東急不動産が1986年から戸建て分譲を開始し、現在も街作りが続けられている千葉県千葉市あすみが丘エリア。土地区画整理事業による民間宅地開発では最大規模であり、すでに約6,700世帯が暮らすこのビッグコミュニティで、2003年3月からITを活用したユニークな取り組みが始まった。地域コミュニティのための情報システムインフラ「LSS(ライフサポートシステム)」が構築され、そのWebサイトがオープンしたのである。
LSSは地域の商店やレストラン、自治体、イベントなどの各種地域情報の提供をはじめ、さまざまな施設の予約状況確認や家族の予定を登録するカレンダーなど、地域の暮らしに役立つ機能をまとめて提供するというもの。これによって地域コミュニティの活動を活性化し、自立型コミュニティ形成を支援しようというのである。このシステムにアクセスできるように、東急不動産が今後建売分譲する住居には無線LAN対応のタッチパネル端末を標準装備。もちろん一般的なWebブラウザからでも、インターネット経由でアクセスすることが可能だ。
「これまでの宅地開発はお客さまに建物を引き渡した時点で終わっていましたが、お客さまの生活は建物を引き渡した時点から始まります」というのは、東急不動産 地域事業部 商品計画グループ グループリーダー 部長 猿井 良昌氏。デベロッパーはあくまでもランドスケープや建物などのハードウェアを作る役割に徹しており、その中のソフトウェアにまで踏み込むことは少なかったのだという。「より快適で満足した生活を送っていただくために、デベロッパーとして貢献できることはないか。このような発想から始まったのが、LSSなのです」
もちろん地域コミュニティサイト自体は決して珍しいものではなく、すでに他にも存在している。しかしそのほとんどは、コミュニティの参加者に対して“一方的に”情報発信を行うものだといえるだろう。これに対してLSSは、コミュニティに参加する全ての人や団体が情報発信者になれる点が最大の特長だ。運営も地元NPO法人である「すこやかネットみどり」が担当。NPOによる地域情報サイト運営は、全国でも初めての試みになるという。
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