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企業情報ニュースリリース

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2016年4月18日

香港養和病院から陽子線がん治療システムを受注

香港で初となる陽子線がん治療システムが2020年までに稼働予定

  株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、香港において初となる陽子線がん治療システムを、香港養和病院(Hong Kong Sanatorium & Hospital)のグループ会社であるMillion Hope International Limited(以下、MHI)から受注し、また、10年間にわたるシステムの保守契約も締結しました。
  今回、日立はスポットスキャニング技術を搭載し、回転ガントリ室2室を備えた陽子線がん治療システムを香港養和病院の新病院内に設置します。本システムは、都市部の狭い敷地においても設置ができるよう、加速器と複数の治療室をそれぞれ上下階に配置した構造となっており、今後、都市部の限られた敷地に陽子線治療システムを設置する際のモデルケースとなります。本システムは2020年までに稼働を開始する予定であり、日立にとって、香港で初めての受注となります。

  1922年に開設された香港養和病院は香港大手の民間総合病院です。質の高い先進の医療技術や患者中心の看護を提供するアジアでもっとも優良な病院の一つであり、中国の医療モデルにもなっています。香港養和病院は、2020年までに地上17階建ての新病院を建設し、陽子線がん治療システムは、新病院の地下に設置される予定です。

  日立は、2007年12月、スポットスキャニング技術を搭載した陽子線がん治療システムで、世界初となる米国食品医薬局(FDA : Food and Drug Administration)の販売許可を取得しました。2008年5月に世界最大級のがんセンターである米国M.D.アンダーソンがんセンターに陽子線がん治療システムを納入したのをはじめ、2013年9月に名古屋陽子線治療センター、2014年3月には北海道大学に納入しており、2015年度には米国の3施設で新たに治療が開始されました。
  これまでに日立のシステムで10,000名以上の患者が治療を受けており、高い装置稼働率やお客さまへの長期的かつ充実したサポート体制など高い信頼性と実績が評価されており、グローバルで日立の粒子線がん治療システムが選ばれています。

  香港養和病院のManager(Administration)兼MHIのChief Operation OfficerであるWyman LI氏は、「日本と米国で多くの実績を持つ日立の陽子線がん治療システムを香港で初めて導入することで、本地域において今までにはなかった先進的ながん治療を提供することができるようになります。"Quality in Service・Excellence in Care"をモットーとしている我々は日立とのパートナーシップの下、このソリューションをいち早く提供したいと考えています。」と述べています。

  日立の執行役常務 ヘルスケアビジネスユニットCEOの渡部眞也は、「このたび、先進の医療技術・設備を取り入れ、質の高い医療を提供している香港養和病院に、当社の技術力が評価され、陽子線がん治療システムを採用していただき、大変光栄です。今回、香港で初めての陽子線がん治療システムというだけでなく、都市部の面積が限られたエリアに設置するため、これまでにない画期的な施設になります。香港養和病院とのパートナーシップは、アジアにおける陽子線がん治療の先進的な一例となると確信しています。」と述べています。

  日立は、今後も陽子線がん治療システムのグローバル展開を加速させ、世界のがん治療に貢献していくとともに、ヘルスケア事業のさらなる拡大を図っていきます。

陽子線がん治療システムについて

  陽子線がん治療は、放射線によるがん治療法のひとつであり、水素の原子核である陽子を加速器で光の約70%のスピードに加速させ、がん細胞に集中して照射することでがんを治療するものです。治療に伴う痛みがほとんどなく、身体の機能と形態を損なわないため、治療と社会生活が両立できます。クオリティオブライフを維持し、がんを治療できる最先端の治療法の一つとして注目されています。

スポットスキャニング照射技術について

  スポットスキャニング照射技術とは、がんに照射する陽子線のビームを従来の二重散乱体方式*1のように拡散させるのではなく、細い状態のまま用い、照射と一時停止を高速で繰り返しながら順次位置を変えて陽子線を照射する技術です。複雑な形状をしたがんでも、その形状に合わせて、高い精度で陽子線を照射することができ、正常部位への影響を最小限に抑えることが可能です。さらに、患者ごとに準備が必要であった器具(コリメーター*2、ボーラス*3)が不要です。

*1
二重散乱体方式: 物質中を通過する際の散乱効果を活用して、陽子線の細いビームを二つの散乱体に通過させ、拡散させることで、陽子ビームの直径を拡大する。拡大された陽子ビームは、コリメーターやボーラスを通して、がんの形状に成形される。
*2
コリメーター: 真鍮等の厚板をがんの輪郭に合わせて中を切り取ったもの。これによって、がんの形状に合わせて陽子ビームを成形する。
*3
ボーラス: ポリエチレン等のブロックをがんの奥行きの形に合わせて中をくり抜いたもの。これによって患部より奥に陽子ビームが届かないように設定することができる。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット 放射線治療システム事業部 [担当:貝貫、入江]
〒110-0015 東京都台東区東上野二丁目16番1号 上野イーストタワー
電話03-6284-3741 (代表)

以上

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