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企業情報ニュースリリース

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2016年11月9日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ株式会社
株式会社 日立製作所
株式会社 サイバー創研

東大寺でクリーンビーコンを用いた観光ガイド実証実験を開始

無給電でメンテナンスフリーなビーコンによるヒューマンナビゲーションシステム

  NEDOプロジェクトにおいて、ソフトバンクグループのリアライズ・モバイル・コミュニケーションズ(株)、(株)日立製作所および(株)サイバー創研は、11月9日から奈良県の東大寺で無線発信機のクリーンビーコンとスマートフォンアプリを用いた観光ガイドの実証実験を開始します。
  実証実験を通じて、環境発電による屋内外の無給電動作が可能でメンテナンスフリーなクリーンビーコンによるヒューマンナビゲーション・インフラの確立を目指します。この成果をガイドラインにまとめることで、クリーンビーコンのオープンプラットフォーム構築と普及を進めます。将来的には、観光のみならずセールスプロモーションや防災など様々な分野での活用が期待されます。

[画像]図1.クリーンビーコンとスマートフォンアプリのイメージ

1. 概要

  あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(Internet of Things)の普及によって、消費電力の大幅な増加が予想され、エレクトロニクス機器の低消費電力化、高効率化は重要な課題となっています。しかし、それを解決するために開発されたクリーンデバイス*1の多くは、コストが高く用途が限定されているため、普及には至っていません。そこでNEDOは、クリーンデバイス社会実装推進事業においてクリーンデバイスを適用したユースケースを創出し、クリーンデバイスの普及拡大を目指しています。
  昨今、iBeacon®に代表されるような、Bluetooth® Low Energyによる無線技術を用いたビーコンは、スマートフォンなどの情報端末にトリガーを与え、クーポン配布や位置情報取得による見守りなど様々なサービスに活用されています。今後も増加する訪日外国人への案内、地方活性化、防災防犯などの社会的ニーズを満たす技術として、市場の拡大が期待される分野です。その一方で、動作に電源を必要とするビーコン機器が広範囲・大量に設置されると、電池交換や管理などの運用上の問題が発生します。
  そこで、本事業では、無給電*2で24時間動作し、かつ、メンテナンスフリーなクリーンビーコン*3を開発・試作し、また、それら大量のビーコンを管理するオープンプラットフォームの開発により、上記問題の解決を目指してきました。

  今回の実証実験では、観光客が、本実証実験で提供するサービスに対応したアプリをスマートフォンにダウンロードし、東大寺の敷地内に複数設置されているクリーンビーコンに近づくと、自動的に観光ガイド情報や、ナビゲーション情報を提供します(図1)。
  本実証試験を通じて、クリーンビーコンおよびオープンプラットフォーム*4の機能・性能などを検証、課題抽出を行い、実用化に向けた信頼性の向上を図ります。

2. 実証実験の内容

目的 クリーンビーコンおよびオープンプラットフォームの実用化に向けた信頼性向上
実施期間 2016年11月9日〜2017年3月31日まで
実施場所 東大寺境内
ガイドエリア 5カ所(図2参照)
アプリ正式名 Nara Audio Guide ダウンロードはこちら(無料)

  なお、今回の観光ガイドはiOSアプリで、英・中・韓国語に対応し、外国人観光客の利用を促します。アプリをインストールしたスマートフォンが下記観光ガイドムービー起動スポットに入ると、ビーコンから発せられる電波を受信し、その場に応じた観光ガイドムービーが自動再生されます。これにより、外国人観光客に対して、東大寺の概要や歴史の説明、参拝のマナーなどを紹介するツールとして期待しています。
  アプリのインストール案内は、奈良県に協力いただき、東大寺境内、奈良ビジターセンター、奈良市総合観光案内所等で配布します。

[画像]図2.観光ガイドムービーの起動スポット

[画像]図3.観光ガイドムービー画面の例 (上)東大寺大仏殿の成り立ちを説明 (下)東大寺での作法を説明

3. 今後の予定

  プロジェクト終了後に、クリーンビーコンの設置・利用ガイドラインやオープンプラットフォームの外部インターフェースを一般公開するとともに、既存のプラットフォームおよびサービス提供事業者へも連携を呼びかけることで、幅広い分野での活用を提案し、新サービス・市場の創設、拡大に貢献します。

[画像]図4.今後の活用展開のイメージ

*
iBeaconおよびiOSは、Apple Inc.の登録商標です。
*
Bluetoothは、米国Bluetooth SGI Inc.の登録商標です。
【用語解説】
*1
クリーンデバイス
実用化間近で、社会に実装されることで省エネルギー効果が期待される最新の電子デバイスとして定義。
*2
無給電
ここでは、1次電池や外部電源を用いずに環境発電を用いて自律動作するという意味で定義。
*3
クリーンビーコン
今回開発した屋内外を無給電で動作するビーコンの名称。(株)日立製作所がNEDO「社会課題対応センサーシステム開発プロジェクト」の成果として得た独自技術「環境発電エネルギーマネジメント回路」を活用。これにより木陰や室内照明などの低照度(200ルクス程度)の明るさでも短時間での動作開始が可能となるほか、ビーコン機器の動作に必要な電力の蓄電も同時に行うことができるので、夜間や停電時でも一定時間動作が継続できる。
*4
オープンプラットフォーム
広範囲に敷設された多様かつ大量のビーコンを管理するために汎用性を持たせた管理プラットフォーム。これにより、異なるサービス事業者が、設置されたビーコンを相互利用できるようになり、サービス事業者は少ないインフラ投資で短期間にサービス展開することが可能となる。

以上

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