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Hitachi

企業情報ニュースリリース

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2015年10月27日

人の行動の計測とその属性の推定をリアルタイムで高精度に行う技術を開発

ステレオカメラで取得した3次元データの解析により実現

[画像]ステレオカメラで取得した3次元データの解析による属性の推定とサービス提供例
ステレオカメラで取得した3次元データの解析による属性の推定とサービス提供例

  株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、人の行動の計測と、その属性(特徴)の推定をリアルタイムで高精度に行う技術を開発しました。ステレオカメラ*1で取得した3次元データの解析により、従来の監視カメラの2次元の映像データの解析では困難であった、混雑した空間における人の行動のリアルタイムかつ高精度な計測を可能にしました。同時に、人とその周囲に関する3次元データを分析することで、例えば、ベビーカーや車いすなどを認識し、子ども連れの顧客や介助を要する高齢者など、人の属性を推定する技術を開発しました。今後、商業施設やオフィス、イベント会場などの空間における人の行動とその属性のデータに応じたサービスの提供など、マーケティングをはじめとするさまざまな分野における本技術の活用をめざします。

*1
ステレオカメラ:一台のカメラの左右に2つのレンズを取り付けたセンサーで、同時に左右2枚の写真を撮影でき、その視差により、奥行き方向の情報を取得することで立体的に空間を把握できる。

  近年、センサー技術の進展や、ビッグデータ解析などの情報処理能力の向上によって、人の集まる空間で発生する、人間行動をはじめとする大量のデータを統計的に解析することで、利便性の高いレイアウトを実現するなど、空間の価値を高める取り組みへの期待が高まっています。また、個人の行動データに、年齢層や子ども連れなどの属性データを組み合わせて解析することで、多様化する個人のニーズに応じたサービスの提供が期待されています。特に、高齢化や少子化、障がい者の負担低減などの社会問題に対して、QoL(Quality of Life:生活の質)の向上を実現するサポートサービスが求められています。

  人間行動を計測する技術としては、従来、監視カメラやレーザーレーダー、赤外線タグ、GPS機能付情報端末などがあります。監視カメラの映像データを用いた計測は、人のシルエットを検知することで位置を検出する方法が一般的ですが、混雑した空間では人のシルエットを認識できず、人手をかけて調整を行う必要があるなど、リアルタイムで高精度に人間行動を計測することが難しいという課題がありました。そこで、日立は、長年にわたり蓄積してきた画像認識技術とステレオカメラ技術を活用することで、リアルタイムで高精度に人間行動の計測と人の属性の推定を行う技術を開発しました。ステレオカメラは、2つのカメラが人の両目と同じように、外界を画像で認識するセンサーで、対象物とカメラとの距離を計測することができ、そこから物体の3次元データを取得できるという特長があります。これにより、人の重なりが発生する混雑した空間でも安定した計測を可能とし、リアルタイムで高精度な計測を行うことができます。さらに、人とその周囲の物について立体的に形状を解析することで、例えば、大きな荷物やベビーカーなどを認識し、それらを持つ人の属性を推定する技術を開発しました。

  日立は、本技術の実用化に向けた研究開発を推進し、より快適な都市空間の実現や、個人のニーズに応じたサービスの提供に貢献します。

開発した技術の特長

1.ステレオカメラから取得した3次元データの解析によるリアルタイムでの高精度な人間行動計測技術

  ステレオカメラは、一般的な単眼の監視カメラなどと異なり、左右の2つのカメラから立体的な3次元データを取得できる点に特長があります。監視カメラの映像データを用いた計測では、2次元で捉えた人や物体のシルエットと、データベースにあらかじめ登録したデータを照合し、人や物体を認識します。そのため、人の重なりが発生する混雑した空間では、物体のシルエットを人と認識するために人手による調整作業が必要でした。ステレオカメラによる計測では、左右のカメラから取得した画像のずれを計算することで、人の目と同じようにカメラから対象物の距離を求め、この距離情報をもとに、3次元データを作成します。人の頭部付近のデータを抽出し、俯瞰視点の画像データに変換することで、混雑した空間でも安定した位置の計測を可能とし、リアルタイムでの高精度な処理を実現しました。また、画像上の人の位置の時間的変化を求めることで、高精度な人の位置の追跡を可能にし、実環境データにおける評価では、追跡率を従来比で約30%向上しました*2

*2
当社内の評価データにおける、従来技術との比較。

2.3次元データの形状解析による人の属性推定技術

  人とその周囲の物について立体的に形状を分析することで、例えば、ベビーカーや車いすなどを認識し、それらを持つ人の属性を推定する技術を開発しました。任意の高さにおける人の位置と、その周囲の3次元データの解析により、物体の体積や形状を識別することが可能です。このデータをあらかじめ登録した物体のデータと比較することで、例えば、ベビーカーやショッピングカート、車いすなど、人物に付帯する物体を識別することができ、子ども連れの顧客や介助を要する高齢者など、特定の属性を推定することを可能とします。これにより、推定される属性ごとに、情報端末やサイネージの表示内容を変更したり、スタッフを派遣して移動の支援を行うなど、個人のニーズに合わせたサービスの提供を可能にします。

Hitachi SOCIAL INNOVATION FORUM 2015 -TOKYO-での紹介について

  本技術は、日立が2015年10月29日(木)〜30日(金)に、東京国際フォーラムで開催する「Hitachi SOCIAL INNOVATION FORUM 2015 -TOKYO-」において、紹介します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所研究開発グループ情報企画部 [担当:鈴木、黒澤]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話 0294-52-7508 (直通)

以上

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