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                                                  平成9年3月6日

32ビットRISCマイコンとDSPを融合した「SH-DSP」シリーズの             第一弾として、「SH7410」を製品化

−60MIPSのRISCプロセッサ性能と120MOPSのDSP性能を1チップで実現−

 日立製作所は、このたび32ビットRISCマイコンと音声、画像処理等のデジタル信 号処理を行うDSP(Digital Signal Processor:信号処理プロセッサ)を融合した 「SH−DSP」シリーズの第一弾として、「SH7410 (HD6437410F)」を製品化し、平成9年6月より受注を開始します。  本製品は、60MIPSのRISCプロセッサ性能、および60MHzの汎用DSPと同等以上で ある120MOPS(注1)のDSP性能を1チップで実現しており、搭載機器の処理内容に応 じてCPU性能とDSP性能をフレキシブルに使い分けることが可能です。  また、0.35ミクロンプロセスを採用するとともに、CPUコアとDSPコアの重複する 回路や機能を削除、兼用することにより4mm2の小コアサイズを実現しました。さら に、CPUとDSPの処理命令を1つのプログラムに混在できるため、ソフト設計が容易 となり、デジタルスチルカメラやPDA、カーナビゲーションなど、通信、マルチ メディア、制御分野におけるシステムの小型化、および開発期間の短縮が図れます。  当社の32ビットRISCマイコン「SuperHTM(注2) RISC engineファミリ(SuperH ファミリ)」は、RISCアーキテクチャによる高い制御性能とともに積和演算を行う 乗算器を内蔵しており、音声や画像データ処理、サーボ制御などのデジタル信号処 理を1チップで高速に行えるため、マーケットで高い評価を得ています。  しかし、大量の音声・画像圧縮データをリアルタイムに扱う今後の携帯電話やデ ジタルスチルカメラなどの通信、マルチメディア分野においては、より高度な信号 処理性能が要求されます。そして、これを実現するためには、すでに製品化されて いるSuperHファミリなどのRISCマイコンに1サイクルで積和演算を行う高性能DSP を組み合わせた2チップシステムが必要でした。  また、機器の携帯性やコストパフォーマンスを高めるため、このようなシステム を単に1チップ化しても、RISCプロセッサとDSPとの2つのプログラムが必要となる ことから、ソフトウェアの設計に膨大な時間と熟練を要するといった問題もありま した。  そこで、当社は、高性能のシステム制御と高度のデジタル信号処理性能を必要と するシステムの小型化、ハード・ソフト面での設計効率向上のため、このたびRISC プロセッサと汎用レベルの本格的なDSPを小コアサイズで1チップ化した 「SH7410(HD6437410F)」を製品化しました。  本製品は0.35ミクロン・アルミ3層プロセスを採用し、RAM8kバイト、ROM48kバイ トを内蔵しています。「SH-2」の命令セットを継承し、3V時に60MIPSの高性能 でシステム制御を行います。また、DSP性能の向上を図るため、ハーバードアーキ テクチャ(注3)の採用により、内部バスを従来のシングルバスから3バスに増強し、 積和演算を従来の3サイクルから1サイクルで実行可能としました。このためデジタ ル信号処理は60MHzクロックの汎用DSPと同等の120MOPSを実現しています。  さらに、DSPには欠かすことができない、1サイクルでメモリアクセスと演算を行 うDSP並列命令と、オーバーヘッドなしのリピート命令(注4)、モジュロ・アドレス 機能(注5)を内蔵しています。  本製品をデジタルスチルカメラに用いた場合、640×480ドットのVGA(注6)画面を わずか0.36秒で圧縮できる(Y:Cr:Cb=4:1:1の場合)など、ソフトだけで高速に JPEG(注7)処理が行えます。また、PHS携帯端末の主要な信号処理であるADPCM (注8)音声圧縮を、「SH7410」処理能力の1/6の10MIPSで実現可能なため、 残りの50MIPSを使用して通信制御など各種機能を実現できます。  このように、フルにDSP性能を使う信号処理プログラムに対し、本製品は従来の SuperHファミリの約3倍のDSP性能を発揮しており、さらに機器の処理内容にあわ せCPU性能とDSP性能をフレキシブルに使い分けることが可能です。  今回の「SH−DSP」コアは、RISCとDSPコアを融合し、重複する回路や機能 を削除、兼用させることで、0.35ミクロンプロセスにより4mm2と小コアサイズを実 現しています。また、2つのコアの命令を単一のソフト環境で書けるため、RISC +DSP混在システムでのソフト設計面の高速化・簡易化も図れます。  一方、「SH-1」、「SH-2」と完全上位互換の命令体系であり、シングルチ ップ・マイコン並みの周辺回路および外部メモリインタフェースを装備しているた め、従来のSuperHユーザのソフト資産を活かしたまま、60MIPSの高性能RISCシ ングルチップマイコンとして使用できます。さらに、汎用DSPの性能、機能を必 要に応じて容易に追加することが可能です。  本製品のパッケージは、LQFP176ピンパッケージを採用しています。  また、開発環境としては、開発クロスソフト、エミュレータ「E8000」、お よびJTAG(注9)シリアルインタフェース準拠エミュレータ「E10」によるシ ステムサポートを行います。さらに、41種の信号処理ライブラリをCコンパイラ に組み込んでの提供や、応用ソフトウェア(ミドルウェア)の供給も行なっていきま す。  今後の「SH-DSP」シリーズの展開としては、内蔵メモリ容量の拡充を図り、 キャッシュメモリ、フラッシュメモリ版も順次製品化していく予定です。また、マ ーケットニーズに合わせ、「SH-DSP」命令の強化、周辺機能の充実も図ってい きます。  SuperHファミリとしては、フィールドプログラマビリティを実現するフラッシュ 内蔵版の展開や、スーパースカラ構成で300MIPSを目指す「SH-4」を製品化して いきます。 (注1)MOPS(Mega Operation Per Second):1秒間の演算処理回数を百万単位 (Mega)で表現したもの。     1加算、1乗算などを1演算と数える。 (注2)SuperHTM:SuperHは(株)日立製作所の商標です。 (注3)ハーバードアーキテクチャ:命令用のバスとデータ用のバスを独立に持つ アーキテクチャ。 (注4)リピート命令:繰り返し回数、繰り返しプログラム領域を指定した上で自動 的に所定の繰り返しを実行する命令。RISCにはないが、汎用DSPではほぼ全 てのものが内蔵しており、信号処理の高速処理に不可欠な命令。 (注5)モジュロ・アドレス機能:データアドレスを決められた領域で循環させる 機能。     DSPのデジタル・フィルタ演算等に必要。 (注6)VGA(Video Graphics Array):米国IBM社がパソコンに使用したグラフィッ クス表示規格。    普及型ノートパソコン画面の主流であり画素数は640×480ドット。 (注7)JPEG(Joint Photographic (coding) Experts Group):カラー静止画像の 圧縮・伸張方式の国際標準規格。 (注8)ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation):差分を利用し た音声の代表的なデータ圧縮・伸張方式。 (注9)JTAG(Joint Test Action Group):IEEE1149.1に規定されたバウンダリ・ スキャン・テスト規格。    高速プロセッサの中には本規格に準拠したシリアル・デバッグ・インタフェ ースを設けるものが多い。 <応用製品例> 「通信機器」 ●PHS(音声圧縮伸長、チャネル・コーデック、プロトコル制御、システム制御) ●デジタルセルラ(音声圧縮伸長、チャネル・コーデック、プロトコル制御、システ ム制御) ●モデム(変復調、チャネル・コーデック、プロトコル制御、システム制御) 「民生」 ●デジタルスチルカメラ(高速ソフトJPEG画像圧縮処理、カメラ処理、システム 制御) ●電子楽器(PCM音源、エフェクタ、システム制御) ●マルチメディア機器(音声/画像圧縮伸長、音声応答/認識、システム制御) ●デジタルオーディオ放送(OFDM復調、MPEGオーディオデコード) 「情報・OA機器」 ●FAX(FAX画像圧縮処理、モデム、システム制御) ●HDD(高速サーボ制御、システム制御) ●PDA(音声/画像圧縮伸長、音声応答/認識、通信、システム制御、データ処理) 「産業/自動車」 ●FA、NC(シーケンス、サーボ制御) ●カーナビゲーション(音声認識/応答機能、高精彩静止画ディスプレイ機能付加等) ●自動車(ノッキング制御、アクティブ・サスペンション、ノイズキャンセラ) 他 <価 格> 製 品 名 10k個ロット時の単価(円) HD6437410F 2,500                              以 上


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