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5G

ユースケース

リアルタイムのデータで実現する「未来」

製造現場のスマート化

ケース1 現場作業のリアルタイム支援

課題

製造現場ではベテラン技術者の高齢化が進んでおり、現場はベテラン技術者が持つノウハウを次の世代に受け継ぐ方法を模索しています。

長年の経験で培われたノウハウを、ひとつひとつ言語化し、継承することは非常に時間が掛かる作業です。作業手順書などの文章にすることはできても、それを読んでベテラン技術者の細やかなテクニックを理解・習得することは容易ではありません。また、製造現場には事故の危険が多く潜んでいるため、ベテラン技術者が持つ危険予知の感覚も継承していく必要があります。

解決策

5Gの大容量・低遅延の通信技術によって、高精細カメラで撮影した映像をリアルタイムに送受信することが可能になりました。さらに、AIによる高度な画像認識・画像解析技術と組み合わせることで、現場での技術指導や安全管理での利用が容易になります。

これにより、AIがベテラン技術者の動きと作業員の動きを比較したり、製品が正確に組み立てられているかを即座に分析し、フィードバックを送ることで作業員の技術習得を支援できます。

同時に、現場の作業員や機械の動きをAIがリアルタイムに分析することで、事故の可能性を素早く察知します。危険と判断した場合に警告を発し、作業員の安全に寄与します。

5Gが、現場の技術継承と安全な働き方を支援します。

ケース2 製造ラインの無線化、高度化

課題

製造設備の制御にはリアルタイム性と安定性が求められるため、有線ネットワークが一般的に使われてきました。多数の設備が稼働する工場内はケーブルが複雑に敷設されており、製造ラインの柔軟な変更の妨げになっていました。

さらに、市場ニーズの多様化、製品ライフサイクルの短縮が進むにつれて、変種変量生産への移行を余儀なくされています。需要変動に応じたライン編成や設備配置の最適化が必要になっています。

解決策

5G技術によって、高速・大容量、低遅延、多数同時接続が可能になることで、工場内の製造設備のネットワークを高信頼に無線化できるようになります。専用の周波数を使うため、安全面でも従来のWi-Fiに比べて電波の混線や干渉といった問題が解消されます。さらに、エッジコンピューティングとクラウドやサーバーなどを統合管理することで、リアルタイム性が求められる処理にも対応可能となります。

こうした5G技術を活用し、製造設備を無線でつなぎ現場のケーブルを削減し、レイアウトを変更しやすくすることによって、変種変量生産に対応できる柔軟な生産ラインを構築できます。

建設機器の遠隔操作

課題

建設、災害復旧、鉱山開発の現場は、へき地や高所など作業環境が過酷なだけではなく、粉じんや崖崩れなどの危険が伴います。加えて、少子高齢化や労働人口の減少によって、機械・重機を扱える技術者の確保が難しくなっています。

日本でも、雲仙普賢岳の噴火災害復旧工事を契機に、建設機械の遠隔操縦技術の開発が進められてきました。ただし、開発当初は目視範囲での操作に限られていました。また、映像や操作信号を遅延なく送受信するためには建設機械側とオペレーター側のそれぞれに大掛かりな装置を用意する必要があることから、導入コストも課題になっていました。

その後、映像転送技術の発展によって目視範囲外からの操作も可能となりましたが、建設機械1台につき1人のオペレーターが必要という状況は変わっていません。

解決策

5Gには、複数の機器と同時につながる「多数同時接続」、重たいデータを扱うための「広帯域」、リアルタイム性を高める「低遅延」という3つの特長があります。これによって、高精細な映像を複数の建設機械から同時に転送できるようになります。

例えば、建設機械の周辺を高精度な3Dデータにして転送することで、位置や姿勢、負荷の掛かり具合など、建設機械の稼働データを離れた所からリアルタイムに把握できるようになります。 5Gの活用によって、建設機械の自律運転化や半自動化が、今より容易になることが期待されています。また、遠隔操縦システム全体の簡素化によって導入コストが低減したことで、今後の普及拡大が見込まれています。

将来は、複数の建設機械が協調して稼働する現場を、1人のオペレーターが遠く離れた都市から管理・コントロールすることも期待されます。

物流業務の高度化

課題

電子商取引の増加により小口配送需要の増加など、物流センターの規模は近年巨大化する傾向にあります。一方で少子高齢化による労働人口の減少もあり、物流センターの現場作業員が不足しています。

現場管理者の負担は増大しています。大量の荷物を素早く処理していくには限られた人員一人一人に効率よく作業してもらう必要があります。しかし作業員は広大な物流センターのなかに分散しており、管理者は電話や無線機などの相手の状況が見えにくい状態で指示出しをする必要があります。作業員を別の場所へ応援に向かわせる場合も、誰を行かせるのが適切なのかの判断が難しいことがあります。何か問題が発生しても、作業員が気づいて管理者のもとに情報が届くまでに時間が掛かり、初動対応が遅れて大きなトラブルに発展する恐れもあります。

そこで物流センター内の情報を、リアルタイムに管理者のもとへ集約する技術が求められています。

解決策

多数同時接続、大容量通信が可能な5G技術によって、物流センター内の情報をリアルタイムに収集できるようになります。

センター内の各所に設置されたカメラや、作業員が持ち歩くデバイスに同時に接続し、データを収集、一元管理します。入荷・出荷の状況、荷崩れなどのトラブルが発生していないか、作業員の位置情報や作業状況を管理者が一目で確認できるようになります。これにより、管理者の手元にあるデバイスから必要な指示出しが随時行え、管理者の負担が軽減します。問題が発生した場合も、現場の状態をカメラで即座に確認できるため、適切な初動対応ができます。

また、作業員の動きをデータとして取得できることで、AIがそれを分析し、作業導線を効率化する提案も可能です。さらに、5G技術ではドローンを使った倉庫内の不審者監視、無人フォークリフトを制御しての荷役作業の自動化など、新しい物流センターの形にも期待が高まっています。
人やモノの動きが見える化されることで、5Gが物流業務の効率化を支援します。