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「ワークスタイルの革新」を支えるサーバ統合と
セキュリティの強化。日立の「JP1」を駆使して、
セキュアで使いやすい情報系インフラに刷新

日清オイリオグループ株式会社(以下、日清オイリオ)は、日清オイリオ(旧 日清製油)、リノール油脂、ニッコー製油が2004年7月に合併して誕生した、食用油最大手のメーカーである。同社は、2005年夏から取り組んできた情報系インフラの刷新を、このたび完了した。TCO(*)削減、セキュリティ強化などを実現するために、日立の統合システム運用管理「JP1」を活用。全国に散在していた情報系のファイルサーバを日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony(ブレードシンフォニー)」に統合し、JP1で効率よく集中管理を行っている。さらに、「JP1/秘文」でデータの暗号化と外部媒体書き込みの制限を徹底して、モバイルPCを使った営業スタイルの革新を定着させることにも成功した。

(*)
Total Cost of Ownership

合併後の共通文化の醸成を目指し情報系インフラを刷新

田崎 龍一氏の写真
日清オイリオグループ株式会社
情報システム部長
田崎 龍一氏

食用油のリーディングカンパニーである日清オイリオは、2005年夏から、情報系インフラの整備に取り組んでいる。

「2004年7月の合併に際しては、業務、ネットワーク、システムの統合を段階的に推し進め、2005年4月、ERPによる基幹系システム統合までを計画通りに完成させることができました。次の課題は、情報系インフラの刷新でした」と田崎氏は語る。異なる歴史と文化を持つ3社の従業員が一緒に仕事をしていくうえで、情報化基盤の統一は欠かせない。2005年夏から本格的に動き出した「ワークスタイル革新プロジェクト」は、営業マンのモバイルPC活用、ファイルサーバ統合を前提にしたペーパーストックレスの推進などを具体的なテーマに掲げた。

「『ワークスタイルの革新』を目標に、その前提となる業務ルールやセキュリティの標準化を進めてきました」と田崎氏は言う。

多様な要望をシングルブランドで重複なくカバー

塚本 学氏の写真
日清オイリオグループ株式会社
情報システム部
情報グループ
活用推進チーム
チームリーダー
塚本 学氏

プロジェクト推進の前提となる情報系のインフラ整備については日立の提案を採用した。日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」で全国に散在している情報系のファイルサーバを統合し、統合システム運用管理「JP1」で効率よい運用管理を行う。さらに、「JP1/秘文」でエンドポイントのセキュリティを固めることを骨子とした提案である。

「日立の提案には一貫性がありました。当社でやりたいことをシングルブランドで実現できるところが魅力でした。いろいろな製品を寄せ集めて組み合わせると、どうしても機能が重複して、管理が複雑になったり効率的でなかったりします」と田崎氏は言う。

「当社としてやりたいことは多岐にわたっており、もちろん1つの製品でカバーできる要求ではありません。リストを作ってチェックしていったところ、ヌケ落ちがなく、重複も少なかったのが、日立の提案だったのです」と塚本氏は言葉を添えた。

「JP1/秘文」で暗号化とエンドポイントのセキュリティを強化

林 弓弦氏の写真
株式会社 NSP
ソリューションビジネス事業本部
インフラグループ
グループマネージャー
林 弓弦氏

情報系インフラ整備でポイントとなったのが、セキュリティとサーバ統合の2つである。

セキュリティについて同社は、ポリシーを大きく変更し、パソコンの社外持ち出しを禁止するのではなく、社外でも安全で快適に使える環境構築に力を注いだ。

「ディスク内のデータを暗号化し、またセキュリティ管理の行き届きにくいUSBメモリ、CD-Rなどの外部メディアは、書き出しできないようにするなど、モバイルPCには多重に情報漏えい防止のしくみを張り巡らしました。そしてそれらのPCを、積極的に持ち出す機動的な営業活動を奨励したのです」(塚本氏)。

モバイルPCだけでなく、デスクトップPC、ファイルサーバ内のデータも、JP1/秘文で徹底的に暗号化し、万一意図しない漏えいがあっても悪用されない体制を整えた。外部メディアの読み込みは許可されるが、書き出しは禁止である。このルールをすべてのクライアントPCに徹底する際にも、JP1/秘文の機能を利用した。また、個人情報を含むファイルは特別なフォルダに登録して特に厳重に管理しているが、このフォルダに対するアクセス権の管理やアクセス履歴を記録するのも、JP1/秘文の役割である。

サーバ統合後の効率よい運用管理も「JP1」が実現

情報系のサーバ統合については、25拠点に36台分散していたファイルサーバを、川崎のデータセンタを中心に5拠点へと集約し、日立のディスクアレイサブシステム「SANRISE(サンライズ)」で確実なデータ管理を行うことにした。データセンタのファイルサーバは、BladeSymphonyを用いてアクティブ/スタンバイの二重化を行い、可用性を高めている。

数十台のサーバをBladeSymphonyの筐体ひとつに集約したことで、管理工数は格段に削減された。運用管理を行っている株式会社NSPは、川崎のデータセンタにあるシステムを、蒲田のNSP東京事業所からリモートで運用管理している。

「これまでは基幹系および情報系のサーバに対する運用管理が中心でしたが、サーバ統合以降は、クライアントPCの管理も担当するようになりました。資産配布管理ツールの『JP1/NETM/DM』は軽くて速く、クライアントPCも気軽にリモート管理ができて、大変助かっています」と、NSPの林氏は言う。

クライアントPCからは、アプリケーションのインストール状況、メモリやCPUの利用状況、MACアドレスなど、資産管理に必要な情報をいつでも吸い上げることができる。

クライアント/サーバ型の業務アプリケーションを保守する際には、JP1/NETM/DMを使ってパッチファイルを配布する。5台の配布中継サーバを使って段階的な配布を行っているため、全国約1250台のクライアントPCへのプログラム配布は非常にスムーズだ。

バックアップを一元的に取れるようになったのも、サーバ統合の成果のひとつである。

ユーザーデータは、「JP1/VERITAS」を使いSANRISEからLTOへバックアップしている。サーバ設定情報は、「JP1/ServerConductor」を使って、ブレード管理サーバへバックアップしており、ブレードサーバに障害が発生した場合には、バックアップしてあるサーバの設定情報をリストアしてすばやくシステム領域を復旧させる。

「JP1というシングルブランドでの統合ソリューションだからこそ、一元的な運用管理が実現できましたし、シームレスなユーザーサポートも提供できます」と林氏は強調する。

TCO削減とセキュリティ強化を両立させた情報系インフラが実現できたことで、日清オイリオでは、モバイルコンピューティングを用いた営業スタイルがスムーズに定着し、ワークスタイルの革新に向けて大きく前進することができた。「今後は、実装した環境を『体質』や『文化』として定着させていかなければなりません」と田崎氏は言う。

日立には、ベンダーとして、またフリーアドレス化などの先行ユーザーとしての情報提供も期待されている。

日清オイリオグループのサーバ統合とセキュリティ概要
日清オイリオグループのサーバ統合とセキュリティ概要

USER PROFILE (2006年6月現在)

日清オイリオグループ株式会社のロゴ

日清オイリオグループ株式会社

[本社] 東京都中央区新川1-23-1
[創立] 1907年
[資本金] 163億3,200万円(2006年3月末現在)
[従業員数] 1,033名(2006年3月末現在)

「おいしさ・健康・美」の追求を事業展開のコンセプトとして、製油事業、ヘルシーフーズ事業、ファインケミカル事業を展開。2003年、体に脂肪がつきにくい「ヘルシーリセッタ」を特定保健用食品として発売。リセッタブランドを軸に、パン、菓子など、異業種とのコラボレーションを展開中。

PARTNER PROFILE

株式会社NSP

[本社] 神奈川県横浜市西区北幸2-8-29 東武横浜第3ビル8F
[設立] 1978年7月20日
[資本金] 2億3,300万円
[従業員数] 211名(2006年3月末現在)

日清オイリオグループの情報戦略会社。売上の約75%は、グループ外の一般企業向けSIおよびITソリューションサービスに立脚する。ERP導入、データウェアハウス構築、人事・ワークフローなどのパッケージ開発に強い。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ(7/24発売号)」に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
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