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ComiComiCloudだから実現できたBCP対策
JP1/VERITAS NetBackupとJP1/Automatic Operationによる迅速な事業継続とは

1920年に設立された総合電機メーカーである株式会社日立製作所では、幅広い顧客に向けて従量課金型プライベートクラウドサービス「ComiComiCloud」を提供している。このComiComiCloudを利用する特定顧客が求めるDR環境の整備に向けて、JP1/VERITAS NetBackup(以降、NetBackup)と運用自動化に貢献するJP1/Automatic Operationを組み合わせ、事業継続に向けた最適なDR環境を構築している。

プライベートクラウド環境における効率的なDR環境の整備が急務に

「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、事業を通じてお客さまと社会の発展に寄与し続けている株式会社日立製作所。デジタルシステム&サービスをはじめ、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズの各領域にソリューションを展開しており、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進している。

そんな同社では、ハードウェアを顧客内のデータセンターに設置し、ITリソースを従量課金で利用できる従量課金型プライベートクラウドサービス「ComiComiCloud」を提供しており、顧客のニーズに応じて柔軟なITリソースの活用が可能な環境を整備している。また、費用対効果を考慮しながらPaaSやSaaSをはじめとしたパブリッククラウド環境も含めたマネージドサービスを提案、提供することも可能となっており、ハイブリッドクラウド環境下でのインフラ運用を同社が一括して支援するハイブリッドクラウド運用サービスの提供も行っている。

鈴木 克弥 氏

鈴木 克弥 氏

このComiComiCloudにおいて、顧客向けにサイトを運用しているのがエンタープライズソリューション事業部 産業システム本部 DXクラウドソリューション部だ。「業種や規模にとらわれず、お客さまの要望に応じてさまざまなサイトを提供しています。その中で、数十社ある企業グループ全体の設計部門 1,000名ほどをターゲットにITリソース提供を行っているのが、設計クラウドです」と説明するのは、設計クラウドにおける日々運用に関するリーダーを担当している同部 技師 鈴木 克弥氏だ。インフラ部分の提供のみならず、製造工程のプロセスを管理する仕組みや CAD 設計を支援するアプリケーションも含めて、インフラ基盤とともに提供しているという。

この設計クラウド上では、CADデータをはじめとした設計成果物の一元管理や製品情報の共有を行うPLMソリューションが稼働しており、万が一の障害時には迅速な復旧が必要不可欠だ。そこで、設計クラウドにおいて事業継続を推進するためのDRソリューションが求められたという。

JP1/Automatic Operationとの実績やVMwareとの親和性の高さも含めて注目したNetBackup

川本 啓輝 氏

川本 啓輝 氏

具体的には、同社が管理する東西のデータセンターに対して正副の環境を用意し、万一に備えた DR環境を提案していたが、当初はコマンドベースでファイルをコピーし、日時でデータを送るという、ある意味で手作業による愚直なものだった。「従来のお客さまでは、セキュリティパッチの適用やアプリケーションの更新反映など手作業での運用でもサービスレベルが満たされていましたが、設計クラウドに関しては、アプリケーションのバージョンはもちろんOSレイヤーを含めてきちんとバックアップしたうえで、DRサイトでも迅速にリストアできる環境が求められたのです」と新たな技術検討や拡販時のサービス選定、提案活動を担当している同部 技師 川本 啓輝氏は当時を振り返る。

復旧時間の迅速化に向けて新たな環境づくりを検討する過程で注目したのが、ベリタステクノロジーズが提供しているNetBackupだった。「効率よく遠隔地にコピーするだけでなく、転送したイメージファイルをゲストOSとして起動させるといった一連の流れでお客さまに提供したいという思いがありました。そこで、運用自動化を可能にするJP1/Automatic Operationとの組み合わせに実績があり、かつ我々が運用しているハイパーバイザーであるVMwareとの親和性が高かったNetBackupに注目しました」と川本氏。

また、将来的にはDRソリューションとしてパッケージ化し、他の顧客にも展開できることを念頭にソリューションを検討。「DRの仕組みはお客さまに費用を出して開発するのではなく、我々として投資したうえで運用手順書も含めて整備しています。ベリタステクノロジーズのソリューションは当社でOEM製品として長年取り扱っており、 社内にプレ段階から相談できる相談窓口が設置されているため、何かあれば迅速に支援可能な体制が整っています。内部的に手厚いサポートが得られることは大きい」と川本氏。

結果として、ComiComiCloudを利用する設計クラウドにおけるDR環境の実現に向け、JP1/Automatic OperationとともにベリタスのNetBackupが選択されたのだ。

遠隔地へのバックアップを効率化、BCP対策としての有用性が広がる

現在は、ComiComiCloudにて運用している複数サイトのうち、設計クラウドにおけるDRの仕組みとしてNetBackupを運用しており、日々7TBほどのデータを夜間にDRサイトに展開。OSも含めた正副の差分チェックやリストア作業全体で7時間ほどを要しているが、イメージレプリケーション差分データの転送は数十分ほどで完了している。「従来のようなコマンドによる手動での方法では、下手をすると24時間はかかってしまうようなプロセスですが、かなりの時間短縮につながっています」と川本氏は評価する。

善場 祐貴 氏

善場 祐貴 氏

新たなDR環境の整備によって、電源の立ち上げなど手動での作業はあるものの、万一の状況でもすぐにDRサイトにて業務継続が可能になるなど、BCP対策としても有用な環境が整備できている。「現在でも安定稼働を続けており、お客さまからも良い評価をいただいています。稼働後に障害は発生していませんが、本当に障害が起きてDRサイトでサービスが立ち上がれば、改めて評価をいただけることでしょう」と鈴木氏。また、データ量の多いバックアップデータをDRサイトに送るため、本来であれば高帯域な専用線での処理が求められるが、効率的な重複排除技術によって、ベストエフォートな回線であっても設計クラウドのサービスを運用することができている。 最低限の準備で安定した DR が可能になっていると評価も高い。日々の運用を担当している同部 善場 祐貴氏も「途中から運用に関わるようになりましたが、何か問題が起こりそうな気配がなく、高度な知識がなくとも安定して利用できている状況です。NetBackup があるからこそ負担なく運用できています」と評価する。

新たな環境は半年ほどで稼働を迎えているが、新規の取り組みとしては順調に進んだという。「JP1/VERITAS NetBackup の技術者の中にJP1/Automatic Operationの知見を有する方もいて、その人が橋渡しになってうまくDR環境が整備できました。顧客との打ち合わせにも同席いただくなど、親身になった手厚いサポートのおかげです」と川本氏。また、製品事業部など内部的なサポートが得られるNetBackupだけに、内部的な支援も手伝って大きなトラブルは一切発生していない。「今回のケースをきっかけに、従来コマンドベースでの手作業で実施してきた別のお客さまにも、NetBackupを軸に遠隔地へのバックアップ提案を始めています。ストレージの機能で高額な費用をかけずとも、もっと手軽にNetBackupにて同様のことができると提案しやすくなりました」と鈴木氏。

新たなソリューションのひな形として展開の幅を広げていきたい

今後についてはComiComiCloudを利用する他の顧客に向けて、今回のユースケースをベースに提案を進めていきたいという。「我々に遠隔地バックアップを実施したいという相談を直接いただくケースも出てきています。営業部門など社内への周知徹底も含めて、NetBackupを活用した今回のアプローチを幅広く活用していきたい」と鈴木氏は期待を寄せている。

現在の設計クラウドに関しては、プライベートクラウド環境で秘匿性の高い環境で設計データを扱っているが、ComiComiCloud自体はパブリッククラウドへの展開も含めてマネジメントできるソリューションとなっており、 将来的には NetBackup が持つセキュリティの機能もうまく活用できるシーンが出てくる可能性は十分あるという。同時に、ベリタスが持つVeritas Altaシリーズなどクラウドサービスへの期待については、製品事業部での扱いを含めてJP1シリーズの1つとして提供できるようになることで展開も変わってくると最後に締めくくった。

特記事項

  • HITACHI、JP1は、株式会社 日立製作所の商標または登録商標です。
  • Veritas、Veritasロゴ、およびNetBackupは、米国およびその他の国におけるVeritas Technologies LLCまたはその関連会社の商標または登録商標です。
  • VMwareは、米国およびその他の地域におけるVMware, Inc. の登録商標または商標です。
  • その他記載の会社名、製品名などは、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
  • ご紹介している製品は、JP1 Version 12です。
  • 記載の仕様は、製品の改良などのため予告なく変更することがあります。
  • 製品の色は印刷されたものですので、実際の製品の色調と異なる場合があります。
  • 本製品を輸出される場合には、外国為替および外国貿易法の規制ならびに米国の輸出管理規則など外国の輸出関連法規をご確認のうえ、必要な手続きをお取りください。
    なお、ご不明な場合は、当社担当営業にお問い合わせください。