーコードツールを使えば、プログラミング知識を持たない非エンジニアであっても、GUI上の簡単な操作だけで、スピーディーにWebサービスやアプリ開発を行えるようになります。

一見、良いこと尽くめに思えるノーコードツール。しかし、あまたあるノーコードツールの中から、自社に最適なソリューションを選ぶのは、容易なことではありません。本稿ではノーコードツールが求められる時代背景を探るとともに、ノーコードツールを選定する際に重視したいポイントをご紹介します。

なぜノーコードツールが必要なのか

これまで社内のシステム部門に任せきりだったところから、営業やマーケティングといったビジネス部門で働く人たちが自分の欲しいシステムを作るのに役立つとして、人気が高まっているノーコードツール。

消費者の価値観が多様化するなかで、顧客のニーズに迅速に対応していくためには、時間をかけて重厚長大なシステムをスクラッチで開発するよりも、トライ&エラーでクイックにエンハンスを重ねたほうが理想的なシステムに近づけやすいと考えられるようになってきています。

ビジネス部門がノーコードツールを使うようになると、システム部門にもメリットがあります。近年、クラウド技術が浸透してきたことにより、どこにいてもノーコードツールを介してビジネス部門とコミュニケーションを取りながら開発できるのです。

特に金融業界においては、長年にわたる既存システムの複雑化によって、新たな商品を追加する際の改修に多額の費用が発生している状態であり、開発効率向上とコスト低減によるレガシーシステムによる制約からの脱却が喫緊の課題となっています。

また、COBOLに代表される古いプログラミング言語を扱える技術者の多くが2025年までに定年を迎えるため、第一線でシステムを守ってきた人材が大きく不足する懸念がされています。そのため、専門的なIT知識を必要としないノーコードツールを開発に使う利点は、より大きくなっていると言えるのではないでしょうか。

デジタルトランスフォーメーションは、なにもエンドユーザーとしてのビジネス部門だけのために行うべきものではありません。将来の成長・競争力強化のために、ノーコードツールを含むデジタル技術を活用しながら、新たなビジネスモデルの創出と柔軟な改変に向けて、システム部門とビジネス部門がより密接に連携しながら、迅速な開発を進めていくことが求められているのです。

金融業界に強いノーコードツール「Unqork(アンコルク)」

では、ノーコードツールを使うと、何をどんなふうに作ることができるのでしょうか。北米の金融機関や生命保険会社を中心にグローバルに展開しているノーコードツール「Unqork」を例に見てみましょう。

Unqorkはコーディングを一切必要としないノーコード開発ツールです。画面の左側にあるモジュールをドラッグ&ドロップするだけで、電子署名やファイルアップロード機能などを追加することができ、商品のお申し込みフォームのようなWebアプリを簡単に開発できます。

このような開発環境だけでなく、実行環境もクラウド上で提供されるため、環境構築や運用も必要ありません。また、CRMツールをはじめとする他システムとも、APIによってGUI上で簡単に連携することができます。

さらに、個人情報を取得するシステム開発で気になるセキュリティに関しても、SOC2 TypeIIといった各種コンプライアンス基準に準拠しています。脆弱性診断として、Unqork側でペネトレーションテストや第三者機関におけるコード解析も定期的に実施しているため、安心して利用できます。

Unqorkが得意とする領域は、お客さまに接するフロントエンドのシステム開発です。特に、金融業界で豊富な実績を有するため、金融業界でよく使われるモジュールが用意されているという特長があります。

たとえば、Excel関数で計算できる機能を使えば、契約者の生年月日をもとに契約年齢を算出したり、そこから保険料を算出して見積もり額を提示したりすることも可能です。

加えて、Unqorkはレスポンシブデザインにも対応。PC・スマートフォン・タブレットのUI/UXを一括で設計できるメリットがあり、「保険商品のダイレクト販売システム」や、「金融機関の会員向けマイページ」など、継続的なUI/UXの改善が求められるシーンで幅広く活用されています。

それだけではありません。Unqorkのスピーディーに開発できる特長を活かし、ニューヨーク市では新型コロナウイルスの対策システムを約3日間で開発した実績もあります。このシステムは、感染者や濃厚接触者の申請により、市から食料の配達などの支援サービスを提供するものです。

多くの人が利用する公共サービスをノーコードで開発する。しかもわずか3日間で。そんな世界が今や現実のものになっているのです。

ノーコード開発で失敗しないために大切なこと

ノーコード開発は、開発期間の短縮やコストの低減、サービスの品質の向上に大きく貢献します。Unqorkのお客さまからは「最低でもスピードは3倍、コストは3分の1になった」という声も上がっています。

だからと言って、あらゆるシステムをノーコード開発で作れば良いというものではありません。

ノーコード開発の醍醐味を味わうには、ノーコードツールの特性を深く理解したうえで、最適な箇所に最適なソリューションをあてはめていく発想が不可欠です。たとえば、既存の顧客データベースや商品データベースとUnqorkを連携して、社内に点在する情報をUnqorkから呼び出せるようにしておくことで、お客さまが必要なときに必要な情報にアクセスできるようになる。そうすればお客さまの満足度が向上し、ロイヤルティも高まるはずです。

さらに、ノーコードツールを導入する際は、テンプレートを活用することにより作業効率とスピードの向上を重視する、または逆に、自社の要件に柔軟に対応するために一部コーディングを許容するなど、効率化と柔軟性のバランスを考慮する必要があります。

通常、ノーコード開発では、既成のモジュールを組み合わせてUI/UXを構築することから、いちからスクラッチ開発するのに比べて、どうしてもデザインの幅が狭まる傾向にあります。

デザインありきでノーコードツールを使ってWebアプリを開発しようとすると、「どうやって実装すれば良いのかわからない」「こんなに工数がかかるなら、スクラッチにしたほうが早かったのではないか」といった事態に陥りかねません。

そこで日立では、Unqorkの仕様を熟知しデザイン性にも優れた、日本国内向けのテンプレート群をご用意。こちらをご利用いただければ、Unqorkの機能を効率よく活かしながら、デザイン性の高いWebアプリを開発していただけます。
日立はUnqorkの日本国内初のソリューションパートナーに認定されており、ライセンスの再販や技術サポートを行なっています。日立を通じてUnqorkを導入すると、米国のUnqork社に対する英語での問い合わせの代行や、Unqorkに適した日立独自のテンプレートをご利用いただくことが可能です。

2025年の崖が目前に迫る今、レガシーシステムの維持・保守業務から貴重なIT人財を解放するためにも、ノーコード開発によるデジタルトランスフォーメーションを始めてみてはいかがでしょうか。

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Unqorkは、Unqork Inc.の米国およびその他の国における登録商標です。
Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。