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ミドルウェア

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日立オープンミドルウェアを活用し、
VOSK資産をWindows® 環境へマイグレーション

現行業務の継承と、次世代に向けた戦略的な機能拡張を図るため、 メインフレーム上のプログラム資産をオープン環境で継続運用させるマイグレーションが注目されています。

小魚水産加工品大手の株式会社ヤマイチは、SIパートナーである株式会社日立情報システムズの協力のもと、 COBOL2002、HiRDB、JP1といった日立オープンミドルウェアを活用し、 オフコンからメインフレームへと継承してきたプログラム資産を、 日立アドバンストサーバHA8000上のWindows® プラットフォームへと移行。 従来どおりの画面と操作性、機能拡張に向けた柔軟性をあわせ持つIT基盤の構築に成功しました。

工場内風景
クリーンな水産加工工場内で製造される“しらす干し”や“小女子”などの商品は、日産3万パックまでの生産能力を有している

幅広い市場から安全・安心な商品を食卓へ提供

川ア 孝則 氏の写真
株式会社
ヤマイチ
代表取締役
川ア 孝則 氏

 茨城県ひたちなか市に本拠を構える株式会社ヤマイチ(以下、 ヤマイチ)は、“しらす干し”や“小女子”といった小魚水産加工 品の製造・販売でトップクラスの業績を誇る企業です。主体となる のは近隣地区で水揚げされる小魚の一次加工ですが、年間を 通して安定供給を図るため、買参権を取得した東京築地市場に 東京営業所を開設。大阪・名古屋の市場も含め、全国規模で商 品の仕入れを行っています。

 また2008年からは、安全・衛生面において日本と同等の設備を もつ生産ラインを中国に確保するとともに、水産加工業界におけ る国際化をリード。国内外で年間500〜1,000トンの一次加工生 産能力を持つほか、お客さまからのアウトストア加工依頼に対応 するため、複数の工場内に設置した大規模なクリーンルームにお いて、日産3万パックまでの生産能力を確保しています。

 「お客さまに、おいしい食品を提供することは当然の義務ですが、 近年はそれ以上に安全・安心な商品を食べていただけるよう、衛 生管理面には特に力を入れています」と語るのは、代表取締役 の川ア 孝則氏。同社は2000年7月に、食品製造工程における世 界的なリスク管理手法であるHACCP(ハサップ)(*)の認定工場となりました。 生産加工ラインからパック製品生産までの工程管理では、日本初 の取得です。

 「自社内における一次加工品だけでなく、すべての仕入れ品 に関しても、全ロットの菌数検査を徹底して行っています。中国 生産拠点にもHACCP認定工場のノウハウを導入しているほか、 高精度のトレーサビリティを実現しています。これにより安全・安 心な商品をお客さまの食卓にお届けできるのです」と川ア氏は 語ります。

(*)
Hazard Analysis and Critical Control Point

オフコン時代から受け継がれてきたプログラム資産

吉成 盛夫 氏の写真
株式会社
ヤマイチ
総務・経理部 部長
吉成 盛夫 氏

 ヤマイチの躍進を支えるコアコンピタンスともいえるのが、創業以 来培ってきた「販売管理システム」です。同社が扱う食材や商品 の売上管理、仕入管理、在庫管理を核としたこのシステムは、川 ア氏みずからが考案し、使い続けてきた管理台帳の仕組みを、 約15年前に株式会社日立情報システムズ(以下、日立情報シス テムズ)に委託して、当時導入した日立のオフコン「ellesシリーズ」 のアプリケーションプログラムとして開発したもの。その後、日立の 小型メインフレーム「MP5400(VOSK)」に移行されたアプリケー ションは、一貫して変わらぬ操作性のまま、スタッフに慣れ親しまれ てきました。

 「しかし、これからの時代に必要な機能拡張を図っていくため には、オープン化を念頭に置いたPCサーバ環境への移行が必 要だと考えました」と語るのは、長年このシステムを見守り続けて きた総務・経理部 部長の吉成 盛夫氏です。吉成氏によれば、業 界特有のさまざまな商習慣に対応したプログラムは、市販ソフト で置き換えることが難しい機能ばかりだったとのこと。「例えば、 しらす100kgの売掛請求に対して、取引先からの入金が数度に 分かれて行われるケースがこの業界では少なくありません。そう なると、入金された分だけ当月の扱いにし、残りは翌月以降に繰 り越す処理が必要です。しらす1トンのうち半分をグロスでさばき、 半分はパック加工したような場合にも、一般的なソフトでは在庫 処理が非常に複雑になってしまいます。しかし当社のプログラ ムなら、ある固まりの中で、何をどこにいくらで売ったか、何個が パックされたかなどが詳細画面に見やすく表示されます。昔な がらの帳簿への手書き感覚をそのままプログラム化した使いや すさを、新しいプラットフォームでも、どうしても継承したかったの です」(吉成氏)。

VOSK環境のCOBOL資産をWindows® 環境へマイグレーション

オフィス風景
ヤマイチのオフィス風景

 VOSK環境のCOBOL資産をWindows® 環境へと 移行する ためのSIパートナーには、オフコン時代から同社のシステムをサポー トし続けてきた日立情報システムズが選ばれました。

 「当社では、PCサーバ環境へ新システムを移行する際の選 択肢として、当初はスクラップ&ビルド、パッケージ適用、マイグレー ションという3つの方法をご提案していました。しかしスクラップ&ビ ルドではコストと構築期間がかかりすぎ、パッケージ適用も現行機 能の継承が難しい。結局、将来的な拡張性も含めて、ヤマイチさ まの要件に最も適していたのがマイグレーションだったのです」と 振り返るのは、日立情報システムズ 流通情報サービス事業部 情 報サービス本部 第二設計部 技師の大場 和彦氏です。すでに VOSK環境からWindows® 環境への豊富なマイグレーション実 績を持っていた日立情報システムズでは、さまざまなプログラムの ストレート移行を高効率・低リスクに行うため、日立オープンミドルウェ アの適用を提案。COBOL85プログラムの移行には「COBOL2002」、 RDB編成ファイルの移行には「HiRDB」、メニュー画面の生成に は「JP1」を適用したプロジェクトを2008年9月にキックオフしました。

高効率・低リスクの移行を支援した日立オープンミドルウェア

相沢 美津男 氏の写真
株式会社
日立情報システムズ
第二営業統括本部 流通産業営業本部 第六営業部 主任
相沢 美津男 氏

大場 和彦 氏の写真
株式会社
日立情報システムズ
流通情報サービス事業部 情報サービス本部 第二設計部 技師
大場 和彦 氏

 日立情報システムズと日立製作所 ソフトウェア事業部が連携し て進められたプロジェクトでは、まず移行対象のプログラムを精査 するための棚卸しが行われました。その後、COBOL85との互換 性に優れたCOBOL2002によって、基本ロジックや画面まわりのプ ログラムにおいて、効率的かつスピーディなストレートコンバージョン を実現。「操作性を少しでも変えたくない、というお客さまからのご 要望を満たすため、VOSK上のCOBOLの動きとWindows® 上 のCOBOLの動きを同じようにみせる画面まわりの部分に、当社の SEは特に気を遣いました。しかしバッチプログラムなどでは COBOL2002の移行性の高さに大いに助けられ、予想以上に作 業が早く進行しました」と評価するのは、日立情報システムズ 第二 営業統括本部 流通産業営業本部 第六営業部 主任の相沢 美 津男氏。従来どおりのユーザーインタフェースの実現は、新システ ムでの業務効率を最も左右する部分だけに、「要所要所でお客さ まの意見を聞きながら、実システムに反映していくアプローチが効 果的でした」と相沢氏は付け加えます。

 RDB編成ファイルの移行には「HiRDB/Single Server Version 8」 が適用されました。「もしSQL Serverを使っていたら、RDB編成ファ イルのI/O部分をすべて書き換える作業が発生していたでしょう。 しかしVOSKとの親和性が高いHiRDBを採用したことで、一部 COBOLのレコード定義を変更する必要はありましたが、ほぼストレー トに移行できました」と語る大場氏。作業の過程では、ソフトウェア 事業部から随時、問題点に対する的確なアドバイスや技術面で のサポートを受けることができた点も「非常にありがたかった」と 評価します。

 スクリプト言語を使って容易にバッチジョブを作成できる 「JP1/Script」は、従来どおりの業務メニュー画面の作成を支援。 新たに付加された外部HDDへのファイルバックアップ機能は 「JP1/VERITAS」によって実現されています。

 長年にわたりヤマイチの業務に精通した日立情報システムズの 技術者と、オープンミドルウェアによる効率的な移行支援によって、 VOSK環境からWindows® 環境へ の移行作業は予定より2か月 も早い2009年3月にカットオーバー。ヤマイチの販売管理システム を「MP5400」から「HA8000/TS20(Windows Server® 2003 )」 へと移行することに成功しました。

工場内風景
システム構成図

レスポンスと利便性が大幅に向上

HA8000画像
ヤマイチの社内システムの
一端を担うHA8000

 新システムは、すべての処理機能をサーバ側に集約し、端末と なるPCからリモートデスクトップでアクセスする形となっています。 処理をHA8000側で一元化することで、レスポンス性能が大幅に アップしました。

 「従来は入力後、エンターキーを入れるとワンテンポ遅れて数字 が動く印象でした。しかし現在は非常にキビキビと動くのでスタッ フからも好評です。取引先か らの問い合わせに対して在庫 照会を行う際にもリアルタイム にレスポンスが来るようになり、 “少々お待ちください”と言わ ずに済むのがうれしいですね」 と目を細める吉成氏。トータル なハードウェア性能の向上に より、業務終了後のバッチ処 理も、これまで2時間かかって いた作業が、わずか15分で済 むようになったとのこと。

 さらに、システム全体の保守性やメンテナンス性も向上。「日立 情報システムズ側からリモート監視を行っているので、トラブルの 予兆があればすぐに遠隔対応できるようになりました。これにより、 インストールや設定作業など現地で行っていた作業を、リモートで 行うことができるようになったため、お客さまの保守費用を減らす 効果も出ています」と相沢氏は語ります。

水産加工物の製造風景
水産加工物の製造風景。安全・安心な商品を提供するために、品質管理には細心のチェック体制が取られている

新基盤への移行で機能拡張に向けた構想が本格化

 既存資産を、変化に柔軟に対応できるオープン環境へと移行 したことで、今後はより戦略的な機能拡張に向けたシステム化構 想が本格化してきました。

 「例えば営業スタッフが、外部からでも在庫照会や売上入力が できるモバイル環境の構築は、セキュリティ面などの条件さえ整えば、 すぐにでも実現したいシステムです。サーバリソースを高効率に 使える仮想化などにも興味があります」と語る吉成氏。続けて 川ア氏も、「商品分類別・担当別・得意先別などのさまざまな切り口で、 販売計画や予算に基づいた予実対比が行えるシステムが欲しい ですね。当社の事業をさらに拡大させるため、今回日立さんに構 築していただいた新しい基盤上で、より詳細な販売計画や経営戦 略の立案を実現していきたいと思います」と笑顔を見せます。

 企業の強みの源泉ともいえる既存資産を継承することで、コス トとリスクを最小化しながら、将来に向けたビジネス基盤の整備に 成功したヤマイチ。常に業界をリードする同社の積極的な取り組 みを、これからも日立はオープンミドルウェアを核としたプラットフォー ム製品の拡充により、強力にサポートしていきます。

USER PROFILE


株式会社 ヤマイチ

[本社] 茨城県ひたちなか市南神敷台10番地10
[資本金] 1,000万円
[事業内容] 水産加工品の製造および販売、飲食店の経営


特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2009年10月号」に掲載されたものです。
  • COBOL2002ファミリーHiRDBJP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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