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平成11年8月30日

業界最小のA4サイズ相当に小型化した
水道水の水質計測・監視向け コンパクト多項目水質計 「AN530シリーズ」を製品化

―配水管の末端などでのオンライン計測を容易にし、水道水の安全管理向上に寄与―

 日立製作所 計測器グループ(グループ長&CEO:猪俣  博)は、この度、水道水の水質計測・監視向け
に、厚生省の定める「水道施行規則」の毎日検査3項目(残留塩素(*1)、色度(*2)、濁度(*3))のオンライ
ン計測に対応したコンパクト多項目水質計「AN530シリーズ」を製品化し、8月31日から販売します。
  本製品は、当社独自のマイクロフローインジェクション(連続流れ)分析法やマイクロファブリケーション
(半導体微細加工)技術を応用した光センシング技術を採用したことにより、製品(本体)の大きさを多項目水
質計としては、業界最小のA4サイズ相当に小型化しました。これにより、設置スペース確保の問題を解消
するとともに、大掛かりな設置工事も不要となり、導入/ランニングコストを大幅に低減しました。また、
水道水の水質を連続的に測定ができるため、水道水の安全管理の向上に寄与します。
     
  近年、水道水を媒体とした病原性大腸菌O−157、クリプトスポリジウムによる汚染や発がん性を有す
るトリハロメタンの問題などから、安全で良質な水道水の確保と供給は、国民の公衆衛生の確保の面から最
重要課題となっており、厚生省などから「水質管理」に関する施策が打ち出されています。水道水は、浄水
場から配水管を通して送られる途中で、配管材質や水温などの影響により、殺菌のための残留塩素の濃度低
下など、水質が変わる可能性があるため、最終消費場所に水を送る配水管の末端など水が停滞しやすい場所
を含めて水質測定することが義務づけられています。
  しかしながら、ほとんどの配水管の末端などでの測定作業は、人手による採水、手分析が中心で、相当の
手間と時間がかかっているため、計測のオンライン化が要望されていました。
  また、現在、水道水の毎日検査3項目のオンライン計測を実施するためには、各項目毎に水質計を設置す
るか、多項目水質計を1つの盤内に収納した機器であっても、試料水の量の確保や配管、バルブの保守空間
を確保するといった機械的寸法の制約から小型化が困難でした。配水管の末端などへの設置を考慮すると、
狭い用地に設置でき、かつ低コストな水質計が要望されていました。
     
  本製品は、当社独自のマイクロフローインジェクション分析法を採用することにより、製品(本体)の大き
さを当社従来機(AN1000シリーズ)比:100分の1、A4サイズ相当までの小型化を実現しました。また、こ
れにより、従来に比べ、使用水量は1,000分の1、使用電力も30分の1に低減しました。
  マイクロフローインジェクション分析法は、シリコン微細加工技術により流路を形成したマイクロセルに、
試料水、試薬(残留塩素用DPD試薬)、ゼロ基準水(超純水)を自動的に流し、吸光度(残留塩素)、透過
光量(色度)、散乱光パルス数(濁度)を計測することにより、連続的に3項目の計測を行うことができま
す。また、1回の計測終了毎にゼロ基準水を流し、洗浄と校正を行うため、計測の長期安定性を実現してい
ます。
  毎日連続的に水道水の残留塩素、色度、濁度を自動監視することができるため、水道水の状態変化、傾向
の認知、突発事故発生時の地域の特定、通報や対応策など被害の拡大防止システムが構築でき、安全管理の
向上に寄与します。
  また、データの蓄積により、浄水場の最適薬品注入制御にフィードバックし、水道水の季節変動状態や通
達時間による残留塩素の最適値を管理することができるなど、データの有効活用が図れ、水運用のコスト削
減、需要家への情報提供サービスも可能となります。
     
(*1)残留塩素:塩素処理の結果、水中に残留している有効塩素をいう。
(*2)色度:水中に含まれる溶解性物質及びコロイド性物質が呈する類黄色ないし黄褐色の程度をいう。精製
  水1リットル塩化白金カリウム中の白金(Pt)1mg及び塩化コバルト中のコバルト(Co)0.5mgを含む時の呈
  色に相当するものを1度とする。
(*3)濁度:濁度とは、水の濁りの程度を示すものである。土壌その他浮遊物質の混入、溶存物質の化学的変
  化などによるものであり、地表水においては、降水の状況などによって大幅な変動を示す。精製水1リッ
   トル中に標準カオリン1mgを含む時の濁りに相当するものを1度とする。
(*4)上水試験方法:水道、簡易専用水道などの水道により供給される水や、飲用井戸、小規模受水槽などの
  規制対象とならない施設により供給される水のほか、これらの原水、浄化処理工程の水、苦情水等の水
    質試験、検査に適用される方法。
     
     
<「AN530シリーズ」の特徴>
 1.小型、軽量      
       当社のマイクロフローインジェクション分析は、画期的なマイクロセルを採用し、上水試験法の公定
   法(DPD法)に準拠した連続流れ分析法です。このマイクロセルは、シリコンウェハー上にマイク
   ロファブリケーション(半導体微細加工)技術により流路を形成します。また、配管類も試料水や排
   水ラインを共通化・最少化し、3次元流体回路製造技術により一体化したため、小型、軽量化を実現
   しました。
     
 2.オンライン計測対応
       多項目水質計の小型、低コスト化の実現により、狭い用地が多い配水管末端への設置が容易になりま
   す。オンライン計測は、水質の検査結果を連続データとして見られるため、水質変動の傾向を、浄水部
   門の運転支援データに活用できます。また、広がりを持つ配水管網をブロック化し、供給点に設置すれ
   ば、面的な監視が可能となり、安全管理の向上に貢献します。
                   
 3.長期安定性
       マイクロフローインジェクション分析法では、測定毎に基準液との比較測定を行って自動校正をして
     いるため、セルの汚れなどの影響を受け難くなっています。また、非定常時にセル内に洗浄液を充填し、
     汚れが付着するのを防止しています。さらに、残留塩素用DPD試薬を密封することにより、試薬の酸化な
     どの劣化を最小限に抑え、計測精度の長期安定性を実現させました。
 
     
     
<価格及び出荷時期>
              製品名               標準価格             出荷時期
     日立コンパクト多項目水質計    390万円      平成12年 1月21日
     「AN530シリーズ」             
     
     

     
                                                   以  上


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