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企業情報ニュースリリース

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2021年5月28日
株式会社日立製作所
Hitachi Asia (Thailand) Co. Ltd.

タイの電力需給バランスの最適化に向けた
デマンドレスポンス実証プロジェクトのシステムベンダーに決定

再生可能エネルギーの導入を促進し、温室効果ガス排出削減に貢献

  株式会社日立製作所(以下、日立)およびタイ王国(以下、タイ)における現地法人であるHitachi Asia (Thailand) Co. Ltd.(以下、日立アジア(タイランド)社)は、このたび、タイ政府が主導するエネルギー政策の包括計画Smart Grid Development Master Plan*1に基づきタイ王国発電公社(Electricity Generating Authority of Thailand/以下、EGAT)が推進する、電力需給バランスの最適化に向けた制度設計・実用化を検討するデマンドレスポンス*2(以下、DR)実証プロジェクトにおいて、EGAT向けDR管理システムDRMS*3(Demand Response Management System)のシステムベンダーに決定しました。
  本実証プロジェクトは、タイで最も古い歴史をもつ国立大学であるChulalongkorn University (以下、チュラロンコン大学)が、DRの制度設計をはじめ中心的に進めており、送配電設備を効率よく運用することにより再生可能エネルギーの系統容量の拡大を実現する、スマートグリッド*4システムの構築に向けた取り組みの一環となるものです。

  現在、タイ国内における主要電源は火力発電所であることから、タイのエネルギー省では、地球温暖化を背景に、2019年に出された2018年〜2037年を対象とするタイ電源開発計画*5(Power Development Plan(PDP)2018)において、温室効果ガス排出削減などの環境負荷の低減を考えた電源構成の実現を掲げています。天然ガスへの依存度はほぼ維持し、石炭火力への依存度を1割程度に引き下げ、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーを積極的に導入する方針などが示されています。
  今後、再生可能エネルギーの拡充に伴い、天候などによって急変する電力需要に対応するための系統運用の難しさが顕在化し、本システムのような需給バランスを保つための系統安定化対策の重要性がこれまで以上に高まることが予想されます。

  長年、日立は、DR技術の萌芽期から、国内外において複数の実証プロジェクトに取り組み、その技術と知見・ノウハウを蓄積してきました。米国・ハワイ州での再生エネルギー導入に向けたスマートグリッド実証事業*6や、国内では、経済産業省が主導したバーチャルパワープラント*7(以下、VPP)構築実証事業(2016年〜2020年)*8において、日本の制度設計に対応しDRやVPPの技術・システムの標準化を推進してきた早稲田大学や電力各社の送配電事業部門との実証プロジェクトに取り組んできました。
  今回、タイでの実証においては、これまで日立が培った技術やノウハウをもとに、日立のDR/VPPソリューションである「CURSUS-VPP」を活用します。再生可能エネルギーをはじめとした複数の分散電源をあたかも1つのVPP(仮想発電所)のように統合的に管理できるシステムを提供します。

  本実証は、2021年5月から、日立アジア(タイランド)社がシステムの構築および動作試験などを進め、2021年12月から2022年12月まで、チュラロンコン大学の支援のもと、EGATによるシステム実証を行う予定です。国内で実績のある日立のDR/VPPソリューションである「CURSUS-VPP」を提供し短期間でのシステム構築を可能とするほか、チュラロンコン大学やEGAT向けに運用面に関する技術的な支援やトレーニングも実施します。タイ現地での継続的なサポート体制を構築することで、将来にわたってタイにおけるスマートグリッドシステムの高度化に貢献していきます。

  今後も日立は、本実証の結果を踏まえ、タイを起点としてASEAN諸国において、日本の系統安定化技術や関連ソリューション・ノウハウを、スマートグリッドで中核となるDRやVPP事業の発展に向けて展開し、エネルギーの安定供給とともに、再生可能エネルギーの利用促進や脱炭素化に向けた取り組みに貢献していきます。

*1
Smart Grid Development Master Plan:タイのスマートグリッド開発における政策・対策の導入計画を4つのステージに分けて定義したもの。この計画が定める具体的な活動内容には、エネルギー管理システム、デマンドレスポンス、エネルギー貯蔵、気象予測といった、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの出力変動対策が含まれている。
*2
デマンドレスポンス(DR):電気事業者等の電力供給側が、供給量に合わせて需要家側(各家庭や企業)の消費電力を抑制できるように、電力料金やインセンティブ条件を掲げて、電力消費の抑制や制御を行うこと。需要家側が、供給者側からの要請に応じることから「デマンドレスポンス(需要応答)」と呼ばれる。
*3
DRMS(Demand Response Management System):デマンドレスポンスの発動を管理するシステム
*4
スマートグリッド:ITや制御技術を用い、電力需要と電力供給をリアルタイムに一致させる先進的な電力網
*5
Power Development Plan 2018:国家の経済成長予測に合わせた電力需要予測や調達燃料の多様化政策などの発電に関する計画
*6
2013年12月18日ニュースリリース 「ハワイにおける日米スマートグリッド実証事業の実証サイトが始動」
*7
バーチャルパワープラント(VPP):太陽光発電などの再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車(EV)などのエネルギーリソースを、IoT技術を用いて、あたかも一つの発電所のように制御する技術
*8
「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」として、経済産業省がVPPの構築に係る実証事業を行う経費に対して当該費用の一部を助成するもの

「CURSUS-VPP」に関するWebサイト

  家庭やオフィス、工場などにおける、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーや蓄電池、自家発電といったさまざまな分散電源をIoT技術により束ね、あたかも一つの発電所のように統合的に管理・遠隔制御するVPPは、脱炭素社会の実現や都市レジリエンス強化などのニーズを背景に、従来の大規模発電所に代わる次世代の電力インフラとして注目されています。
  日立の「CURSUS-VPP」は、アグリゲーター*向けに、デマンドレスポンス(DR)における国際標準プロトコルOpenADR (Automated Demand Response)をベースとしたDRイベント自動処理やアグリゲーション管理機能のほか、市場取引業務支援、AIを活用した取引・需要量予測、見える化、事業立ち上げ支援など、VPPを効率よく実現するためのトータルソリューションとして提供しています。

*
アグリゲーター:家庭などの太陽光発電やEVなどの複数の分散電源を制御するリソースアグリゲーターと、複数のリソースアグリゲーターの電力をまとめ、送配電事業者などに電力を提供するアグリゲーションコーディネーターのこと。

日立製作所について

  日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーであるLumadaを通じて、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ、オートモティブシステムの6分野でお客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速することで、社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値向上に貢献します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 社会ビジネスユニット 社会システム事業部

以上

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