今、博物館が面白い! その代表選手が、国立博物館としては108年ぶりに開館した九州国立博物館です。日本とアジアの文化交流史をテーマに、順路や解説を極力省き、モノそのものとダイレクトに触れ合える展示空間、収蔵庫や収蔵品の補修を見ることができるバックヤードツアーなど、旧来の博物館とは一味も二味も違うしかけが満載。そしてそうした新しい取り組みを支える、最先端の技術と伝統技術の融合。博物館の新潮流を紹介するとともに、博物館の魅力とは、役割とは何かを改めて考えます。
[エッセイ] 記憶から創造へ――博物館への招待 港千尋(写真家、批評家) 博物館での未知のモノとの出会い、その驚きや好奇心から世界との新たな関係が生まれる――。港千尋氏からの、博物館への招待状。 (写真=英国ピット・リヴァース博物館)
[ルポ] 開かれた博物館――九博まるごと探訪記 話題の九州国立博物館をルポ。夏休みの子供でにぎわう体験交流型展示室“あじっぱ”から、国宝・重文級の文化財を迫力ある展示で見せる文化交流展示室、収蔵庫や修復作業室などのバックヤード、業務システムまで、話題の背景をくまなく取材。収蔵品の管理には、博物館相互のネットワーク化も視野に入れ、収蔵品と研究資料(図書、図版、資料など)を一括してデータベース化するシステムを初めて採用(日立製作所納め)しています。 http://www.kyuhaku.com/pr/
[インタビュー] 21世紀のミュージアムとは ――東京大学総合研究博物館からの展望 西野嘉章(東京大学総合研究博物館教授) 明治10(1877)年創立以来の膨大な研究資料を有する東京大学。そのコレクションを生かし、「実験展示」や「移動ミュージアム」など斬新な取り組みを行う同大総合研究博物館教授・西野嘉章氏に、博物館の課題と可能性をお聞きします。 (写真=マーク・ダイオンの「驚異の部屋」上野則宏撮影)
[インタビュー] ミステリーハンター・はまじの 世界ふしぎ博物館ガイド 浜島直子(モデル、タレント) 人気クイズ番組「日立 世界ふしぎ発見!」にも、メジャーどころからレアなものまで、世界各地の博物館が登場します。ミステリーハンター“はまじ”こと浜島直子さんの記憶に残る博物館とは? http://www.tbs.co.jp/f-hakken/
[エッセイ] 技術に会う 6 尊敬の三角関係 束芋
「私たちは相対的関係のなかで生きている。私自身の制作活動をとってみてもそうだ。もしつくったものを私だけが鑑賞するとしても、“制作者としての私”と“鑑賞者としての私”の間には相対関係が成り立つ……」 常に驚きに満ちた斬新な作品を発表している現代美術家・束芋氏は、制作者としてつくりたいものをつくる一方で、鑑賞者の厳しい目に耐えうるために努力を惜しまない。そこに存在するのは、鑑賞者に対する尊敬の念だという……。 日々の暮らしのなかでの「技術」との出会いを、毎回さまざまな方がつづります。
[トーク]
日立グループのさまざまな取り組みや業界の最新動向を、キーパーソンの「talk(語り)」を通して紹介します。さらに「talk」のテーマを、「+(プラス)」で写真やダイアグラム、図鑑などに展開。
陽子線をがん治療に用いるメリットは、ある深さで最大のエネルギーを放出し、その後は急速に減少するという性質をもつこと。がん組織の位置・形状に合わせて陽子線のエネルギーを調整することによって患部を狙い撃ちでき、なおかつX線などに比べ、腫瘍周辺の正常組織へのダメージを大幅に低減できるのです。日立は、素粒子研究用の加速器の技術を医療分野に転用し、このシステムを開発。2001年、筑波大学陽子線医学利用研究センター(PMRC)で研究治療開始、今年5月には世界有数のがん専門病院である米国テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンター(MDA)で治療が開始されています。
最新の映像・情報システムを展示する「日立ユビキタススクエア横浜」(横浜市戸塚区)では、2005年6月から、手話で製品の解説をするサービスを始めました。ユニークなのは、ろうの社員自らサービスを企画・運営していること。スタッフ9人は、それぞれ通常業務をこなしつつ、活動に参加。ろう者の視点に立ったサービスは毎回好評を博し、社内外の展示会に呼ばれて出張サービスを行うこともしばしば。また、家電製品の使い勝手を調査して一覧表にし、事業部に改善要望を出すなどの取り組みも。「+」は、手話表現がなかった映像・情報分野の専門用語について、スタッフが創作した手話を紹介。
ナノインプリント(nanoimprint)は、金型を用いて、プレス加工の要領で超微細なナノ構造を転写する技術。従来、電子線描画によって1点1点つくるしかなかったナノ構造の大量複製を可能にする、画期的な技術です。日立は、素材から加工、マーケティングまで、グループの得意技術を結集してナノインプリント装置を開発。直径300mmのウエハー(半導体基板)全面に均一にナノ構造を転写することに世界で初めて成功し、2004年のナノテク大賞を受賞しました。半導体、光デバイス、ディスプレー、ストレージなどあらゆる分野へ応用が期待され、ユビキタス社会実現への重要なインフラになると予想されます。
[写真] technobscure 6 田所美惠子 「Reflexions Parisiennes」
カメラというテクノロジーの目を通して表象される隠れた自然のメカニズム、人工物に内在するダイナミズム――。今回は、パリの街をピンホールカメラで撮影した田所美惠子氏の作品。レンズの代わりに針穴からの一条の光だけで写しとられたパリの風景は、モノクロ映画のワンシーンのように物語を紡ぎ出す。写真は、「パリのショーウインドー」シリーズ「ラシーヌ通りの塑像屋」と、「パリ もう一つの視点」シリーズ「柵越しのエッフェル塔」。
[ルポルタージュ] 永瀬唯の サイエンス・ パースペクティブ 6
科学技術ライターの永瀬唯氏が日立グループの現場や研究施設を歩き、レポートします。
今回は日立プラントテクノロジー・土浦事業所(茨城県)を取材、その主力製品である「ポンプ」の歴史を振り返ります。古代文明において治水・用水のために生まれたポンプは、産業革命とともに社会・産業インフラとしての重要性を増し、渦巻ポンプや軸流ポンプ、斜流ポンプなどの新方式が誕生。
水を吸い上げ、送り出すという一見単純な作業を支えてきた技術、メカニズム、その社会的意義を探ります。 http://www.hitachi-pt.co.jp/
[ニュース] ダントツさんが行く! 5
夫と二人の子供、おじいちゃん、大型犬とともに暮らすダントツ家の主婦、通称ダントツさんが、生活と密着したさまざまな家電製品などを紹介します。 今回は、WoooのDVDレコーダー、Sシリーズを紹介。1TB(テラバイト)と世界最大容量なうえ、デジタルチューナーをダブルで搭載、さらには操作が簡単なリモコン「らくリモ」付き。これで、家族のチャンネル争いも解消! http://av.hitachi.co.jp/deck/index.html
[コラム] 技術の日立 今昔 2
写真で見る日立製品の今昔。米シリコンバレーで世界初のHDD「RAMAC(Random Method of Acounting and Control)」が生まれて、今年で50年。直径24インチのディスクを50枚重ねたRAMACの記録容量は5MB。それがいまや、直径2.5インチのディスクに160MB。記録密度は6500万倍に!
『ひたち』第68巻第3号(秋号) 2006年10月1日発行 定価315円(本体300円)