ニュースリリース

福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器内部詳細調査用
潜水機能付ボート型アクセス調査装置を開発

原子炉格納容器内のペデスタル外側地下階における詳細目視や堆積物調査を新たに実施

潜水機能付ボート「ROV-A」外観

  日立GEニュークリア・エナジー株式会社(取締役社長:久米 正／以下、日立GE)と技術研究組合 国際廃炉研究開発機構(理事長:石橋 英雄／以下、IRID)は、このたび、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置に向け、1号機の原子炉格納容器(以下、PCV)内のペデスタル*1外側地下階における構造物や水中の堆積物を調査するため、潜水機能付ボート型アクセス調査装置(以下、本装置)を開発しました。本装置の開発により、新たに、PCV内のペデスタル外側地下階の詳細目視や、堆積物の形状・厚さ・燃料成分含有状況の確認、堆積物下の状況確認、堆積物の少量サンプリングが可能となります。
  日立GEとIRIDでは、日立GE日立事業所臨海工場(茨城県日立市)に設置したPCV内部を模擬した試験体を用いて本装置の操作や動作確認を行い、2019年度上期中開始を計画されている福島第一原子力発電所1号機での現場調査の成功に向け、取り組みを進めていきます。

  これまで、日立GEとIRIDは、福島第一原子力発電所1号機における燃料デブリの取り出しに向け、PCV内調査のための開発を進めてきました。2015年4月にはPCV内のペデスタル外側1階の調査(B1調査)を行い、PCV内部の環境確認のほか、ペデスタル外側1階のグレーチング*2上に調査装置が移動できるルートがあることが確認されました。2017年3月にはPCV内のペデスタル外側地下階の調査(B2調査)を実施し、水中カメラを搭載した調査装置「PMORPH(ピーモルフ)」がB1調査で確認されたルートを走行し、PCV内のペデスタル外側地下階の水中に堆積物が分布していることが確認されました。B2調査の結果を受け、2019年度上期中に、PCV内のペデスタル外側地下階の構造物の状況や、堆積物の分布状況・形状・成分などを把握するための調査の開始が計画されており、本装置を用いる予定です。

  今回開発した本装置は、潜水機能付ボート5種類と小型ボート1種類の合計6種類です。潜水機能付ボート(5種類)は、ガイドリング取り付け用ボートの1種類と、堆積物3Dマッピング、堆積物厚さ測定、中性子束測定、堆積物サンプリングの各機能に合わせてセンサ類を搭載した計測用ボートの4種類に分類されます。また、外形寸法の異なる小型ボート(1種類)は、水中監視用パンチルトカメラ、気中監視用パンチルトカメラ、上部監視用望遠カメラ、後方監視用広角カメラを搭載し、広範囲の目視が可能です。

  今回の調査では、本装置のケーブルがPCV内の既設設備に絡まることを防ぐため、まず、ガイドリング取り付け用ボートによりPCV内にガイドリングを取り付けます。その後、小型ボートと4種類の計測用ボートを用いて、PCV内のペデスタル外側地下階の詳細目視や、堆積物の3次元形状・厚さ・燃料成分含有状況の確認、堆積物下の状況確認、堆積物の少量サンプリングを行う予定です。また、現場状況によっては、ペデスタル内の調査も試みます。

  日立GEとIRIDは、技術開発を通じて、今後も福島第一原子力発電所の廃止措置対応に貢献していきます。

*1

原子炉圧力容器下部にある基礎

*2

格子状の金網

潜水機能付ボート型アクセス調査装置の概要

1. タイプと機能

*3

ROV: Remotely Operated Vehicle

2. 潜水機能付ボートの仕様

3. 小型ボートの仕様

以上