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約1万台のパソコン上の数万種類にもおよぶ
ソフトウェア・ライセンスを「JP1」で徹底的に管理。
きめ細かなクライアントセキュリティ管理も実現

「The Sound Company」領域での成長を目指すヤマハ株式会社(以下、ヤマハ)は、グループ全体で利用している約1万台のパソコンすべてを対象に、インストールされているソフトウェアのライセンスを正確に管理している。 このライセンス管理システムを構築するために用いたのは、日立の統合システム運用管理「JP1」だ。豊かな感性と技術力を発揮して、さまざまな領域での新たな感動を創造してきた同社が、自由な創造性を大切にしつつ、徹底したソフトウェア・ライセンス管理を実現するうえで、JP1が力を発揮。さらに一歩進んで、部門単位でのきめ細かいクライアントセキュリティ管理までも実現している。

自由な創造性と徹底した管理の両立を目指す

鈴木 健司氏(写真前)、大村 夏生氏(写真左)、松下 和義氏(写真右)
情報システム部長 鈴木 健司氏(写真前)と同部 情報システムサポートセンター ネットワーク・ITグループ マネジャー 大村 夏生氏(写真左)、同グループ 主事 松下 和義氏(写真右)。

「ヤマハは、楽器だけでなく、ソフトウェア・コンテンツなども創っており、著作権やライセンスなどを守り育てる立場にあります。コンピュータのソフトウェア・ライセンスについても、形のないものであるからこそ、その価値をきちんと理解し、徹底的に管理すべきだと考えてきました」と鈴木氏は語る。

しかし、利用されているソフトウェアのライセンスを正確に把握することは容易ではなかった。楽器開発・音楽制作などを手掛ける同社ではインターネットなどを駆使して、日々さまざまな種類のソフトウェアを入手・利用することが必須であるからだ。アーティストを相手に創造的な感性を発揮することを大切にする社風であり、ソフトウェアの入手にも極力制限を設けない一方で、ライセンスを徹底的に管理する。一見相反するこの課題を解決するには本格的なライセンス管理ツールを導入して全社システムを構築することが不可欠であった。

そこで、同社が採用したのが日立の統合システム運用管理「JP1」だ。JP1を評価したのは、機能、コスト、サポートがそろっていたからだ。

「機能面では特に、グループ全体で1万台規模のパソコンを、安定して管理できる点を評価しました」と大村氏は語る。

まず2003年、ソフトウェア資産・配布管理「JP1/NETM/DM」を導入した。同製品は、インベントリをリアルタイムに自動収集するソフトウェアであり、さまざまなOSをサポートしている。

同社では、ライセンス管理の最初のステップとして、モデル工場を定めて、ソフトウェア・ライセンスの徹底的な棚卸しを行った。その結果、この工場が保有する約3,000台のパソコン上で、OSやバージョンまで区別すると数万種類ものソフトウェアがあることがわかった。

「全社でライセンス管理を徹底すると相当な投資が必要になります。しかし、経営トップからは、『投資の額の問題ではない。徹底的なライセンス管理のできる体制を、一刻も早く整備するように』という指示が出ました。この意思決定があったからこそ、その後のグループ全体への展開がスムーズに運んだのです」と鈴木氏は語る。

同社では、わずか半年ほどで、国内グループ企業約1万台のすべてのパソコンへJP1/NETM/DM Clientのインストールを完了し、インベントリをリアルタイムに収集できる環境を整備したのである。

柔軟な資産管理台帳生成して効率的なライセンス管理を実現

次なる課題は、収集したインベントリを効率よく管理することだった。そこで2004年に導入したのが、統合資産管理「JP1/NETM/AIM」である。JP1/NETM/AIMは、JP1/NETM/DMと連携し、収集したインベントリを整理・統合して、IT資産管理台帳を自動生成する。ソフトウェアの種類は今後も増え続けるが、JP1/NETM/AIMを使えば、最小限の工数で継続的な管理ができるのである。

また、JP1/NETM/AIMは、インベントリとソフトウェア商品名を関連づけて管理する「ソフトウェア辞書」の機能が充実しているため、各ベンダーと契約しているボリュームライセンスなどもきめ細かく管理できる。ただし、数万種類のソフトウェアを登録した辞書をメンテナンスし続けるのは大変な手間である。

そこで日立は、こうした管理作業をアウトソーシングすることを提案して、ライセンス管理システムの構築から運用までを一貫したサービスとして提供する体制を整えた。

現在、アウトソーシング先の日立電子サービス株式会社では、ソフトウェア辞書のメンテナンス、新規購入ソフトウェアのライセンス登録などを週単位で代行している。

「ヤマハ社内では、約400の部門ごとにライセンス管理責任者・ライセンス管理者・インストール担当者を任命し、半期ごとの棚卸しはもちろん、日常のライセンス管理にも組織的に取り組んでいます。ソフトウェア辞書管理という基礎的な管理作業を切り分けてアウトソーシングできたことで、社内のライセンス管理がより正確に実行できるのです」と松下氏は語る。

クライアントセキュリティ管理を部門単位で実現

ヤマハは、JP1の導入によって、柔軟かつ徹底したライセンス管理を実現できた。また、JP1/NETM/AIMのIT資産管理台帳は、ソフトウェアのインストール状況や利用状況などの「見える化」にも貢献している。各部門のライセンス管理者は、JP1/NETM/AIMの管理画面にログインするだけで、担当部門のソフトウェア利用状況をいつでも手軽にチェックできるようになったのである。

さらに一歩進めて、セキュリティの面からも、きめ細かい状況把握を行いたいというニーズが高まってきた。そこで2005年に追加導入したのが、クライアントセキュリティ管理「JP1/NETM/CSC」である。

JP1/NETM/CSCは、あらかじめ設定しておいたセキュリティポリシーに違反しているパソコンをすばやく検出できる。同社では、セキュリティポリシーをきめ細かく登録して、どの部門のどのマシンでどういうセキュリティの問題があるかが即座にわかる環境を整えた。さらに、JP1/NETM/AIMの管理画面から、JP1/NETM/CSCの管理情報まで連携して閲覧できるようになったため、各セキュリティ管理担当者の負担も抑えることができるのだ。

JP1の導入は、ライセンス管理、セキュリティ管理に加えて、パソコンの環境管理や導入計画の立案にも役立っている。

「ソフトウェアがサポート中止になるという情報が入れば、どのパソコンに影響があるかをすぐにチェックしています。ファイル交換ソフトの危険性が指摘されれば、すぐにダウンロードしているパソコンを特定して対応できます。先日も、最新OSを導入するにはメモリーを増強しなければならないパソコンはどれだけあるかを把握して、部門ごとのコスト試算も短時間で行ったところです」と鈴木氏は評価する。

さらに大村氏は、ヤマハが徹底したライセンス管理を実現できた理由として、「部門が運用に理解を示し協力してくれたこと、経営トップの決断が速かったこと、そして、日立の協力によって、管理範囲や管理機能の段階的な拡張をスピーディに展開できたこと」の3点を挙げた。徹底したソフトウェア・ライセンス管理ときめ細かなクライアントセキュリティ管理を実現したヤマハ。JP1は今後も、生き生きした創造力を発揮できるヤマハのパソコン利用環境をサポートしていく。

ヤマハのソフトウェア・クライアントセキュリティ管理システム概要
ヤマハのソフトウェア・クライアントセキュリティ管理システム概要

USER PROFILE

ヤマハ株式会社

[本社] 静岡県浜松市中区中沢町10-1
[設立] 1897年10月12日
[資本金] 285億3,400万円
[従業員数] 25,992名(2007年3月期

1887年創業。楽器やオーディオ製品はもとより、ネットワーク・情報通信機器、半導体、住宅設備機器、FA・金型、自動車用内装部品、リゾート施設運営などへと事業を拡大し続けるグローバルメーカー。

PARTNER PROFILE

日立電子サービス株式会社

[本社] 東京都港区三田3-13-12 三田MTビル
[創立] 1962年10月1日
[資本金] 50億円
[従業員数] 5,370名(2007年4月1日現在)

情報システムにおける企画・調達・設計・構築・導入・運用・保守をトータルかつワンストップで提供する。 “安心の「電サ」”をキャッチフレーズに、ライフサイクル全体の統合サポートサービスを推進。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 2007年10月15日号」に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • JP1/NETM/AIM:JP1/NETM/Asset Information Manager
  • JP1/NETM/CSC:JP1/NETM/Client Security Control
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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