特集 進化する電池
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![[イメージ]表紙](images/cover.jpg)
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電池の世界が、大きく広がってきました。パソコンや携帯電話の使用時間が大幅に伸び、充電時間も短くなっています。リチウムイオン電池の進化の結果です。リチウムイオン電池はハイブリッド車や、電気自動車から電動スクーターにまで活用されています。
燃料電池も急速に進化しています。メタノールを燃料とするモバイル用燃料電池は実用化が目前に迫り、家庭用や燃料電池自動車も世界で開発が進んでいます。
電池の原理は十九世紀に確立したものですが、ここにきて一挙に花開いているのは、環境に優しいクリーンなエネルギー源として注目されているからです。分散電源として新たな需要も期待されています。電池の開発には、ナノレベルの材料技術からシステム化技術まで、まさに総合力が求められます。それをクリアすればきわめて大きなビジネスチャンスが得られるだけに、世界的な競争が始まっているのです。
今回の特集では、先端技術としての電池の最前線に注目し、日立の取り組みをご紹介しています。
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CONTENTS |
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Over The Top |
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特集 |
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風速計 |
「ボリビア高地」 関野 吉晴 |
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Alliance of Progress |
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えのきど いちろうの
最先端ウォッチング
その30 |
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ネットワークソリューション事業部
グローバル事業推進センタ
技師 衛 波 |
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![[写真]](images/01_3.jpg) |
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経済発展著しい中国。IT 化の面でも、情報通信を担う基盤づくりが進められています。しかし、問題は相手の識別に欠かせない「IPアドレス」の不足。現行の「IPv4」のアドレスは43億個にすぎず、地球の人口よりも少ないのです。しかも、先行する欧米ですでに半分以上が利用されており、人口13億人を擁する中国では今後アドレスが不足することは明白です。これを一挙に解決するのが、「IPv6」。アドレス数は2の128乗個。全地球の50億人が1人当たり100兆×100兆個使える計算だから、ほぼ無限といっていい数です。
日立は、1997年に業界初のIPv6対応ルーターを製品化して以来、ブロードバンド時代にふさわしい高速・大容量、高品質・高セキュリティーのキーコンポーネントを製品化してきました。中国でも、中国初の商用IPv6プロジェクトに参画するなど、次世代情報通信基盤づくりに貢献しています。
その活動の最先端にいるのが、自らをIPv6の“伝道士”と称する衛 波技師です。 |
燃料電池は、家庭やビル、工場、携帯機器、自動車など、多岐にわたる用途が期待されている。 |
世界の技術開発のホットスポットは、ITやバイオテクノロジーから、電池へと移行しつつあります。ユビキタス社会を支えるリチウムイオン電池、次世代エネルギーとして期待される燃料電池が、その最前線。それは、単なる製品を越え、国家戦略として、世界中で熾烈な開発レースが展開されています。ナノテクで強みのある日本はモノづくりの復権をかけて、電池開発レースのトップグループで戦っています。 |

燃料電池の構成 |
(財)新エネルギー財団は、2002年度から、一般住宅や小規模オフィスなどに固体高分子形燃料電池システム(PEFC)を設置して「定置用燃料電池実証研究」を続けています。このプロジェクトには、日立ホーム&ライフソリューション(株)も参画して、家庭用コジェネレーションシステムの実証を行っています。
PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell |
家庭用コジェネ導入イメージ
日立は、重点事業分野のひとつに電池事業を掲げています。次世代電池の開発では、研究開発本部を中心に、関連する研究所やグループ企業の力を結集し、その早期開発と事業化に積極的に取り組んでいます。
メタノール燃料電池搭載のPDF。上部に見えるのが燃料カートリッジ(試作品) |
メタノール燃料電池を実装したノートPC(試作品)
![[写真]](images/02_8_2.jpg) |
新型HEV用リチウム二次電池モジュール |
![[写真]](images/03_4.jpg)
VRM端末(試作品) |
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「ユビキタス情報社会」を迎え、インターネットや携帯電話に代表されるように、私たちの身の回りにはさまざまなネットワークが広がっています。ここ10年ほどの間に、自動車もそのネットワークに組み込まれ始めています。いまのところ外部からの情報を受け取るのが中心ですが、近い将来、自動車自ら情報を発信し始めるのだといいます。自動車が“話す”ことで、私たちのカーライフはどのように変わっていくのでしょうか。 |
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日立製作所 デザイン本部
ユーザエクスペリエンスリサーチセンタ
インタラクションデザイングループ 兼
基礎研究所 人間・情報システムラボ
主任デザイナー 星野 剛史
日立製作所 基礎研究所
人間・情報システムラボ 大塚 理恵子
日立の研究者を訪ねる旅人 えのきど いちろう |
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“日立ヒューマンインタラクションラボ”というバーチャルな研究組識が基礎研究所の中にあります。研究者とデザイナー、マーケッターが集まって、人間の側から未来のインタフェースを考えています。その最新の成果が立体映像システム「Transpost」。空中に浮かんだ妖精のような3D画像には、彼らの夢が映っていました。 |
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「Transpost」表示例 |
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「ひたち」第66巻/第3号(秋号) 2004年9月1日発行 定価315円(本体300円)