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デジタルITインフラソリューション

ハイブリッドクラウド実現する次世代インフラ条件

前編:ハイブリッドクラウドニーズの高まりと課題

IDCでは今後のビジネス環境は激しい変化が恒常的に起きる「ネクストノーマル(The Next Normal:次なる常態)」の時代に入ると考えている。そうした環境において企業が競争力を強化し、市場における優位性を獲得するためには、多様で膨大なデータを利活用したデータ駆動型のビジネスを推進し、市場の変化に迅速に対応することが求められる。データ駆動型ビジネスを推進する要素としては経営陣のリーダーシップ、企業カルチャーの刷新など多くのものを挙げることができるが、ITインフラの変革も重要な要素となる。


激しい変化が恒常的に起きる環境においてデータ駆動型ビジネスを推進するためには、多様な種類のデータやアプリケーションを活用し、連携することが求められる。データ駆動型ビジネスを支えるITインフラには、ビジネスの変化に対応できる俊敏性、柔軟性、拡張性、経済性と共に、多様で膨大なデータを効率的に運用できることが求められる。こうしたITインフラの特徴の多くはパブリッククラウドが提供してきたものであるが、アプリケーションやワークロードが必要とする要件(パフォーマンス、セキュリティ、コンプライアンスなど)によっては、オンプレミスの方が運用管理やコストなどの面で適している場合も多い。国内市場においてパブリッククラウドとオンプレミスを連携したハイブリッドクラウドを構築するニーズが高まっている背景には、データ駆動型ビジネスを推進する企業が増加し、多様な種類のデータやアプリケーションを活用する機会が増えていることが挙げられる。

ハイブリッドクラウド環境を構築している国内企業263社を対象に、IDCが実施したユーザー調査では、ハイブリッドクラウドを導入する理由として「クラウドをアプリケーションごとに使い分ける」(37.6%)と「ハイブリッドクラウド全体でのワークロード/アプリケーションの最適配置」(24.3%)が上位2項目であった。また、「(オンプレミスから)パブリッククラウドへの移行」(22.4%)、「(パブリッククラウドから)オンプレミスのプライベートクラウドへの移行」(14.8%)も一定以上の回答を得た(『2021年 国内企業のエンタープライズインフラのシステムタイプ別トレンド分析(IDC #JPJ45695721、2021年3月発行)』)。この結果から、ワークロード/アプリケーションが必要とする要件に対応したパブリッククラウドとオンプレミスの使い分けや、環境の変化(ビジネスの拡大/縮小、コストの増減、開発環境から本番環境への移行など)に対応したパブリッククラウドとオンプレミス間でのアプリケーションやデータの移行がハイブリッドクラウドを利用する主要な目的となっていることが分かる。

その一方で、ハイブリッドクラウドは戦略的に導入しないと運用管理環境の複雑化、運用管理負荷の増大、パブリッククラウドとオンプレミス間でのデータ移行が困難などといった課題が生じてしまう。Figure 1は、ハイブリッドクラウドでのストレージ管理の課題に関するユーザー調査の結果である。課題の1位は「複数の環境で運用管理が異なる」(45.1%)であり、3位の「運用管理者のスキル/知識が追いつかない」(27.5%)と合わせてハイブリッドクラウドにおける運用管理環境の複雑化がIT部門の課題になっているのが分かる。課題の2位は「アプリケーションに最適な環境の選択が困難」(31.9%)であるが、これはハイブリッドクラウドを導入しても自社のアプリケーションの明確な運用基準や指針を有していないと最適な環境の選択が容易でないことを示している。また、「複数の環境でデータがサイロ化する」(26.4%)や「複数の環境間でのデータ移行が困難」(20.9%)といったデータ運用に関する課題も上位に来ている。データ駆動型のビジネスを推進するためには、多様なデータの連携とその活用が鍵を握る。しかし、ハイブリッドクラウドを導入してもデータのサイロ化が生じたり、効果的なデータ移行などが行えないとデータ駆動型ビジネスを支える役目を十分に果たすことができない。

ハイブリッドクラウドを導入するに当たっては、こうした課題に対応できる戦略的な導入が必要になる。そのためには、パブリッククラウドとオンプレミスを適切に選択して利用することでハイブリッドクラウドのメリットを最大化できる次世代インフラに変革することが求められる。本コラムの後編ではオンプレミスのインフラを次世代インフラに変革するための従量課金制サービスやSoftware-Defined Storage(SDS)の活用について述べる。

Figure 1 ハイブリッドクラウドでのデータ/ストレージ管理の課題

Note:ハイブリッドクラウドを利用している91社の回答 Source:IDC Japan「2021年 国内ストレージ需要動向調査:新しいインフラ提供モデルの台頭 (IDC#JPJ46559521)」
Note: ハイブリッドクラウドを利用している91社の回答
Source: IDC調査レポート『2021年 国内ストレージ需要動向調査:新しいインフラ提供モデルの台頭(IDC #JPJ46559521、2021年3月発行)』
森山 正秋

森山 正秋(もりやま まさあき)

IDC Japan
エンタープライズインフラストラクチャ/PCs
グループディレクター

ストレージ、サーバーを含む複数のリサーチグループを統括。アナリストとしては、国内ストレージ調査の責任者として、年間情報サービス「Japan Storage Systems」「Japan Storage Solutions」「Japan Quarterly Enterprise Disk Storage Systems Tracker」などを担当。また、多くのマルチクライアント調査やカスタム調査を手掛けている。IDC Japan主催のIDC Storage Vision Japan、Directions Tokyo、IDC Predictions Japanの講演メンバー。ストレージ業界の各種カンファレンスでもベンダーやユーザーを対象にした多くの講演を行っているほか、その発言は各種メディアで取り上げられている。
IDC Japan入社前より、ストレージ、半導体、電子材料などに関する調査に携わる。IDCを含めて調査/コンサルティング業界での経験は20年以上。

専門の分野/テーマ

  • ◎ディスクストレージシステム
  • ◎ストレージ仮想化などのニューテクノロジー
  • ◎ストレージネットワーキング
  • ◎ユーザーのストレージ利用動向分析
加藤 慎也

加藤 慎也 (かとう しんや)

IDC Japan
エンタープライズインフラストラクチャ
シニアマーケットアナリスト

国内エンタープライズ向けITインフラストラクチャ市場を担当。ストレージやサーバーの出荷動向の調査や予測に加え、技術動向やベンダーのマーケティング戦略などの調査を通じて、ベンダーやユーザーの変化について、主に採用されるハードウェアの視点から分析している。扱ってきた分野には、ビッグデータや科学技術計算のほか、 ODMの採用動向などがある。
IDC Japan入社前は、外資系コンピュータメーカーにて 10年以上に渡りマーケティングやビジネ ス開発に従事。サーバーやストレージを含むデータセンターインフラストラクチャ全般に加え、バーチャルリアリティ ーを含む映像分野のビジネスにも携わっていた。

専門の分野/テーマ

  • ◎ストレージ
  • ◎サーバー
  • ◎ビッグデータインフラストラクチャ
  • ◎科学技術計算
  • ◎データセンターインフラストラクチャ

前編 後編

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