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企業情報ニュースリリース

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2020年2月4日
株式会社ニチレイフーズ
株式会社日立製作所

ニチレイフーズと日立が協創
AI技術を活用した、食品工場の「最適生産・要員計画自動立案システム」本格稼働へ

熟練者の計画立案を再現・進化させ、需要変化に即応する生産体制の構築と働き方改革をめざす

  株式会社ニチレイフーズ(代表取締役社長:竹永 雅彦/以下、ニチレイフーズ)は、株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)との協創を通じ、AIを活用して最適な生産計画および要員計画を自動立案するシステムを国内4拠点の食品工場に導入し、2020年1月から順次本格運用を開始しました。
  このシステムは、熟練者の立案する複雑な制約条件を考慮した計画を高度なAI技術により再現・進化させるもので、ニチレイフーズは本システムの導入により、これまでの当該業務時間を従来の1/10程度に短縮することが可能になります。加えて、熟練者以外の従業員がよりフレキシブルな生産計画・要員配置を作成できることから、労働時間の低減や休暇取得の向上など「働き方改革」の一助となることが期待されます。
  日立は、これらニチレイフーズの複雑で多岐にわたる生産パターン・制約条件・実例などを踏まえた検証を実施し、その経験を活かして、今後、幅広い業種のお客さまの課題解決に貢献していきます。

[画像]AIを活用した「最適生産・要員計画自動立案システム」のイメージ
AIを活用した「最適生産・要員計画自動立案システム」のイメージ

【ニチレイフーズ・日立の協創、開発導入の背景】

  近年、食品メーカーでは、需要変動に対応して商品を生産・供給することが求められる一方、生産年齢人口の減少に伴う熟練者の不足などを背景に、先進のデジタル技術を活用した、高効率な生産体制構築への重要性が高まっています。
  このような状況下、冷凍食品のパイオニアであるニチレイフーズでは、安全・安心な商品の提供に向けて、業界に先駆けて2004年から、品質管理や就業管理、セキュリティの強化などの生産現場のシステム化に継続的に取り組んできました。これまでは、業務を熟知しているニチレイフーズの従業員が自ら業務を整理し、改善のポイントを見極めてシステムに反映させる内製化を行うことで、実効性の高い効率的なシステムを構築してきました。
  生産計画や要員計画は、経験を有する熟練者が各工場別・ライン別・生産品目別に、1) ノウハウや経験則に基づく勘、2) 設備や納期、コスト、3) 作業者のスキルを考慮した配置(勤務シフト)などの複雑な制約条件、4) 過去の膨大な計画履歴などを基に長時間かけて立案して成果を上げてきました。しかしながら、一定の効果は出せるものの、人手作業で継続するには限界があり、熟練者の経験則に基づく勘をシステムに反映する事は困難な状況にありました。結果、熟練作業者や一部の作業員の負担が大きく、その改善が課題となっていました。

  こうした中、デジタル技術を活用した先進的な製造体制構築に取り組むニチレイフーズと、自ら製造業として長年培ってきたOT*1とITを融合し先進的なデジタル技術を活用したLumada*2ソリューションを提供する日立は、両社の知見・ノウハウを融合し、生産計画および要員計画の最適化に向けた協創を2018年から開始しました。

*1
OT : Operational Technology(制御・運用技術)
*2
Lumada : お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

【今回のシステム開発とシステム概況および導入効果】

熟練者の経験則に基づく勘までも取り込んだAI最適生産・要員計画自動立案システム構築
(1工場で最大16兆通りの組み合わせの中の最適解をAIが立案)

  まず両社は、従来にない新しい価値や発想を生み出す日立独自のデザインアプローチを活用して、計画立案に関する一連の業務を見える化しました。それらに現場の各種データをかけ合わせ、熟練者のノウハウを日立のLumadaソリューションである「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」へ組み込みました。そして、2018年8月から1年にわたり、ニチレイフーズの事業所へ試験的に導入し、効果を検証しました。

  本システムでは、機械学習と数理最適化技術*3を組み合わせた日立独自のAI技術を用いて熟練者独自の計画パターンを数値化・重みづけし、それらを抽出・組み合わせて解析します。効果を検証した結果、1工場で最大16兆通りの組み合わせがある中から、日別のラインごとの生産商品・生産量などの生産計画、作業者のシフトスケジュールなどの要員計画の最適解を、従来の1/10程度の時間に短縮して自動立案することが可能となりました。また、この内容で生産・要員配置を行った際の結果や課題を学習させることにより、これまで困難だった熟練者の効率性と品質を両立した生産・要員計画立案を再現できるシステムを実現しました。さらに、需要変化に即応する生産体制の構築と業務効率の向上、生産性の向上、働く場の制約なしに作業者が広く働くことができる機会の提供などが可能となります。経営者、労働者双方にメリットが生まれ、働き方改革の取り組みの加速が期待されます。

*3
数理最適化技術 : 与えられた制約条件を満たした中で、最も良い結果を導き出す計算技術。現実の問題のポイントを整理して数式で表し、数式に合ったアルゴリズムで最適な解を求める。

【システム導入後の展開・めざす姿】

  ニチレイフーズでは、今後、本システムを、国内11工場および海外工場へ順次展開・拡大する計画です。また、本システムをはじめとしたデジタル技術の活用を通じて、生産性向上や生産リードタイム短縮、在庫圧縮への取り組みと働き方改革をさらに推進していきます。
  日立は、今回適用した「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」をLumadaソリューションとして幅広い業種のお客さまに展開し、お客さまの社会価値・経済価値の向上に貢献します。

「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」の概要・特長

  日立は、長年にわたって、限られた時間内で瞬時に多くの制約条件を満たす必要のある、鉄道のダイヤ編成など運行管理の分野に取り組んできました。ここで培われた数理最適化技術に機械学習を組み合わせた日立独自のAI技術である 「Hitachi AI Technology/MLCP(Machine Learning Constraint Programming)」を、本サービスの中核技術として適用しています。これにより、生産計画立案業務においては設備の稼働状況や納期、コスト、人員計画立案業務においては作業員のスキルや勤怠といった複雑な制約条件に加え、大量の計画履歴を機械学習して見出した熟練者のパターンを、独自の最適化エンジンに組み込み、最適解を高速に導きます。熟練者は、制約条件を満たせない場合でも、条件を緩和して柔軟に計画の立案を行うなど、経験に基づくノウハウで高効率な計画を立案しています。これらのノウハウをデジタル化することで、急な需要変動や納期の変更などにも、柔軟な計画立案を支援します。また、システムによる自動立案の結果を、熟練者が評価して継続的に学習することで、計画内容の品質向上を図ります。

関連情報

ニチレイフーズについて

  ニチレイフーズは、日本における冷凍食品のフロンティアカンパニーとして、冷凍食品事業を柱にこだわりの素材と加工技術を活かしお客様のお役に立つ価値ある商品とサービスを提供しつづけております。
  2018年度の連結売上高は2,265億円(2019年3月期ニチレイフーズグループ連結)、従業員数は12,218名でした。

日立製作所について

  日立は、OT(Operational Technology)、IT(Information Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2018年度の連結売上収益は9兆4,806億円、2019年3月末時点の連結従業員数は約296,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 産業・流通ビジネスユニット ソリューション&サービス事業部

以上

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