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企業情報ニュースリリース

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2015年11月17日

多言語音声翻訳サービス実現に向けて、
スマートデバイスに対応した音声処理技術を開発

街頭の騒音レベルに匹敵する70dBの雑音環境で音声認識が可能に

  株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、多言語音声翻訳サービス実現に向けて、スマートデバイスに対応した音声処理技術を開発しました。ユーザー音声以外の雑音を除去することで、街頭の騒音レベルに匹敵する70dBの雑音環境でも音声認識が可能となります。また、発話と発話の区切りを明確に自動認識することができ、ボタン押下で発話区間を知らせることなく対話することを可能とし、ユーザビリティの向上を図りました。本技術により、公共交通機関の案内業務や各種店舗の受付業務における多言語音声翻訳サービスの実現に貢献します。

  近年、日本への観光人気が高まっており、訪日観光客が年々増加しています。これにともない、言葉の壁を感じることなく、観光客が係員や店員とスムーズに対話する多言語音声翻訳サービスに対するニーズが高まっています。
  しかしながら、公共交通機関やショッピングセンター等の人が多い環境では、ユーザー音声以外に多くの雑音がマイクロホンに混入するため、ユーザー音声を認識し、翻訳することは困難でした。そこで、雑音除去を高める方法として、日立では複数のマイクロホンを搭載した専用デバイスでの音声処理技術をこれまで開発してきました。また、従来の多言語音声翻訳サービスでは、発話ごとにユーザーがボタンを押すことで発話タイミングを指定する方式が一般的であり、受付・窓口での問い合わせ場面では、手荷物で手がふさがっていることが多く、運用が課題となっていました。

  そこで日立は、長年蓄積してきた音声処理技術を基に、専用デバイスではなく汎用のスマートデバイスに対応した音声処理技術を開発しました。これにより、公共交通機関やショッピングセンター等の人が多い環境でもスマートデバイスを用いた多言語音声翻訳が可能になりました。また、本技術は、発話と発話の区切りを明確に自動認識することができるため、ボタン押下で発話区間を知らせることなく対話することを可能としました。
  開発した音声処理技術の特長は以下の通りです。

1. 複数スマートデバイスのマイクロホン入力を活用した雑音除去が可能に

  専用デバイスによる従来の雑音除去の技術では、デバイスに搭載された複数のマイクロホン間が認識する音の時間差を使って雑音を除去していました。具体的には、発話した人から一番近い距離にあるマイクロホンがまず音を拾い、続いてその他のマイクロホンが音を拾うという仕組みを使用しています。これにより、抽出したい音源位置の方向を特定し、それ以外の方向からの音を除去することにより音声処理を行っていました。この技術を複数の汎用のスマートデバイスで実現する場合、端末ごとに個体差があるため、マイクロホンが取得する音声信号のタイミングが端末ごとにずれ、時間差を使った雑音除去をそのまま適用することは困難でした。そこで、音声信号のタイミングのずれの影響を受けにくい音量比*1を用いて認識対象の音声と雑音とを簡易的に分離し、さらに分離後の音声を比較しながら音声信号のタイミングのずれによる時間差の変化を補正することにより、専用デバイスと同様に時間差を使った高精度な雑音除去を適用できるようにしました。

2. 音声入力時間の短縮が可能に

  今回開発した音声処理技術により、雑音が少なくなり、ユーザー音声が強調されるため、発話と発話の区切りを明確に自動認識することができるようになりました。これにより、ボタン押下で発話区間を知らせることが不要となりました。また、発話と発話の区切りが明確になったことで、一回の音声入力時間が短縮し、チャットのように会話の区切りごとに随時翻訳を可能とする連続文入力に対応することが可能になりました。

  本技術はクラウド上で音声処理および翻訳処理を行うため、既存のスマートデバイスに専用アプリケーションをダウンロードするだけで、簡単に使用することができます。

  開発した音声処理技術の効果を確認するため、国立研究開発法人情報通信研究機構が開発した多言語音声翻訳エンジンと、2台の汎用スマートデバイス用いて、開発技術のプロトタイプシステムを構築し、実証を行いました。その結果、街頭の騒音レベルに匹敵する70dBの雑音環境において音声翻訳可能であることを確認しました。

  日立は、本技術の実用化に向けた研究開発を推進し、多くの観光客が訪日する社会において高度なおもてなしサービスの提供に貢献します。

*1
各スマートデバイスに搭載されたマイクロホンの音量の比率

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 研究開発グループ 技術統括センタ 情報企画部 [担当:湯本]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
電話 : 050-3135-3409 (直通)

以上

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