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2007年3月13日

コンテンツ配信機能を備えたストリーミング専用ストレージを開発

Windows Server® 2003 R2のWindows Media® サービス9シリーズで
コンテンツの同時配信数を従来比3倍以上に向上

  株式会社 日立製作所 システム開発研究所(所長:前田 章/以下、日立)は、このたび、マイクロソフト社の Windows Server 2003 R2, Enterprise Editionの Windows Media サービス 9 シリーズと接続することにより、ビデオ・オン・デマンド(VoD)サービスの配信性能を大幅に向上させることができるストリーミング専用ストレージの試作機を開発しました。
  本試作機は、ストレージにストリーミング専用カーネル*1と今回新たに開発した専用のストリーミングエンジンソフトウェアを組み込むことにより、Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition のWindows Mediaサービス 9 シリーズと連携して、ストレージから直接映像配信を行うことができます。本試作機の配信性能について、シミュレーションによる測定を行ったところ、配信機能を持たないストレージを接続した場合と比べて、コンテンツの同時配信数が3倍以上に向上することを確認しました*2
  従来、配信性能を向上させるためには、配信サーバとストレージの双方を増設する必要がありました。しかし、本試作機の導入により、配信サーバを増やすことなく、ストレージを交換または増設するだけで、簡単かつ低コストでコンテンツの配信性能を向上させることが可能となります。

  近年のブロードバンドネットワーク網の普及にともない、映画などのハイビジョン画質の映像を、インターネットを介して配信することが可能となりつつあります。このような高画質かつ大容量のデータを配信するサービスを普及させるためには、高品質かつ安定的に同時配信できるストリーミング配信システムが必要とされています。
  ストリーミング配信システムは、主にコンテンツの配信・管理を行う配信サーバと、配信する情報を保存するストレージから構成されています。配信性能を向上させるためには、大容量のデータを安定的かつ同時に複数の送信先に配信できること、あわせて大容量のデータを保存しておくことが必要となります。現在、配信性能を向上させるためには、配信サーバとストレージを双方増設するという方法が主流となっていますが、増設にともなう装置導入コストや運用コストが、サービス提供者にとって大きな負担になるという課題がありました。

  このような課題に対応し、今回、日立は、自社にて開発した既存のストリーミング専用カーネルと、新たに開発したストリーミングエンジンソフトウェアなど、ストリーミング配信に必要な機能を組み込んだストレージを開発しました。ストレージに配信機能を組み込むことで、従来は配信サーバを経由して行っていた配信を、ストレージから直接行うことが可能となります。これにより、ストレージのみを交換または増設するだけで、配信性能を向上させることが可能となりました。さらに、配信サーバの増設が不要なことから、設備コストと管理コストの低減にもつながります。また、本試作機を複数台並列に配置することで、ストリーミング配信システムを大規模に変更することなく、データ処理量にあわせて柔軟に配信性能を向上させることも可能です。

  本試作機は世界中で普及しているWindows Mediaサービス 9 シリーズとの互換性を維持しています。Windows Mediaサービス 9 シリーズを用いたコンテンツ配信には、大きく分けて管理処理(認証処理、課金処理、プレイリストの解析処理、ロギング処理など)と配信処理に分けられます。
  そのうち、管理処理については、従来どおり、Windows Mediaサービス 9 シリーズに振り分け、配信処理だけを本試作機にて行います。ストリーミング配信に特化した本試作機に配信処理を任せることで、コンテンツの同時配信数を3倍以上に向上させます。

  本試作機の開発ポイントは、以下のとおりです。

1. ストリーミング専用に最適化されたカーネルを採用

  本試作機に搭載したストリーミング専用カーネルは、効率の良いコンテンツ配信と高いスケーラビリティを確保するため、ストリーミングに特化した数多くの機能を備えています。その主な機能は、以下のとおりです。

(1) ゼロコピーI/O機能

  ストリーミング配信では、クライアント側の再生タイミングにあわせて、コンテンツを配信する必要があり、同期をとらずにコンテンツを配信すると、パケットロスにより画像劣化や映像停止が発生します。ストリーミング専用カーネルは、コンテンツ配信のタイミングを制御する機能を有しており、ストリーミングエンジンソフトウェアとの間でコンテンツのやり取りを行うことなく、高速な配信を実現します。このため、クライアント側の再生タイミングと同期したコンテンツ配信が保証され、パケットロスを防ぐことができます。

(2)映像配信優先のタスクスケジューリング機能

  通常、CPUはコンテンツ配信処理と新規コンテンツのアップロード時に使用されます。ストリーミング専用カーネルは、コンテンツを安定的に配信できるよう、配信処理とアップロード処理が使用するCPU時間を調整し、配信処理用のCPU時間をコンテンツの配信タイミングに従って優先的に割当てるようにします。そのため、CPUに高負荷がかかる状況においても、安定して映像を配信することが可能となります。

(3)データ安定配信機能

  高画質の映像配信の際は大量のデータを送信する必要がありますが、一度にまとめて大量のデータを送るとパケットロスが生じ、画質劣化が発生します。ストリーミング専用カーネルは、一回のデータ送信量が小さくなる(High-Definition Video画質で10パケット以下)ように送信タイミングを制御することで、パケットロスを防ぎ、高画質のコンテンツを安定的に配信することが可能となります。

2. ストレージから直接コンテンツ配信するストリーミングエンジンソフトウェアを開発

  本試作機は、ストリーミングエンジンソフトウェアの配信機能により、Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition のWindows Mediaサービス 9 シリーズと完全互換なプロトコル(通信手段)でコンテンツ配信を行います。そのため、本試作機からコンテンツ配信を行った場合も、Windows Media Playerでコンテンツを再生できるため、ユーザー側で専用ソフトウェアの準備や特殊な設定を行う必要はありません。
  この結果、既設の配信システムの性能向上が、ストレージの交換や増設だけで可能なため、低コストで実現できるようになります。

  本試作機は、日立のミッドレンジアレイをベースとしており、ストレージ1台あたり約3Gbpsの配信性能(20Mbpsのハイビジョン画質のコンテンツの150ストリーム同時配信)を達成しています。今後も、ソフトウェアやハードウェアの改良を継続して行うことで、さらなる性能向上を実現していきます。
  日立は、本試作機の製品化を検討するとともに、高性能かつ低コストなコンテンツ配信サービスプラットフォームを創生していきます。

  なお、本試作機は、3月15日よりドイツ・ハノーバーにて開催されるCeBIT2007に出展予定です。

マイクロソフト社Chris Knowlton氏(Lead Program Manager for Windows Media Services)からのコメント

  マイクロソフト社は日立製作所の革命的なストリーミング技術の可能性に期待しています。 その性能とスケーラビリティの高さは新たな市場を切り開くことでしょう。マイクロソフト社と日立は今後とも緊密な協力を続け、コストパフォーマンスの高いストリーミングソリューションを確立していきます。

注記

*1
カーネル:
オペレーティングシステムの基本機能(タスク管理やディスク管理など)を実装したソフトウェア。
*2
コンテンツの同時配信数が従来に比べて3倍以上に向上:
Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition のWindows Mediaサービス 9シリーズに、配信機能を持たない従来型のストレージを接続した場合との比較。

他社商標

  Microsoft、Windows、Windows Mediaは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。

お問い合わせ先

株式会社 日立製作所 システム開発研究所 企画室 [担当:森]
〒215-0013 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地
TEL : 044-959-0325(直通)

以上

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