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2002年4月15日
 
次世代携帯電話のマルチメディア・アプリケーション処理に最適な  
SuperHモバイル・アプリケーションプロセッサ「SH-Mobile」を製品化
− 高機能で高性能な次世代携帯電話のアプリケーション処理を快適に動作可能 −
SH-Mobile(SuperH Mobileアプリケーションプロセッサ)「SH7290」
上段:CSP-256 下段:CSP-240

  日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたび、次世代携帯電話システム向けに、マルチメディアのアプリケーション処理を高速に実行するSH-Mobile(SuperH Mobile Application Processor)シリーズを製品化しました。第一弾として「SH7290」を製品化し、2002年5月より量産を開始します。
  本製品は、携帯電話システムのベースバンドLSIと接続して、音声や動画などのマルチメディア・アプリケーションを専用に処理するプロセッサです。CPUコアとして、32ビットRISCマイコンSuperH(注1)ファミリのマルチメディア携帯機器向けに「DSP機能」を搭載した「SH3-DSP」を内蔵し、加えて、各種マルチメディア・アプリケーションを実現するのに必要な周辺機能やインタフェースを搭載しています。本製品を使用することで、ベースバンドLSIに処理負担をかけずに、アプリケーションの高速な処理を実現できるうえ、アプリケーションの開発をベースバンドLSIの通信処理と分離して行なえるため、多彩なマルチメディア・アプリケーションを搭載する次世代携帯電話システムを、短期間で容易に開発することができます。さらに、アプリケーションの開発用プラットフォームおよびミドルウェアを用意しており、ソフトウェア開発も効率良く短期間で行なうことが可能です。

  近年の携帯電話システムは、単なる会話機能以外に、電子メールやインターネットのブラウザなどの機能が搭載され高機能化が図られています。次世代携帯電話システムでは、ゲームや動画配信を始めとする更に高機能で多彩なアプリケーションが搭載され、拡大する傾向にあります。従来、各アプリケーション処理は、通信処理を行なうベースバンドLSIを兼用することで対応していました。このため、ベースバンドLSIは、通信処理で必要な性能に加えて、アプリケーション処理ができる性能が必要ですが、今後の高機能なマルチメディア・アプリケーションをスムーズに動作させるためには、LSIの性能を飛躍的に向上しなければならないなどの問題があります。さらに、ベースバンドLSI用のプログラムは、次世代通信対応の処理とマルチメディア対応アプリケーションの処理を行なわなければならないため、プログラムは大容量化し、複雑になります。このため、システム開発は複雑化し、プログラムデバッグなども含め開発期間は長くなり、開発コストの増加を招きます。さらに、国内市場における携帯電話のモデルチェンジは半年程度と短期間化しており、開発期間の増加は、製品のタイムリーな市場投入が困難になるなどの問題も予想されます。

  当社は、この問題に対して、ベースバンドLSIとは別に、アプリケーションの処理を専用に行なうプロセッサを用意することが、システム開発の容易化およびシステムの性能向上を実現できるソリューションと捉え、SH-Mobileシリーズとして製品化しました。第一弾製品の「SH7290」は、デジタルスチルカメラ等のマルチメディア携帯機器向けに適したSuperHファミリのCPUコア「SH3-DSP」を搭載し、動作周波数は133MHzです。特長は以下のとおりです。
<特長>
(1) 専用インタフェースで各種ベースバンドLSIと接続でき、通信方式の異なる携帯電話への適用が可能。
  専用インタフェースにより、本製品を種々のベースバンドLSIに容易に接続可能。これにより、システム構成としてアプリケーション処理部を分離し、複雑化するマルチメディア・アプリケーションの開発だけを独立して行なうことが可能。ベースバンドLSIからは、本製品をプロセッサではなくSRAM相当と認識するため、ベースバンドLSIでの制御が簡便であり、システム全体の開発を迅速にかつ容易に行なうことが実現可能。そして、通信処理は接続するベースバンドLSIで対応するため、日本でのPDC(Personal Digital Cellular)や欧州でのGSM(Global System for Mobile Communications)、さらに、次世代携帯電話でのCDMA2000 1x(注2)やW-CDMA(注3)など、通信方式が異なる携帯電話システムであっても適用可能。

(2) 大容量メモリの内蔵により、高速なアプリケーション処理を実現。
  アプリケーション処理用に、1サイクルでアクセス可能な128Kバイトの大容量RAMを内蔵。さらにCPUのキャッシュメモリは、SuperHファミリでは最大容量の32Kバイトを搭載。これら大容量メモリの搭載により、Java(注4)のプログラムやMPEG-4(注5)での動画処理、MP3(注6)などの音声処理によるアプリケーションを高速に実行可能。

(3) 低消費電力化の実現により、本製品追加によるシステムの消費電力増加を抑止。
  携帯電話システムにおける待ち受け時間の長時間化のため、スタンバイモードとして、電源をモジュールごとに遮断可能な機能を搭載。本機能で、待ち受け時に動作不要な回路の電源を遮断することにより、約5μA(typ.)の低スタンバイ電流を実現。これにより、本製品追加による携帯電話システムの消費電力増加の抑止を実現。

(4) 多様な周辺モジュールやインタフェースを搭載。さらに開発用プラットフォームにより、アプリケーションプログラムの開発が容易。
  本製品は、動画像処理を高速に実行するハードウェアの画像アクセラレータやカメラモジュールに直結可能なインタフェース、AND型やNAND型のフラッシュメモリとのインタフェースなど、次世代携帯電話で必要な多様な周辺モジュール及びインタフェースを搭載。さらに、開発用プラットフォームとして、キーボードや小型のLCDパネル、さらに超小型カメラを搭載したプラットフォームを用意しているため、マルチメディア対応の各種アプリケーションプログラムを容易に短期間で開発することが実現可能。

(5) マルチメディア対応の豊富なミドルウェアにより高機能なアプリケーションの早期開発が可能。
  マルチメディア・アプリケーションを実現するうえで必要な、MPEG-4、JPEGやMP3などの他、パートナーベンダーとの協力により豊富なミドルウェアを用意。たとえば、ブラウザ機能として株式会社ACCESSの「Compact NetFront」(注7)、組込み用Javaプラットフォームとして株式会社アプリックスの「JBlend」(注8)、3次元表示として株式会社エイチアイの「Mascot Capsule Engine」(注9)、動画像圧縮伸張技術として株式会社オフィスノアの「Nancy Codec」(注10)、地図描画用として株式会社ナビタイムジャパンの高速ベクトル地図描画エンジン「Mviewer」(注11)などが対応。これにより、ユーザは目的に応じた高機能なアプリケーションを短期間で開発することが可能。

  パッケージは、小型のCSPを採用し、0.65mmピンピッチのCSP-240および0.5mmピンピッチのCSP-256を用意しています。
  本製品を使用することで、マルチメディア・アプリケーションを搭載する次世代携帯電話システムの短期間での開発が実現可能であり、開発コストの低減を図れます。さらに、今後のサービスの多様化やサービス内容の変更にともなうアプリケーションの開発や変更に対しても迅速に対応することができます。

 今後、本製品を携帯電話分野におけるデファクトスタンダード化を進めるとともに、携帯電話システムにおける更なる高機能化に伴ない、マルチチップモジュール品への展開や、高機能化に伴なう性能向上や機能強化を図った製品など、市場のニーズに対応した製品の開発を進め、ラインアップの拡充を図ります。

(注1) SuperHは、(株)日立製作所の商標です。
(注2) CDMA2000 1x:CDMA (符号分割多重接続)方式を利用した第3世代携帯電話の通信方式の一つ。
(注3) W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access):第3世代携帯電話の通信方式の一つ。
(注4) Java及びJava関連の商標及びロゴは、米国Sun Microsystems, Inc.の商標です。
(注5) MPEG-4(Moving Picture Experts Group phase 4):動画像を圧縮するための規格の一つ。
(注6) MP3(MPEG-1 Audio Layer 3):音声圧縮方式の一つ。
(注7) Compact NetFrontは、(株)ACCESSの日本もしくはその他の国における登録商標もしくは商標であり、小型情報携帯機器向けの高速マイクロブラウザです。
(注8) JBlendは、(株)アプリックスの日本およびその他の国における商標または登録商標で、拡張性の高い組み込み向けJavaプラットフォームの総称です。
(注9) Mascot Capsuleは、(株)エイチアイの登録商標です。Mascot Capsule Engineは、3Dで製作した画像を、携帯電話機上でリアルタイムに動作させるソフトウェアエンジンです。
(注10) Nancy Codecは、(株)オフィスノアの開発した動画像の圧縮伸張処理負担の軽いコーデックです。
(注11) Mviewer:(株)ナビタイムジャパンの携帯電話などの小メモリ端末に実装可能な軽量ベクトルビューワです。

■応用製品例
●マルチメディア・アプリケーションを搭載する次世代携帯電話端末

■価 格
製 品 名 動作周波数 パッケージ 1万個ロット時の価格
(円/個)
SH7290 HD6417290BP133 133MHz CSP-240 2,500
HD6417290BL133 133MHz CSP-256 2,600

■仕 様
 項 目 「SH7290」仕 様
 製品名 HD6417290BP133 HD6417290BL133
 CPUコア SH3-DSP
 電源電圧 内部:1.4〜1.6V , 外部:2.7〜3.6V
 動作周波数 133MHz
 処理性能 173MIPS
 内蔵RAM 128Kバイト
 キャッシュメモリ 32Kバイト
 X/Yメモリ(DSP用) 16Kバイト
 内蔵周辺機能  ・DMAC×6チャネル
 ・MMU
 ・USBファンクション(USB規格 v1.1対応)× 1チャネル
 インタフェース  ・専用インタフェース(ベースバンドLSI接続等)
 ・NAND/AND型フラッシュメモリインタフェース
 ・ビデオI/O(カメラモジュール直結インタフェース)
 ・マルチメディアカード*1インタフェース
 ・SIMカードインタフェース
 ・キースキャンインタフェース
 ・I2Cインタフェース
 ・シリアルインタフェース× 2チャネル
 ・FIFO付シリアルインタフェース× 2チャネル
 ・調歩同期式シリアルインタフェース× 2チャネル
 パッケージ  240ピンCSP
 (13mm×13mm 0.65mmピンピッチ)
 256ピンCSP
 (11mm×11mm 0.5mmピンピッチ)
*1)マルチメディアカード: MultiMediaCardは、独Infineon Technologies AGの商標であり、MMCA(MultiMediaCard Association)にライセンスされています。
日立はMMCAのボードメンバーです。http://www.mmca.org/

以 上



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