ページの本文へ

第一生命保険株式会社

IT基盤の仮想化

「Hyper-V」と日立のオープンプラットフォーム製品で全社IT基盤の仮想化プロジェクトを実施。
経営戦略遂行のさらなるスピードアップを目指す

生保大手の第一生命保険株式会社(以下、第一生命)は、全社IT基盤の仮想化プロジェクトを実施。基幹オンラインシステムなどのビジネスを支える重要な各業務サーバを、Windows Server® 2008の標準機能である「Hyper-V」で構築された仮想化基盤へ集約する一大プロジェクトだ。同社は、国内総合ベンダーならではの高い総合力やサポート力、Windows®関連ソリューションの導入実績などを評価し、プロジェクトのパートナーとして日立を選択。多くの日立のオープンプラットフォーム製品が、新たな仮想化基盤を支えている。同社は、約330台のサーバを約70台に集約すると同時に、CO2排出量の大幅削減にも役立てている。

経営戦略の迅速な遂行を目指し会社形態を株式会社化

稲垣 繁氏の写真
第一生命保険
株式会社
IT企画部
IT企画課
次長
稲垣 繁氏

「お客さま第一主義」を創業以来の基本理念として掲げる第一生命。さらなる成長を目指してさまざまな施策を展開している。

中でも注目されるのが、2010年4月に実施した相互会社から株式会社への転換だ。

「市場環境が大きく変化する中、保険会社にも経営戦略遂行のさらなるスピードアップが求められています。これを実現するのが、今回の株式会社化の最大の狙いです。我々IT部門としても、タイムリーな企業経営を支えるIT基盤作りに力を注いでいます」と稲垣氏は語る。

日立をパートナーに選び全社IT基盤の仮想化に着手

岡田 潤一氏の写真
第一生命
情報システム
株式会社
基盤システム
第一部
コンサルタント
岡田 潤一氏
林 吾郎氏の写真
第一生命
情報システム
株式会社
基盤システム
第一部
オープン技術
グループ
担当リーダー
林 吾郎氏

以前より同社では、IT基盤の全体最適化を推進しており、2005年には拠点系オンラインシステムを全面刷新。サーバ台数を大幅に削減するなど大きな成果を挙げてきた。

さらに今回、こうした取り組みをもう一歩進めるプロジェクトに着手。基幹オンラインシステムやグループウェア、ファイルサーバなど、ビジネスを支える重要な各業務サーバを、全面仮想化する一大プロジェクトだ。

IT基盤の仮想化を行えば、開発用サーバなどの調達にかかる時間や手間を割愛でき、経営戦略遂行のさらなるスピードアップに柔軟に対応できる。

開発の効率化やリソースの有効活用など、今後のIT基盤のあるべき姿を考えれば、仮想化は必然の取り組みだった。

同社は仮想化環境を実現する基盤として、Windows Server® 2008の標準機能である「Hyper-V」を採用。

「仮想化レイヤーに他ベンダーの製品を利用した場合、問題発生時の原因切り分けなどに手間と時間を費やすことになります。その点、マイクロソフト社製品同士の組み合わせなら、こうした点に煩わされる心配がありません。将来性の面でも安心できるため、Hyper-Vを採用しました」と岡田氏は説明する。

また、プロジェクトのパートナーには、国内総合ベンダーならではの高い総合力やサポート力、Windows®関連ソリューションの導入実績などを評価して日立を選択。

「日立は当社の環境をよく理解してくれている上に、高品質・高性能な製品を数多く取り揃えています。さらにマイクロソフト社との連携も密であるなど、安心感の高さが決め手となりました」(稲垣氏)。

全社IT基盤の仮想化という例のない取り組みだけに、徹底的な事前検証が行われた。

ここで力を発揮したのが、日立のオープンプラットフォーム製品とマイクロソフト社製品とを連携したWindows®関連ソリューションを、共同で開発・検証する「日立-マイクロソフト総合検証センター」だ。

同センターでは、Windows®製品を熟知した日立のエンジニアを多数抱えており、実機環境によるリアルな事前評価・検証を可能にしている。

「事前検証では性能面を中心にさまざまなチェックを行い、全面仮想化に踏み切っても大丈夫であるという手応えを得ました。実機を使った検証が行える上に、すでに検証済みの情報なども得られるので非常に助かりました」と林氏は評価する。

日立のオープンプラットフォーム製品で高信頼な仮想化基盤を実現

新たな仮想化基盤には、日立のオープンプラットフォーム製品が多く活用されている。

まずサーバについては、日立アドバンストサーバ「HA8000」を引き続き採用。

「今までも障害によるトラブルは、ほとんど経験していません。集約化された仮想化環境では、物理サーバの信頼性と処理性能がより重要になるので、今回も信頼性と処理性能に優れたHA8000を選択しました」(稲垣氏)

ストレージについても、高い性能と信頼性に加えて、柔軟な仮想化機能を備えている点を評価し、日立ディスクアレイサブシステムを引き続き採用している。

以前より同社では、ストレージデバイスの仮想化(*1)を実現するハイエンドディスクアレイ「Hitachi Universal Storage Platform」を活用してきたが、新たにボリューム容量の仮想化(*2)に対応した「Hitachi Universal Storage Platform V」も採用。また、大規模ストレージ環境を効率よく管理するために、性能容量管 理を行う「Hitachi Tuning Manager」などのストレージ管理ソフトウェア「Hitachi Storage Command Suite」も活用している。

「ボリューム容量の仮想化を行えば、ストレージ容量が不足してきた際の構成変更なども容易に行えます。従来はこうした作業に多くの手間と時間を要していたので、大幅な効率化が図れると見込んでいます」(林氏)

なお、仮想サーバ環境の運用管理には、マイクロソフト社の「System Center Virtual Machine Manager (以下、SCVMM)」と日立の統合システム運用管理「JP1」を適材適所で使い分けている。各仮想サーバのオペレーションなどはSCVMMで行い、環境全体の監視はJP1で一元的に行うことで、物理・仮想の両面から動的に変化する仮想化環境をスムーズに管理することができるのだ。

さらに、プロジェクトを推進していく中では、日立のサポートも大きく貢献。

「ファイルサーバに蓄積された大量データの移行など、さまざまな作業で日立の支援が役立ちました。プロジェクト全体のまとめ役としても活躍してくれました」(岡田氏)。

高い信頼性を誇る日立アドバンスドサーバ「HA8000」

新たに導入された日立のハイエンドディスクアレイ「Hitachi Universal Storage Platform V」とミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage 2300」

*1
Hitachi Universal Volume Managerで実現。
*2
Hitachi Dynamic Provisioningで実現。
日立では、SCVMMを「JP1/Integrated Management - System Center Virtual Machine Manager」としてJP1シリーズ化しています。

約330台のサーバを約70台に集約CO2排出量も大幅削減

IT基盤の仮想化を行ったことで、多くのメリットが生まれている。

まず物理サーバの台数については、約330台から約70台へと約1/5近くに激減。これにより消費電力量が大幅に下がることから、CO2排出量も大幅に削減できると試算されている。

さらにもう一つ見逃せないのが、新たなビジネスニーズに即応できるようになった点だ。

「今回のプロジェクトでは、仮想サーバ環境の標準化にも取り組んでいます。あらかじめ用意したひな型を基に構築が行えるので、新しいサービスも極めて迅速に立ち上げることができます」(稲垣氏)。

物理サーバを利用する場合と比較して、サーバ構築期間を約1/3に短縮できるとのことだ。

経営戦略遂行のさらなるスピードアップなどの第一生命の取り組みを、今後も日立のオープンプラットフォーム製品とWindows®関連ソリューションが支えていく。

第一生命保険(株)の仮想化基盤概要

導入効果は、本ユーザーのシステム構成や導入時の製品モデル/仕様によるものです。

[お客さまプロフィール] 第一生命保険株式会社

本  社:東京都千代田区有楽町1-13-1
創  立:1902年9月15日
資本金:2,102億円
従業員数:57,803名(2010年3月末現在)
ビジネス環境の変化への即応や事業戦略の迅速な遂行を目指し、2010年4月に相互会社から株式会社へ転換。東京証券取引所第一部への株式上場も果たした。

[お客さまプロフィール] 第一生命情報システム株式会社

本  社:東京都府中市日鋼町1-9
設  立:1999年6月1日
資本金:10億円
従業員数:2,062名(2010年4月1日現在)
第一生命グループの情報戦略を支えるIT企業。各種の保険システムや業務システムの構築・運用を一手に担っているほか、これまで培った高度な技術力を活かした外販事業も積極的に推進している。

特記事項

  • Windows、Windows Server、Hyper-Vは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
  • 本記事に記載された情報は雑誌掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Acrobat Readerが必要です。