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2002年6月21日
 
日立の論文がJ of Electrochemical Societyの中で引用件数第2位に
−Electrochemical Societyが100周年行事で発表−

    世界有数の学術論文誌“J of Electrochemical Society”を発行するElectrochemical Society創設100周年記念行事として“引用件数TOP25”の論文(引用データは調査が可能となった1945年以降)が発表されました。その中で、1986年に掲載された日立製作所中央研究所(所長:西野壽一)の論文“Low Temperature Surface Cleaning of Si for MBE”1)が第2位となりました。この論文は、現在も多くのMBE(分子線エピタキシ)やSTM(走査型トンネル顕微鏡)の研究者が使う“シリコン表面の清浄技術”に関するものです。

    日本からは、他には25位に大阪市立大学の論文が選出されているのみです。また、1位の論文が1942年、3位、4位が1957年と40年以上前に掲載された論文であることから、本論文が短期間で世界中の多くの研究者に引用されていることがわかります。

【論文の内容】
    シリコンMBEの研究では、原子レベルで清浄なシリコン表面が必要です。しかし、炭素汚染を取り除くためには、超高真空中で1200℃という極めて高い温度でシリコンを加熱する必要がありました。この結果、非常に大掛かりな過熱設備が必要なうえ、あまりに高熱を与えるために冷却過程でシリコン結晶にひずみや欠陥が発生することが問題となっていました。
    ところが、この論文の登場によって、原子レベルで清浄なシリコン表面を、800℃の加熱で得られるようになりました。この方法は、何度か酸化とエッチングを繰り返して、炭素汚染を保護する適切な酸化膜を形成し、その酸化膜を超高真空中で加熱して除去する方法です。酸化膜の除去は、炭素よりもずっと低い800℃で実現できますから、加熱装置も簡単で、何よりひずみや欠陥が生じないのです。しかも、論文を読めば、誰もが同じことができるので、多くの研究者に引用され、シリコン表面清浄化の標準技術となりました。最近では、原子表面を観察するSTMの研究者にも多く使われるようになっています。 

    このように、本論文は、全世界のシリコン表面の研究者が共通に使う技術に関するもので、学術論文を通して、科学技術の進展に大きく貢献したものと言えます。今後も、コアコンピタンス(中核)となる技術をいち早く開発し、21世紀の産業の進歩に貢献すべく取り組んでいく方針です。

1) Low Temperature Surface Cleaning of Silicon and Its Application to Silicon MBE, A. Ishizaka and Y. Shiraki, J. Electrochem. Soc.,133, 666 (1986).

以 上

   



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