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2006年10月27日
株式会社日立製作所

中部電力浜岡原子力発電所5号機ならびに
北陸電力志賀原子力発電所2号機の
低圧タービン羽根損傷に関する原因と対策について

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川一夫/以下、日立)は、日立が設計、製造を行った中部電力株式会社浜岡原子力発電所5号機(以下、浜岡原子力発電所5号機)ならびに北陸電力株式会社志賀原子力発電所2号機(以下、志賀原子力発電所2号機)の低圧タービンにおける羽根の損傷について、中部電力株式会社(以下、中部電力)ならびに北陸電力株式会社(以下、北陸電力)に協力して、原因究明と対策等の検討を進めてまいりましたが、本検討結果に基づき、本日(10月27日)それぞれの電力会社から、原子力安全・保安院に報告書が提出されました。
  今回発生した事象により、両電力会社、監督官庁、地元自治体をはじめ関係する皆様に、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。日立では、一刻も早く運転再開が行えるよう、全社一丸となって取り組むとともに、再発防止に努めます。
今回の発生事象、原因、対策ならびに再発防止策については、次の通りです。

1. 発生事象について

1-1. 浜岡原子力発電所5号機における低圧タービンの損傷について

  浜岡原子力発電所5号機は、定格熱出力一定運転中のところ、2006年6月15日午前8時39分、「タービン振動過大」の警報が発報し、タービンが停止するとともに、原子炉が自動停止しました。
  日立は、中部電力に協力して、6月19日より低圧タービンの車室を開放し点検を行った結果、タービン3車室(A)(B)(C)の第12段動翼840枚中663枚に損傷が見られ、うち1枚が破損していたことを確認しました。

1-2. 志賀原子力発電所2号機における低圧タービンの損傷について

  志賀原子力発電所2号機は、同型の浜岡原子力発電所5号機の低圧タービンに損傷が見られたことから、7月5日に原子炉を停止し、点検作業を開始しました。
  日立は、北陸電力に協力して、低圧タービン(B)の車室を開放し点検を行った結果、7月18日に2枚の羽根根元取付け部にひびを確認しました。その後、低圧タービン3車室(A)(B)(C)の第12段動翼840枚中258枚に損傷があることを確認しました。

2. 低圧タービンの羽根における損傷の発生原因について

  今回発生した低圧タービンの損傷の原因は、浜岡原子力発電所5号機ならびに志賀原子力発電所2号機とも、試運転中の20%負荷遮断試験時に、「ランダム振動*1」および「フラッシュバック現象*2の振動」(以下、フラッシュバック振動)が同時に発生し、それぞれに起因した応力が重なり合ったことで、羽根の根元取付け部に高サイクル疲労による初期のひび割れが発生しました。その後、試運転などで発生したランダム振動またはフラッシュバック振動による応力により、そのひび割れが進展したものと判断しました。
  浜岡原子力発電所5号機ならびに志賀原子力発電所2号機の当該タービンは、改良型沸騰水型(ABWR)、定格電気出力135万kW級、毎分1,800回転機として世界で初めて設計されたものであり、縮小タービンモデルによる試験、実機大モデルによる回転試験や、設計当時日立の有する知識、技術、人材を結集した各種分析を行い、万全を期して設計、開発を進めました。しかしながら、当該タービンの設計にあたり、日立では、今回事象の原因の一つである、ランダム振動が低負荷時に第12段動翼まで及ぶことについて、当時の工学的知見では想定できなかったことから、今回の現象が発生することを認識していなかったため、フラッシュバック振動との重なり合いも想定できず、検証に十分ではない点がありました。

3. 今後の対策について

3-1. 対策について

  本日、中部電力ならびに北陸電力から発表された通り、日立は、当該タービンについて、ランダム振動およびフラッシュバック現象の発生を考慮した振動応力に対して余裕を持つ新たなタービンの設計、製造を行います。設計段階においては、新たに試験装置を導入し、実機運転状況を模擬した縮小モデルによる試験や解析による検証精度の向上を図った上で、新しい羽根を製造する予定です。
  なお、新しい羽根の設計・製造には、相当な期間が見込まれることから、当該タービンの第12段の動翼と静翼を外し、静翼の代わりに圧力プレート(整流板)を設置する短期的な対策を講じます。この方法は、原子力発電所や火力発電所で使用実績のあるものです。

3-2. 費用負担について

  当該タービン損傷のために発生した点検、原因究明、対策の費用については、日立が負担する予定です。詳細については、今後、両電力会社と協議します

4. 再発防止策について

4-1. 検証精度の向上について

  日立では、タービン翼の大型化に伴う開発において、従来知見の適用の妥当性について十分精査した上でモデル試験の適用範囲を決定する、モデル試験計画時に実機を模擬していない項目をリストアップし、十分評価する、さらにその実施状況を確認していく、以上を該当製品の設計部門の基準に反映していくことにしました。
  また、品質保証の観点から、安全面、信頼性向上の面から重要な設備の設計変更については、設計変更点に関する根拠やその妥当性を幅広く検証、評価していきます。

4-2. より一層の技術力の強化と信頼性の向上について

  日立では、原子力発電所の重要性と今回の発生事象に鑑み、日立としてより一層の技術力の強化と信頼性向上に向け、執行役社長を本部長とする「電力事業強化本部」と「モノづくり強化本部」を9月15日付で設置しました。
  「電力事業強化本部」では、本件の対策の立案と実行を主導し、当該タービンの設計、製造、据付をはじめ、両発電所の復旧に全力であたります。「モノづくり強化本部」では、品質保証教育・仕組みの強化、開発設計プロセスの強化等を図るとともに、信頼性向上に活かしていきます。

本文注記

*1
ランダム振動とは、タービン内の蒸気の乱れによって羽根に発生する不規則な振動で、タービンの無負荷時および低負荷時に発生する現象です。
*2
フラッシュバックとは、発電機の負荷遮断やタービンの自動停止が発生すると、タービンに供給される蒸気が急激に減少するため、真空状態の復水器と連結しているタービン内部の圧力が低下し、抽気がタービンに高速で逆流する現象です。

以上

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