低分化がんや未分化がんのPET画像をとると、それらのがんは高分化がんに比べ細胞分裂が活発であるためFDGの集積が高く、濃い画像となります。
反対に、高分化がん、すなわち細胞分裂があまり活発でないがんは、FDGが集積しにくいため、がんか否かを明確に判断しにくいと言われています。また、炎症などをおこしている部位についても、組織の修復に伴って細胞分裂が活発になり、FDGが集積しやすくなるため、がんとの見分けが難しい場合があります。
がん細胞が高密度に存在している部位では、その部位全体のFDGの取り込み量が多いため、濃い画像が得られます。反対に、がん細胞が低密度で存在している部位では、FDGの取り込み量が少なくなるため、明瞭な画像として表れない場合があります。
FDGは、体内に投与されたあと尿として排泄されるため肝臓や膀胱、尿路に集積します。また、脳や心臓はそもそもブドウ糖をエネルギー源として多量に摂取するため、FDGの取り込みはがん細胞の存在の有無に関わらず多くなります。したがって、これらの部位に存在するがんを見つけることは難しいと考えられます。
監修 東京女子医科大学 核医学・PET検査室。
がん細胞とはどのようにして発生するのでしょうか。これまでの研究によると、がん細胞はもともと正常細胞ですが、何らかの要因によって正常細胞内のDNAが損傷し、修復しないまま残り、さらにがんを誘発する何らかの環境下で細胞分裂を繰り返してがん化するとされています。
私たちの身体は、1つの受精卵が約60兆個の細胞になるまで分裂を繰り返して作られます。1つの受精卵だった細胞が、1種類の細胞として増えるのではなく、様々な形態や機能を持った細胞へ分裂、増殖を繰り返していきます。このように機能を持った細胞へ変化する過程を「分化」といいます。
がん細胞は分化の程度により、高分化がん、低分化がん、未分化がんの3種類があります。
監修 東京女子医科大学 核医学・PET検査室。