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コラム・インタビュー

国内4工場をEMiliaで接続――日本特殊陶業

日本特殊陶業では、グループ会社の事業所を含む国内4工場をEMiliaで接続し、各種のデータを共有するためのプラットフォームを構築している。共有されるデータは、エネルギーと設備管理に関するものだ。このプラットフォームによって、これまでは工場ごとに運用されていた監視システム向けのPLC(Programmable Logic Controller)などをネットワークを介して一元管理できるようになり、データ収集とBIツールによる分析、設備の監視と制御の効率化なども実現した。予兆診断システムとも連携しており、離れた場所にある工場の機器の異常を遠隔地の拠点から集中管理することも可能だ。

代表的なシステム構成の例代表的なシステム構成の例

代表的なシステム構成の例代表的なシステム構成の例(クリックで拡大)

「自己託送」に活用――日本キャンパック

ペットボトルや缶などへの飲料充填を主力事業とする日本キャンパックは、遠隔地にある自社施設で発電した電力を他の工場に送って使う「自己託送」の仕組みを構築している。EMiliaは、この自己託送の運用を効率的かつスムーズに行うために活用されている。飲料の受託充填ビジネスは、昨今の多品種かつ需要に応じた生産量調整の影響で、作業に必要なエネルギー量の変動が大きい。電力の自己託送はこの課題を緩和する施策の一つだ。同社では、EMiliaで各工場の状況を一括管理・制御し、効率化を進めた。さらに、自己託送の自動化も実現している。

冷凍設備の故障の予兆を見逃さない――ニチレイロジグループ

食品を主とする低温物流サービスを展開するニチレイロジグループの事業で、特に重要な役割を果たしているのが冷凍設備だ。この冷凍設備の故障は事業の損失に直結するため、故障の予兆を見逃さず稼働停止を回避する手だてが必要となる。ここに、EMiliaが使われている。同社では、日立の空調IoTソリューション「exiida(エクシーダ)*2」とEMiliaを連携。冷凍倉庫に設置した温度センサー、カメラ、集音マイクなどで得たデータをEMiliaに集め、これをexiidaで分析することで故障の予兆を検出している。このソリューションによって故障発生前に異常が検出できれば、早期に手当を実施することができる。そうすることで、事業損失が回避でき、安定的な物流サービスの提供につながる。

これら3社の他にも、多彩なデータを扱えるEMiliaは、スマートシティーやビルのエネルギーマネジメントシステムにも採用されている。スマートシティーでは、「HARUMI FLAG*3」などにもEMiliaをベースに構築したシステムが採用されている。

脱炭素/カーボンニュートラルの実現には、基盤となるプラットフォームが必須

製造業に代表されるモノづくりの現場では、これまでも省エネの努力が重ねられ、一定の成果を上げてきた。昨今注目が集まる“脱炭素”や“カーボンニュートラル”もこの延長線上にあると考える人は多い。しかし、これらは全く異なる枠として存在するものだ。

日立製作所 産業・流通ビジネスユニット デジタルソリューション事業統括本部 ソリューション&サービス事業部 産業製造ソリューション本部 産業PAソリューション部 主任技師の大崎暢久氏

日立製作所 産業・流通ビジネスユニット デジタルソリューション事業統括本部 ソリューション&サービス事業部 産業製造ソリューション本部 産業PAソリューション部 主任技師の大崎暢久氏

日立製作所 産業・流通ビジネスユニット デジタルソリューション事業統括本部 ソリューション&サービス事業部 産業製造ソリューション本部 産業PAソリューション部 主任技師の大崎暢久氏は「省エネによって炭素を減らすだけではカーボンニュートラルは達成できません。カーボンニュートラルに近づけていくためには、再エネを中心とした電源の調達が必要です。その前提として、EMiliaのようなエネルギーマネジメントシステムが必須になるのです」と説明する。

脱炭素やカーボンニュートラルに向けた取り組みが進めば、結果として省エネにはなる。しかし、省エネがシンプルに投資回収や利益率の向上を目的とするのに対し、脱炭素やカーボンニュートラルの実現には複雑な要素が絡む。GHGプロトコルに基づく、温室効果ガスの直接排出(スコープ1)や間接排出(スコープ2)に加え、事業活動に際しての排出(スコープ3)に関し取引先や顧客に対して証明を行う必要性も出てくる。

これを実現するには、現状の詳細なデータ取得と分析、広範囲におよぶ調整を瞬時に行う必要がある。これは、単なる省エネとは次元が違う。EMiliaのような統合型のエネルギーマネジメントシステムが注目されているのは、このような切実な理由があるからだ。

「EMilia」はカーボンニュートラルの実現に必要な省エネ、創エネ、再エネ調達、オフセットを支援する基盤となる「EMilia」はカーボンニュートラルの実現に必要な省エネ、創エネ、再エネ調達、オフセットを支援する基盤となる

「EMilia」はカーボンニュートラルの実現に必要な省エネ、創エネ、再エネ調達、オフセットを支援する基盤となる「EMilia」はカーボンニュートラルの実現に必要な省エネ、創エネ、再エネ調達、オフセットを支援する基盤となる(クリックで拡大)

機能追加・カスタマイズで、よりフィットしたプラットフォームへ

EMiliaは、標準機能として多彩なシステムや機器と連携できる柔軟性を備えている。しかし、製造業の現場はそれぞれに独自の設備が構築されている場合が多い。日立ではこれを想定し、導入先にEMiliaをフィットさせ、顧客が求める機能や効果を実現して価値を高めるための方策を用意している。カーボンニュートラル関連での機能追加も、システムインテグレーションで対応可能だ。

急激に高まった脱炭素/カーボンニュートラルへの社会意識は、製造業に待ったなしの決断を迫っている。対応の第1ステップとして必要なのは、製造過程におけるエネルギーの使われ方を詳細に把握することだ。この時、製造業での採用実績が豊富なEMiliaは大きな助けとなるだろう。

EMiliaであれば、予兆診断に代表される多彩なシステムとも柔軟に連携できる。エネルギーマネジメントの機能を核に多様なシステムと連携できるので、検討リストに加えてみてはいかがだろうか。

日立製作所の大崎暢久氏(左)と湯上洋氏(右)。「EMilia」で製造業の脱炭素実現を支援していく

日立製作所の大崎暢久氏(左)と湯上洋氏(右)。「EMilia」で製造業の脱炭素実現を支援していく

*2
exiidaは日立グローバルライフソリューションズ株式会社の日本における登録商標です。
*3
HARUMI FLAGは三井不動産レジデンシャル株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、野村不動産株式会社、住友不動産株式会社、住友商事株式会社、東急不動産株式会社、東京建物株式会社、エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社、日鉄興和不動産株式会社、大和ハウス工業株式会社の日本における登録商標です。

アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載日:2022年1月31日

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