[エッセイ]
技術に会う 8
多言語が踊り出す
管啓次郎
(翻訳者、エッセイスト)
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「幼稚園のころ東京オリンピックを白黒放送で見て、4年後のメキシコになると画面はカラーになっていた。語学の勉強に興味をもつと、ペラペラのソノシート(ビニール製レコード)をくりかえし聴いた。ねだって買ってもらったオープンリールの録音機は数年のうちにカセットに代わり、大学時代にはヘッドホンステレオで音楽を楽しむ第一世代となり、すぐにCDの時代、ビデオの時代が訪れた。技術はどんどん変わり、それにつれて心も変わる……」
今、その心のありようを「インターネット」が大きく変えつつある。世界を等しくつなぐネットワークによって、文学・言語はもっと自由に飛び火し、模倣され、つくり替えられ、広がっていく――。 |