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News Release

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平成10年10月6日

空調用や機器冷却用のポンプの省エネルギー化を図る技術を開発

−界面活性剤添加により、ポンプ動力損失を25%低減。熱輸送密度も2倍化−

  日立製作所は、工場・ビルの空調用や機器冷却用にポンプを使用する際に、パイプ内の水に界面
活性剤を添加することによって、動力損失を約25%低減するとともに、熱輸送密度を2倍化すること
によって、省エネルギー化を図る技術を開発しました。今後、2年後を目標に、製品への応用を図っ
ていきます。

  工場・ビル用の空調システムでは、放熱用の長いパイプの中に、ポンプを用いて水を循環させるこ
とによって、熱を放熱部に輸送して、放熱し、空調を行っています。また、工作機械やモーター、ブレ
ーキを始め、水冷方式で冷却を行っている電子機器も、同様の仕組みを用いて放熱を行っています。
こうしたシステムの場合、より経済性を高めるためには、細い輸送配管を使用して、一度に多量の熱
を放熱部に輸送する必要があります。
このためには、管内の水流の速度をある程度高める必要がありますが、この場合、管内の水の流れ
が乱流状態となるため、管内の摩擦係数が高くなり、ポンプの動力損失が大きくなっています。したが
って、こうした製品の省エネルギー化を進めていくためには、管摩擦係数を低減することが必要となり
ます。

  そこで日立では、管摩擦係数を小さくする方法について様々な研究を行ってきました。その結果、特
殊な界面活性剤を水に添加することにより、ポンプ動力損失を25%低減することが可能であることを
確認しました。界面活性剤を水に微量添加すると、界面活性剤は水中でミセル(注)を形成し、水は管
内壁部に対してすべりやすいトコロ天状態の流体となります。これは、ちょうどイルカの体の表面がな
めらかなため、泳ぐときにその表面に乱れをつくらないようにすることと同様の現象です。この現象は、
乱流状態であったものを層流状態に変えて、管摩擦係数を著しく小さくするもので、すでに広く知られ
ている現象ですが、日立では、基礎実験をくりかえすことによって、最適な流速、添加濃度などの条件
を見出しました。
  さらに、実際のスポット空調に用いる、ヒートポンプ用熱輸送配管回路(管内径20mm、輸送距離約
50m)を使って、実証実験を行い、実際にポンプの動力損失を約25%低減することが可能であり、製
品に応用した場合、省エネルギー化に寄与することを確認しました。

  また、熱輸送の経済性を高めるためには、水の熱輸送密度を高めることも有効な手段ですが、日立
では、界面活性剤添加水溶液の中に、粒径0.5mm程度の潜熱型マイクロカプセルを約10%混入させ
ることによって、ポンプ動力をほとんど増大させることなく、熱輸送密度を約2倍に向上できることも
確認しています。

  日立では、これらの技術を応用することによって、熱輸送配管回路をもつあらゆる製品において、従
来以上に、省エネルギー化を図ることが可能であると考えており、今後、応用する製品分野を含め、2
年後を目標に実用化の検討を進めていきます。

(注)ミセル…界面活性剤を水に添加したときに、界面活性剤がある濃度以上に達すると凝集しあうよ
      うになる。この凝集した集合体をミセルという。



                                                                                以  上


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