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平成11年5月20日

低真空モードで業界最高分解能4.5ナノメーターを実現した走査電子顕微鏡を製品化

−食品、生物試料などの含水試料でも前処理なしでより鮮明な観察像を提供−

 日立製作所 計測器グループ(グループ長&CEO 猪俣 博)は、このたび、含水試料でも前処理なしで観
察・分析できる走査電子顕微鏡「S−3500N」の低真空モードの分解能を、業界最高の4.5ナノメーター
(nm)に向上して、平成11年5月24日より販売を開始します。
  「S−3500N」は、食品や生物試料などの水を含んだ試料(含水試料)を形状、組成などを変えずに生の
ままで像観察をしたいというニーズに応え平成8年12月に製品化しました。今回、シンチレータ(注1)と
呼ばれる部分を改良した新しい検出器の採用により、低真空モードによる分解能を当社従来製品の5.0nm
から4.5nmに向上し、主に食品や人体、動物などの微細構造など研究・実験のための観察向けに、より高倍
率で鮮明な含水試料の観察像を提供できます。
 近年、走査電子顕微鏡(以下SEM(Scanning Electron Microscope))は、半導体、バイオ、材料、食品、
繊維など多種多様な分野で、製造業における品質管理、研究機関における研究開発など幅広く活用されていま
す。当社では、半導体の線幅などの計測に特化した測長SEM、バイオ、材料を中心に主に研究開発向けに
用いられているFE-SEM(注2)、幅広い分野で用いられる汎用SEMを販売しており、測長SEM、
FE−SEMについては世界のトップシェアです。
     
  SEMは、細い電子ビームを試料に当てて、試料から出てくる電子を検出して像を描きます。電子ビーム
が試料に当たったとき、試料からとび出してくる弱いエネルギーしかもたない電子(2次電子)を検出するため
には、試料室内を10-4パスカル(Pa)(注3)レベルの高真空の状態に維持する必要がありました。し
かしながら、高真空では含水試料は急激な乾燥により変形するため、食品や生物では煩わしい前処理が必要
でした。
 また試料からは、2次電子が出てくるのと同時に、電子ビームが試料表面にぶつかって反射した電子(反射
電子)が発生しています。この2種類の電子は、エネルギーが異なるため、別々に検出することが出来ます。
反射電子は、低真空でも検出することが可能であり、当社では、この原理に着目し、試料室をより大気圧に
近い低真空(〜270Pa)に設定(低真空モード)することにより、含水試料の形を変えずに観察できるよう
に製品化したものが「S−3500N」です。今回の改良では、低真空モードで4.5nmの業界最高の分解能
を実現しております。
     
  当社では今後、新しい検出器を採用した「S−3500N」を食品、バイオ分野を中心に販売し、初年度200
台の受注を目指しています。
     
(注1)シンチレータ: モニタに映し出されるSEM像は、細い電子ビームを試料に当てて、試料から出て
くる電子を検出し、その電流を増幅することにより得られます。 シンチレータとは、電子の量を効率的に増
幅する部分です。
(注2)FE(Field Emission:電界放出)-SEM:電子線を発生する電子源に電解放出型という方式を採
用しているSEM。この方式によって電子線を細く絞り、高分解な像観察が可能になります。
(注3)パスカル(Pa):圧力の単位。1パスカルは、1平行メートルに1ニュートンの力が作用する時
の圧力。なお大気圧は、約10万パスカル。
     
■価格および出荷時期
               製品名                価格                  出荷時期
     走査電子顕微鏡              2,550万円〜     平成11年8月31日
     S−3500N(高分解能版)
     
■ 主な仕様
     反射電子分解能(低真空モード)   4.5nm
     2次電子分解能           3.0nm
     倍率                15倍〜30万倍
     最大試料サイズ           φ150mm
     

     
                                                以  上


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