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News Release

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平成10年7月27日

112×80ドットのグラフィック表示と16桁10行のキャラクタ表示を
切り替え可能なグラフィック液晶コントローラドライバを製品化

−コンパクトな移動体通信機器向けに、縦方向へ表示能力を拡大−

  日立製作所は、このたび、「グラフィック液晶コントローラドライバ」シリーズのラインアップ強化として、
デジタル携帯電話やPHS、デジタルコードレス電話などの移動体通信機器の液晶表示システム用に、
1チップで同クラス最大の112×80ドットのグラフィック表示(注1)と16桁10行のキャラクタ表示(注2)を切
り替え可能なグラフィック液晶コントローラドライバ「HD66728」を製品化し、平成10年8月からサンプル
出荷を開始します。本製品は、画面縦方向に80ドットまで表示可能なため、システムの横幅を拡大す
ることなく、大画面の液晶を実装することができます。
  なお、実装形態としてCOG(注3)やCOF(注4)、TCP(注5)等を品揃えしており、ユーザの様々なニーズ
に対応することが可能です。

 携帯電話やPHSなどの移動体通信機器は、市場の急成長に伴い、さらなる低消費電力化、多機能
化、小型・軽量化および低コスト化が追求されています。一方、多機能化や高付加価値化のニーズに
対応し、小型液晶表示パネルにも、従来の電話番号表示や電話帳機能だけでなく、漢字メッセージ通
信や電子メール、ゲーム、スケジューラ等の付加機能を実現するため、大画面サイズでのグラフィック
表示が必要となっています。
  従来、このクラスでの一般的な1チップ型グラフィック液晶コントローラドライバは、横方向が132ドット、
縦方向が65ドットの表示サイズでした。しかし、携帯電話などの移動体通信機器では、システムの小型
軽量化を図るため、横幅をスリムにする必要があり、グラフィック液晶コントローラドライバで実際に使
用できる表示サイズは96×65ドット程度に限定されてしまいます。この表示サイズでは、16×16ドットの
漢字フォントの場合、6桁4行で24文字の漢字しか表示できず、漢字メッセージ通信や電子メール等の
サービスには十分な対応が不可能でした。

  そこで、当社は、携帯電話などのセットの構造上、比較的実装領域に余裕のある縦方向に表示サイ
ズを拡張し、112×80ドットの大画面で、多くの情報を一括表示できるグラフィック液晶コントローラドライ
バ「HD66728」を開発しました。これにより、12×13ドットの漢字フォントを使った場合、最大9桁6行の54
文字の漢字をまとめて液晶画面内に表示できるため、漢字メッセージや電子メールなどのサービス提
供が容易です。また、量産中の72×26ドットのグラフィック表示「HD66724」、96×26ドットの「HD66725」、
96×42ドットの「HD66726」と同様に、本製品も英数字やカナなどの定型キャラクタも表示することが可
能です。

 本製品は、表示サイズを縦方向に拡大したため、液晶駆動デューティ比が高くなります。一般に、液晶
駆動が高デューティ化すると、液晶駆動電圧の上昇、表示画質の低下、消費電流の増大などの副作用
を伴いますが、本製品では、この高デューティ化による副作用を最小限に抑える仕様を搭載しています。
  例えば、液晶駆動電圧の上昇に対しては、システムの電源電圧から最大5倍の液晶駆動電圧を発生
する昇圧回路を内蔵しました。これにより、3V電源のシステムでは、約15Vの液晶駆動電圧を確保する
ことができます。また、液晶駆動バイアス比をソフトウェアでプログラマブルに設定できるため、オン/オフ
過渡特性に優れた液晶材料を使用することで、バイアス比を低く抑えることができ、液晶駆動電圧その
ものを下げることも可能です。
 また、表示画質の低下を防ぐため、液晶駆動電圧発生用オペアンプの駆動能力を高め、さらに各ドラ
イバの出力オン抵抗を低く抑えました。さらに、液晶画面上で発生するクロストークノイズ(糸引きノイズ)
を低減させるため、大型液晶表示システムで用いられているCパターン液晶駆動方式を採用しました。
Cパターン液晶駆動方式は、複数ラインに一度、液晶の交流駆動を行うことにより、液晶表示の点灯部
分と非点灯部分での交流化周波数を均一化し、交流化周波数の偏差に伴うコントラスト変動を低減する
駆動方式です。
 さらに、低消費電力対策として、画面の一部の表示領域のみを部分的駆動できるパーシャル表示機
能を内蔵しました。画面全体のフル表示時には、トータル消費電力で 420μW(3V動作時)ですが、パー
シャル表示機能で一部の表示エリアのみを選択駆動することで、トータル消費電力を210μW(3V動作時)
に抑えることができます。このパーシャル表示機能を、システムのスタンバイ期間や待ち受け期間に使用
すると、消費電力を約50%削減することができ、長時間のバッテリー駆動が可能となります。

 マイコンとのインタフェースは、クロック同期式シリアルインタフェース、および68系/80系の8ビットまたは
4ビットのバスインタフェースを内蔵しています。内蔵レジスタやRAMへのアクセスは、内部の動作クロック
周波数に依存せず、高速に連続書き込みが行えるため、シリアルインタフェースでも十分な高速データ転
送を実現できます。さらに、キースキャン機能やポート制御機能の内蔵により、3本のシリアルインタフェー
スで、液晶表示とキーマトリクスを含む操作パネル全体を制御できます。そのため、部品点数の削減に加
え、マイコンの入出力ポート数も20ポート以上削減可能で、システムの小型軽量化、低消費電力化、低コ
スト化が図れます。

  実装方法としては、LCDガラスに直接フェースダウンで実装するCOG実装やフレキシブルフィルム基板上
にフェースダウンで実装するCOF実装、LCDガラスとヒートシールを介して接続するTCP実装に対応します。
  また、COG実装時は、実装するガラス面積を最小限に抑え、チップ幅を2.78mmのスリム形状にしています。

 今後は、本製品をベースに、さらに大画面サイズに対応した製品を展開し、ラインアップの充実を図ってい
きます。

注1)グラフィック表示:ビットマップ状の表示RAMを内蔵し、マイコンは各ドット単位の表示データを書き換え
      ることで、漢字やゲームなどの任意の図柄を表示できる。
注2)キャラクタ表示:フォントパターンを発生するキャラクタジェネレータを内蔵し、マイコンは1バイトの文字
      コードを指定するだけで、簡単にキャラクタジェネレータ内のカナ・英数字などを表示できる。
注3)COG(Chip On Glass):金バンプ付きチップをLCDガラス上に直接フェースダウンで実装する方法。
注4)COF(Chip On Film):金バンプ付きチップをフレキシブルフィルム基板に直接フェースダウンで実装する
      方法。
注5)TCP(Tape Carrier Package):薄膜テープ上にチップをマウントしたパッケージ。超薄型実装が可能。

<応用製品例>
・デジタルセルラ(PDC、GSM、CDMA他)、PHS
・メッセージページャ
・簡易携帯端末(電子ウォレット、GPS端末、POS端末など)

<価 格> 
製品名表示サイズ出荷形態実装形態サンプル価格(円)
HCD66728BP112×80ドット金バンプ付きチップCOG、COF600
HD66728TB0ストレートTCPTCP900

                                                                         以  上


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