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平成11年10月5日

日立とSTマイクロエレクトロニクス社が、次世代のデジタル家電に適した
「SH-5マイクロプロセッサ」のアーキテクチャを発表

−ハイエンドのホームネットワーク家電やセットトップボックス、デジタルビデオなどの
デジタル家電向けに、714MIPSの高性能を実現した64ビットアーキテクチャ-

                                                                 株式会社 日立製作所
                                                            STMicroelectronics N.V.


 株式会社 日立製作所(以下日立)とSTマイクロエレクトロニクス(以下ST)は、このたび、両社が共
同開発した「SH-5マイクロプロセッサ」のアーキテクチャを発表します。
 SH-5は、日立オリジナルのRISCマイクロプロセッサ「SuperH(TM)(注1)RISC engineファミリ」
を発展させるために、両社が包括的な協力にもとづき開発した64ビットのRISCマイクロプロセッサ
です。
 本プロセッサは、低価格化を図りつつ、動作周波数400MHz時に600mWの低消費電力、714MIPSの
高性能を実現しており、ホームネットワーク家電、家庭用ゲートウェイ、セットトップボックス、
カーナビゲーション、デジタルビデオなどの高性能マルチメディア機器、さらにはハイエンドの携
帯機器に最適です。
  なお、SH-5のアーキテクチャは、米国のサンノゼ市で開催されている1999年度マイクロプロセッ
サフォーラムにおいて、10月6日に発表されます。

  SH-5は、米国のサンノゼ市にて両社が共同で開発に取り組むとともに、STが英国のブリストル市、
日立が東京で各々開発を行ってきました。製品のサンプル出荷は、2000年後半を計画しており、生
産は日立がLSI製造本部(茨城県ひたちなか市)、STがフランス(クロル)のクロル工場で行う予定で
す。そして、量産時には、競争力のある価格設定で、デジタル家電市場に参入していきます。

  SH-5アーキテクチャの特徴は、2種類の命令セット「SHmedia」と「SHcompact」であり、この命令
セットにより、現在のSH-4を上回る高性能を実現しているうえ、SH-4のプログラムも動作させるこ
とが可能です。「SHcompact」は、SH-4の命令セットと同様の16ビットの命令セットで、SH-4で開発
されたソフトウェアと完全互換を実現しており、ユーザーにSuperHファミリ間での互換性を提供し
ます。また、「SHmedia」は、高性能マルチメディア機器向けの32ビットの命令セットであり、高性
能化を実現するSIMD(注2)アーキテクチャを採用しています。「SHmedia」の命令セットには、4ビッ
トのリザーブビットを備えており、将来、新規の機能を容易に追加することが可能です。

 SH-5は、0.15μm CMOSプロセスを採用しています。動作電圧1.5V、動作周波数400MHz時に、消費
電力は600mWで、714MIPS(Dhrystone 1.1)、604MIPS(Dhrystone 2.1)(注3)の処理能力と9.6 
GOPS(注4)、1.6 GMACS(注5)とDSP相当の高性能を実現します。また、オプションの64ビット浮動
小数点ユニットは、3種類の構成(32ビット単精度x64個、64ビット倍精度x32個、128ビットベクタ
(32ビット単精度x4個)x16個)が可能な上、2.8GFLOPS(注6)というハイエンドのマルチメディア
機器に対応できる性能を実現しています。

 さらに、SH-5のアーキテクチャでは、システムオンチップを実現するため、CPUコアと周辺回路
やIP(注7)モジュールを接続するためのリード・ライトデータ独立バスであるSuperHywayを内蔵し
ており、64ビットリード/ライトチャネルで3.2Gバイト/秒の転送速度を実現しています。
  また、SuperHywayバスに加えて、両社が採用してきた従来の周辺モジュールバスも実装したこと
により、日立とSTがそれぞれ開発したIPモジュールをCPUコアと接続できます。IPモジュールと
SuperHywayバスの接続を保証することで、両社間のIPモジュールを互いに利用することが可能とな
り、完全互換を実現できます。

 両社は、ユーザーがSuperHベースのシステムオンチップ設計を両社に依頼する際に、日立とSTが
それぞれ開発したIPモジュールを組み合わせて設計できる環境の整備についても検討しています。
さらに、SuperHywayバスは、VSI(注8)規格に準拠しているため、ユーザーはサードパーティーの
IPモジュールを利用することも可能となります。

 SH-5は、コンシューマ市場のニーズに適した性能、消費電力、価格についてバランスがとれた設
計となっています。今回の400MHz品はこのニーズに対応しており、さらには600MHz以上の高性能品
もラインアップしていきます。
  今後、両社は、組み込み機器およびシステムオンチップの業界をリードするRISCマイクロプロセ
ッサとして、SuperHファミリのさらなる展開を図り、その普及を目指していきます。
  
(注1) SuperH(TM): SuperHは(株)日立製作所の商標です。
(注2) SIMD: Single-Instruction, Multiple-Dataの略。コンピュータのデータ処理制御方式の
1つで、複数のデータに対し、同一の命令を並列に実行させて同一処理を行う方式。画像処理や
パターン比較処理などに適する。
(注3) Dhrystone : コンピュータの整数演算性能を測定するベンチマークテストの一種。定めら
れたプログラムの実行時間を計測して性能評価を行うもので、1.1と2.1の2種類のプログラムが
ある。
(注4) GOPS: Giga Operations per Secondの略で、1秒間に実行可能な演算回数で表現し、DSPの
性能を表わす指標に使われる。9.6GOPSは、1秒間に96億回の演算を行うことを表わす。
(注5) GMACS: Giga Multiply-Accumulate operations per Secondの略で、1秒間に実行可能な
掛け算の回数で表現する。1.6 GMACSは、1秒間に16億回の掛け算を行うことを表わす。
(注6) GFLOPS: Giga Floating Point Operations per Secondの略で、科学技術計算での性能を表
わす指標。1秒間に実行可能な浮動小数点演算の回数で表現する。2.8 GFLOPSは、1秒間に28億回
の浮動小数点演算の演算を行うことを表わす。
(注7) IP: Intellectual Propertyの略で、機能を1つのモジュールのようにまとめ、さらに再
利用を可能とした設計資産。
(注8) VSI: Virtual Socket Interfaceの略。IPの流通・再利用を容易にできるようにするため、
1996年11月に発足した組織「VSIアライアンス」により定められた規格で、標準インターフェース
仕様の定義やデータフォーマット、テスト手法がある。

<(株)日立製作所の概要>
1.会  社  名:株式会社 日立製作所
2.本社所在地:東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
3.代  表  者:取締役社長 庄山 悦彦
4.従業員数     :67,078名(平成11年3月末現在)
5.売  上  高:37,811億円(平成11年3月期実績)

<STMicroelectronicsの概要>
1.会  社  名:STMicroelectronics N.V.
2.本社所在地:Technoparc du Pay de Gex-B.P. 1112
             165, rue Edouard Branly, 01630, Saint-Genis Pouilly, France
3.代  表  者:最高経営責任者 兼 社長 パスクァーレ・ピストリオ 
4.従業員数     :約30,000人
5.売  上  高:42億4780万ドル(1998年12月末〆実績)

                                                                                 以  上


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