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Hitachi

HVDC(高圧直流送電)

-多端子HVDC系統連系-
陸上と洋上、
複数の拠点に広がる

従来HVDCは“point-to-point”と呼ばれる特定の地域間のみで送電を行う二端子間接続が一般的でしたが、欧州を中心とした大需要地を結ぶHVDCを用いた系統連系の普及と洋上風力発電所の増加を背景に、複数のHVDCを接続する多端子HVDCの需要が生まれました。多端子HVDCは一般的な二端子とは異なり、HVDC間の潮流制御や事故検出と遮断が非常に複雑であり、綿密な系統解析シミュレーションと変換器制御といった高い技術力が求められます。ここでは世界で既に実現している多端子HVDCの事例を紹介します。

Caithness Moray Ph1 and Ph2

Caithness Morayは、スコットランド北部のマレー湾を挟んで位置するマレーのブラックヒルロック変換所とケイスネスのスピッタル変換所の間を160kmに渡って接続する系統連系設備で、急速に成長する再生可能エネルギー導入を背景に、スコットランド北部の電力系統を強化する目的で建設され、2018年に運用を開始しました。
この最初の二端子HVDCはフェーズ1と呼ばれ、計画段階では架空送電線による交流系統連系と海底ケーブルによるHVDC系統連系の両案が検討されました。検討においては技術的な視点だけでなく、経済的な視点からの評価も実施され、費用便益分析(CBA:Cost Benefit Analysis)では、「交流系統と比較してHVDCによる連系強化の経済合理性が優る」と判断されました。この結果には短期間で整備可能である、環境や景観への影響を最小限に留める、というHVDCの特徴が大きく寄与しました。加えて、ブラックスタート機能、単独系統維持機能、将来の多端子HVDCとしての運用が可能である、というHVDCの技術的な利点が加算され、最終的にHVDCによる連系が採択されました。このように欧州ではHVDCによる経済的優位性を示す事例が増えており、HVDCの拡大に寄与しています。

ケイスネスとマレー間を結ぶフェーズ1に続き、現在はケイスネスの北部であるシェトランド諸島に新たな変換所を建築し、英国最大規模の陸上風力発電所と連系するフェーズ2のプロジェクトが進行しています。将来より多くの再生可能エネルギーをスコットランドの電力系統に接続することを目的としたものです。これによりシェトランド、ケイスネス、マレーの3拠点を結ぶ欧州初の多端子HVDCグリッドが完成し、シェトランド諸島から大量の再生可能エネルギーを大需要地まで供給することが可能となります。本多端子HVDCでは将来さらに2つの洋上風力発電所を連系する計画が進行しています。

プロジェクト概要
納入先 Scottish & Southern Electricity Network
背景・課題
  • 急増するスコットランド北部の風力
  • 弱いACグリッド
HVDCの概要
  • 自励式
  • 1200 / 800 / 600MW 多端子
  • DC±320kV 対称単極
  • DC Link in AC Grid
  • 送電距離 160km (内、113km海底ケーブル)
効果
  • より多くの風力発電を受け入れ
  • 北部交流系統の安定化 (電圧、過渡)
  • 並行交流系統の潮流コントロール
  • 長距離の海底ケーブルによる連系
完成予定
  • 2018年 (フェーズ1)
  • 2024年 (フェーズ2)
イメージ:Caithness Moray Ph1 and Ph2
自励式HVDCをさらに知りたい方はこちら
Caithness Moray HVDC Link(英語ページ)
Shetland (英語ページ)