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インダストリー

コラム・インタビュー

部品物流コストを80%削減した「オンデマンド構内物流ソリューション」

 このうち「オンデマンド構内物流ソリューション」は、IoTを活用し、AGV(無人搬送車)により、部品を部品庫からラインに供給するシステムで、日立の神奈川工場で自社開発・導入している仕組みを一般商材化して販売を開始したものだ。

 同工場では、構内部品物流(着荷〜人、出庫〜配送)の業務の効率化をめざし、それまでの事前の計画に合わせた出庫のやり方から、RFIDを活用したオンデマンド出庫に変革した。部品の納品から組み立て現場までの配送を自動化し、さらに最適化によるコスト低減を図っており、顧客企業が持つ課題に対応する。

オンデマンド構内物流

「オンデマンド構内物流ソリューション」の概要(クリックで拡大)

日立製作所 産業・流通ビジネスユニット ソリューション&サービス事業部 産業システムエンジニアリング部 担当部長の荒木伸明氏

 仕組みとしては、部品(箱単位)に付けたRFIDタグの情報を入庫時に読み取り、組み立て現場からの部品要求、自動倉庫からの出庫、AGVによる部品配送まで、工場内で部品物流を自動化するという形だ。日立製作所 産業・流通ビジネスユニット ソリューション&サービス事業部 産業システムエンジニアリング部 担当部長の荒木伸明氏によると「システムのコントロールはERPと倉庫システムおよびAGVを制御するサーバーが連携して行っています」としており、製造現場の進捗に伴い自動的に出庫要求を発信し、時間単位に区切った出庫の運搬計画を分析し、搬送システムに反映することで、最適な部品供給形態を実現できるようになる。

 「オンデマンド構内物流ソリューション」の特長は、必要なときに、必要な部品を、必要なだけスピーディーに自動配送ができることで、無駄な現場在庫や在庫切れを防ぐことにつながる。「これまでは現場状況を把握しきれておらず、事前に作成した出庫計画で現場に部品を運んでいました。現場で進捗遅れなどが発生した際の現場在庫が予定以上に現場に部品が補充されて、部品の滞留や、多くなってしまった部品を探す工数の発生などの課題を持っていました」(中村氏)。神奈川工場では、これまで人が担当していた作業を自動化することによって部品物流コストを約80%削減できた(入出庫、検査検収、開梱、運搬業務などを含む)という。

新人の作業習熟期間を3カ月から3週間に短縮

 「作業・品質管理支援ソリューション」は、量産に対応した電子作業指示システムによる作業習熟スピードと作業効率の改善の加速化をめざしたシステムだ。タッチ式モニターに作業手順、注意事項などを分かりやすく表示し、作業品質の統一と改善につなげる。

作業・品質管理支援システム

「作業・品質管理支援システム」の概要(クリックで拡大)

 製造の現場では現在熟練者の退職が進んでおり、若手や新人の作業者の育成が急務となっている。こうした中、新人の習熟レベルを早期に引き上げ、誰が作業しても一定の品質を確保できることが重要だ。また、量産時の作業効率向上も課題になっている。同システムは、「作業手順の統一と品質安定化」「新人の作業習熟スピード向上」「分析による作業効率向上」「作業工程飛ばし防止」「スキルマップに連携したログイン制限」という5つの目的に沿って開発された。荒木氏は「現場の作業者が、タッチ式モニターに表示された指示通りに作業を行えば、品質が確保できる仕組みです。後は、作っているモノに合せて表示情報を変更すれば対応できるようになっています」と説明する。

 また、製品名、作業者名、工程名、製造番号、作業開始時間、作業終了時間などの作業実績データを自動的に蓄積し、BI(ビジネス インテリジェント)ツールによって分析を実施すれば、さまざまな観点からの改善点も明確にできる。例えば、作業時間のバラつきが大きい製品・工程の抽出、作業者間の実績バラつき分析、標準作業時間との差異が大きい作業の抽出(記録動画による確認)、新製品の作業習熟度の確認などの分析結果をダッシュボード化できる。「それらをOJT(On-the-job Training)や作業指示の改善などに使え、作業効率と品質の継続的な向上に役立てられます」(荒木氏)。

 さらに、スキルマップ情報として、特定のスキルを持った作業者しかログインできないよう制限できる他、作業工程飛ばしが発生してもシステムロックにより作業を中断できる機能も採用している。

 同システムは、中規模量産の生産ラインに最適で、日立の神奈川工場で導入したところ作業手順の統一による新人の作業習熟期間が、それまでの約3カ月から約3週間に短縮できた。作業実績データの分析・改善では、量産時の作業効率を約15%向上するなどの効果も得られている。日立では、これらの実績を基に積極的に外販していく構えだ。

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