全日本空輸株式会社
ANAでは、悪天候(大雨、濃霧、強風、台風、降雪など)や機材メンテナンス、空港・空路の混雑などでダイヤの乱れが発生した際、従来はダイヤ調整を行う熟練者が経験とノウハウに基づいて、お客さまの予約数や乗り継ぎ便、機材の使用状況、運航に関わるオペレーションの実施状況、空港の運用時間や駐機場など複雑な条件を考慮して運航ダイヤを人手で修正していました。
修正ダイヤを短時間で立案するには高度なスキルを要するほか、人手で考慮できる条件には限界があるとともに、熟練者の養成には長期間を要することを背景に、先進のデジタル技術を活用したイノベーションが求められていました。
ANAと日立製作所、日立コンサルティングが共同で行った実証実験では、日立独自の最適化モデルを複数組み合わせた高度なデジタル技術により、1日当たり国内線約800便と国際線約200便の運航便に対し、従来熟練者が人手で行っていた運航ダイヤ修正業務をシステムに置き換えることの実現性と技術の有効性を検証しました。熟練者と同等の速度・精度での運航ダイヤ修正と、人手では困難な複数の同時立案を実現できる見通しが得られ、両社は今後、より多面的で複雑な実例への適応性を確認するため、運航ダイヤ修正時間のさらなる短縮と精度向上をめざします。