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2007年2月14日
株式会社 日立製作所
株式会社ルネサス テクノロジ

システムLSIが使用されている環境温度と許容消費電力値を予測する
“オンチップ温度・消費電力モニタ技術”を開発

  株式会社 日立製作所(本社:東京都千代田区/執行役社長:古川 一夫/以下、日立)と株式会社ルネサス テクノロジ(本社:東京都千代田区/会長&CEO:伊藤 達/以下、ルネサス テクノロジ)は、このたび共同で、システムLSIの使用環境温度を予測して、その温度条件に対して許容される消費電力値を算出する“オンチップ温度・消費電力モニタ技術”を開発しました。
  本技術は、システムLSIに集積した温度センサで測定したチップ温度と、LSI内で動作中の回路数やその動作周波数などの情報をもとに、専用のマイクロコントローラで、LSIの環境温度や許容消費電力値を算出する技術です。
  今回の開発技術を用いることで、使用中の環境温度が低く、許容消費電力に余裕がある場合に、予め設定された動作周波数などの条件を上回ってLSIを動作させることができるか否かの判定が可能となります。

  近年、高性能な組込み情報機器のコア部品であるシステムLSIは、高機能化、高性能化を図るため、より微細な製造プロセスが使用されるとともに、集積度の向上にともない、リーク電流や消費電力が増加する傾向にあります。このため、LSIの環境温度が高温の場合は、LSIの発熱と相まって、LSIが誤動作を起こす熱暴走を招くことが懸念されます
  従来のシステム設計では、LSI自体の消費電力による発熱量と、LSIを使用する環境温度が最悪の条件でも正常に動作することを前提とした設計を行っています。このため、実際には環境温度に問題がないと思われる場合でも、十分な余裕を持たせた最悪条件による設計となっており、以下の発熱対策が必要となることがあります。

  • (1) LSIの周波数を最高値よりも低くして発熱量を下げるなど、LSIの最高性能を使用しない。
  • (2) LSI内部の各回路の動作について、例えば、同時動作させないなどの制限を加える。
  • (3) ファンなどによる強制的な冷却を施す。

  今後、ますます微細化が図られていく中で、大規模なシステムLSIは発熱量も高いため、最悪条件による設計は、性能や動作の制限などがより複雑化し、かつ高価な熱対策を施さなければならなくなることが予想されます。この対策の1つとして、最悪条件の設計ではなく、実際に使用される環境温度に基づいた設計が有効で、これにより、LSIの性能や動作の制限を緩和し、かつ強制冷却などの実装が簡素化できます。しかし、これまでのシステムLSIでは、この環境温度を動作時に把握することができませんでした。

  この課題に対応するため、日立とルネサス テクノロジは、システムLSIのチップ温度の測定、ならびに測定結果からLSIの環境温度を予測する“オンチップ温度・消費電力モニタ技術”を開発しました。

  開発した技術の特長は以下の通りです。

(1) モニタ回路と専用マイクロコントローラによる温度、消費電力のリアルタイム観測

  システムLSI上に、機能回路(CPU等)の動作状況を監視する回路と温度センサからなるモニタ回路、ならびに専用のマイクロコントローラからなる回路を集積しました。これらの回路により、チップの温度測定、および、消費電力の算出をリアルタイムで行うことが可能です。

(2) チップ温度と回路の動作状況を示す情報を用いた環境温度予測技術

  専用のマイクロコントローラは、(1)で得た消費電力値と温度情報を基に、LSIが使用されている環境温度を算出します。そして、算出した環境温度から、LSIに許容される消費電力値を、予め測定しておいた熱特性(環境温度と消費電力値がチップ温度に与える影響)を用いて求めます。

  本技術を搭載したチップを試作し、1.専用のマイクロコントローラを用いて回路の動作情報を収集し、ある時間内における消費電力値を算出する、2.動作中のチップ温度を測定する、1.と2.の値から環境温度を算出する、という基本動作を確認しました。さらに、得られた環境温度から、許容される消費電力値を算出できることも確認しました。なお、今回試作したオンチップ温度・消費電力モニタ回路および専用マイクロコントローラの面積は合計で0.7mm2です。

  さらに、本技術によって算出された、システムLSIが動作中の環境温度と、許容される消費電力の情報を利用すると、予めシステムLSIに設定された動作周波数などの条件を上回って動作させることができるかどうかの判定を、システムLSIの動作中に行うことが可能となります。これは、将来、システムLSIを環境温度などの条件に合わせてリアルタイムに最適に制御し、利用することに道を拓く技術です。

  なお、本成果は、2007年2月11日から米国サンフランシスコで開催される「国際固体素子回路会議(ISSCC:International Solid-State Circuits Conference)」にて発表しました。

お問い合わせ先

株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:花輪、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777 (ダイヤルイン)

株式会社ルネサス テクノロジ 経営企画本部 経営企画統括部 広報・宣伝部 [担当:佐藤]
〒100-6334 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号(丸ビル)
TEL : 03-6250-5554 (ダイヤルイン)

以上

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