三井物産株式会社
物流業界では、eコマースの普及や配送ニーズの多様化などに伴い、ドライバーの不足や長時間労働が大きな課題となっています。一方で、これらに対応するためには、効率的な配送計画が欠かせませんが、配送計画の立案は熟練者の経験に頼っており、複雑化する条件を満たす最適な配送の実施が困難になりつつあります。
三井物産株式会社と日立は、三井物産グループの事業会社の配送業務を、AIなどのデジタル技術を用いて最適化・効率化する検討を進め、熟練者に依存しない最適な配送計画を立案するシステムを構築、共同実証を行いました。
具体的には、配送実務を細かく分析し、納品日時をはじめ、物流センター・拠点位置、走行ルート・時間、渋滞、積荷・滞店時間などから、配送車の大きさ、ドライバー条件などの重要な条件を、全て変数化するとともに熟練者の経験を取り入れた、配送計画の自動立案アルゴリズムを実運用に適用。配送計画の実効性を高める検討を行いました。これにより、熟練者が行っていた配送計画を、短時間に立案することが可能になります。
また、これらのデータの収集・分析にIoTやAIを用いて計画の精度を継続的に高めるとともに、ダッシュボードでKPI可視化の有効性を検証しました。これまでの検討により、従来に比べてトラック台数を最大約10%削減でき、かつ短時間に、熟練者と同等かそれ以上に実行性のある配送計画の立案が可能という効果があることを確認しました。