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News Release

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平成10年7月6日

加入者系光通信システムなどの光源に適した
プラスチックMini-DIL型のレーザダイオード「HL1328DJS」を製品化

-ノーテル社との共同開発により、低価格化および使い勝手の向上を実現−

  日立製作所は、このたび、加入者系光通信システムなどの光源に適した波長1,310nm帯、光出力
0.4mWのプラスチックMini-DIL型(注1)レーザダイオード「HL1328DJS」を製品化し、平成10年9月より
サンプル出荷を開始します。
  本製品は、ノーテル(ノーザンテレコム)社との共同開発品で、ノーテル社の持つSi-V溝技術(注2)を
採用したPassive Alignment方式(注3)と、当社が開発したプラスチック型Mini-DIL技術を組み合わせ、
低価格化および使い勝手の向上を実現しています。

 近年、インターネットの急速な普及などにより、情報通信システムが扱う情報量は大幅に増えてお
り、従来の高周波ケーブルや電波を用いた通信システムから、より大量の情報伝送に適した光通信
システムへの移行が進められています。また、幹線用光通信システムでは、数10Gビット/秒以上の
伝送容量を持つシステムが実用化されています。
 一方、加入者宅への通信システムの光化も進められており、すでに一歩手前である分配装置まで
は光化が始まっています。そして、加入者系光通信システムの光源であるレーザダイオードには、広
温度範囲動作、低価格、小型および取り扱いの容易さが求められるため、いままでは同軸型(注4)の
レーザダイオードが用いられてきました。しかし、同軸型のレーザダイオードは、基板に取り付ける際
にリードを整形する必要があるため、取り扱いが容易で、より低価格のレーザダイオードへのニーズ
が高まっています。

 当社は、すでに加入者系光通信システムの光源用レーザダイオードとして、1,310nm帯の同軸型レ
ーザダイオードを製品化してきましたが、今回、伝送速度622Mビット/秒対応の波長1,310nm帯、光出
力0.4mWのプラスチックMini-DIL型レーザダイオード「HL1328DJS」を製品化しました。

  本製品は、InGaAsP系のレーザダイオードを、シングルモードファイバ付のプラスチック製Mini-DIL
パッケージに納めることで、低価格化を図っています。また、従来、レーザダイオードとシングルモード
ファイバの結合は、レーザダイオードをON状態にし、個々のファイバとの結合の状態を調整しながら
行っていたため、時間がかかるとともに量産化への弊害となっていました。しかし、本製品では、Si-V
溝技術を用い、レーザダイオードとシングルモードファイバを高精度に配置することで、レーザダイオ
ードをONすることなく無調整で結合できるPassive Alignment技術の採用により、量産を容易にすると
ともに、低価格化を実現しています。
 パッケージは、厚さ3mm、長さ13mm、ピン幅7.6mmであり、従来の同軸型パッケージと比較すると、
体積を40%に小型化しており、取り付け場所の制約を受けません。ピン配置は、米国ルーセント社、ノ
ーテル社および当社が共同提案し、業界標準となりつつある8ピンのMini-DILピン配置を採用してい
ます。本ピン配置は、従来用いられてきた14ピンのメタル製DIL型レーザダイオードと同一であり、基
板の配線レイアウトを変更することなく差し替えが可能です。
 動作温度範囲は、従来の同軸型レーザダイオードと同様、−40から+85℃を実現しています。また、
信頼度については、Bellcore983スペック(注5)に準拠しています。

 今後は、「HL1328DJS」をベースに、さらに低しきい値化、高出力化、高速(2.5G)化といった市場ニ
ーズに応える通信用レーザダイオードの開発を行っていきます。また、ノーテル社も、本技術を用いた
製品を投入する予定です。

(注1)Mini-DIL:小型Dual In-Lineの略。普通のICのDIL型と同じピン間隔、幅を持つ。従来のレーザダ
      イオード、モニタフォトダイオード、サーミスタ、クーラ、ファイバを含む14ピンのメタル製DIL型と比
      較し、広動作温度範囲のレーザダイオードを用いてクーラ、サーミスタを不要とすることで、8ピン
      の小型パッケージに納めているため、Mini-DILと呼ばれている。
(注2)Si-V溝技術:レーザダイオードモジュールの組み立て技術の一つ。Passive Alignment方式での組
       み立てを高精度で行うためのファイバとレーザダイオードの結合技術。Si(シリコン)の基盤のV字
       型に作られた溝に、光ファイバをガイドして固定することから、Si-V溝技術と呼ばれる。
(注3)Passive Alignment方式:ファイバとレーザダイオードの結合技術。従来は、Active Alignment方式
       と呼ばれるレーザダイオードを発光させた(通電した)状態でレーザとファイバの結合をとっていたが、
       本方式はレーザを発光させない(通電しない)状態で結合させる方式。この方式により、組み立ての
       合理化が可能になる。
(注4)同軸型:筒型(同軸型)パッケージの総称。同軸型レーザダイオードとは、一般的にレーザダイオー
       ド、モニタフォトダイオード、ファイバを指す。広動作温度範囲のレーザダイオードを用いて、クーラ、
       サーミスタを不要としている。
(注5)Bellcore983スペック:米国Bellcore社がまとめている技術書TA-NWT-000983のこと。同技術書には
       加入者系光通信システムに用いるレーザダイオードに対する信頼度要求が規定されており、事実
       上業界標準のスペックとなっている。

<応用例>
・短中距離、155または622Mビット/秒光通信システム用の光源
・計測機器用光源

<価 格> 
       製 品 名          1,000個ロット時の1個あたりの価格
      HL1328DJS                         8,000円

<ノーテル(ノーザンテレコム)社の概要>
 ノーテル社は世界中のユーザーと協力し、「A World of Networks」のビジョンの基に、情報・娯楽・教育・
ビジネスの各分野において、ネットワークの設計・構築・統合を行い、デジタルネットワーク製品を幅広く取
り揃えています。また、世界中で最も多くのデジタル回線を提供しています。
(1997年度売上高:約155億米ドル、従業員:約73,000名)

<ノーザンテレコムジャパン株式会社の概要>
 1983年、ノーテル社の日本法人として設立。ノーテル社製品の営業販売および支援活動を行っていま
す。また、外国企業として日本電信電話株式会社(NTT)に最も多くの局用変換機を納入しているほか、国
際デジタル通信株式会社(IDC)にも局用交換機を納入しています。
 さらに、日本国内の大手金融企業・製造企業に多数の企業ネットワークソリューションを提供しています。


                
                                                                         以 上


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