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2002年1月31日
株式会社 日立製作所
電源開発株式会社
事業用火力発電所大型補機用モータ向けの
大容量高圧ダイレクトインバータシステムを開発
   株式会社 日立製作所(取締役社長:庄山 悦彦/以下、日立)は、このたび、電源開発株式会社(取締役社長:中垣 喜彦/以下、電源開発)と共同で、世界で初めて事業用火力発電所の大型補機用モータ向けの大容量高圧ダイレクトインバータシステム(電圧6.6kV/容量 8,250kVA/以下、本システム)を開発し、電源開発竹原火力発電所3号機(広島県竹原市)にて実証試験を開始しました。
   本システムは、常時一定回転数で運転しているモータにインバータを導入することで、発電機の出力に応じてモータの回転数を調整し、余分な動力の低減を図るものです。本システムを火力発電所用のボイラの誘引通風機(*1)(以下、IDF)に導入した場合、IDFの消費電力が50%負荷運転時には約70%、100%負荷運転時には約20%低減(*2)でき、CO排出量の削減や運転コストの低減が図れます。

   電力会社では、通常、昼と夜、平日と休日、季節などの要因による電力需要のピーク、ボトムに応じた発電出力の調整を火力発電所の運用により行っています。こうした出力調整は、大型ファン、ポンプの出力調整用ダンパや弁を絞ることで制御しており、駆動用モータは、発電出力に関係なく、一定の回転数で運転しています。このため、発電出力が低い運転の場合、出力調整用ダンパや弁による流量の絞りが大きくなり、大量の電気エネルギーの損失が発生しています。

   環境意識の高まりから電力会社には「環境」「省エネルギー」への対応は急務になっており、発電出力に応じて大型ファンやポンプのモータの回転数を可変することで、消費電力を削減したいというニーズが年々高まっています。しかし、従来のインバータは、出力が低圧であるため、高圧モータに適用するには変圧器で昇圧する必要があり、インバータシステム効率が低下することから、発電所への導入は進んでいませんでした。

   本システムは、電圧、容量が最大級のモータでも変圧器で昇圧せずに対応できる大容量高圧ダイレクトインバータを採用することで、消費電力量を大幅に削減できるほか、モータの回転数を下げる運転となるため騒音や振動の低減が図れます。また、大型電動機の起動時の突入電流が低減されるため、所内系統の安定化が図られ、電動機への電気的・機械的な衝撃が低減されるなどの効果を併せ持っています。
   さらに、インバータに故障が発生しても、自動的にモータの駆動電源をインバータシステムから、インバータをバイパスした電源系統に切り替えることができるバックアップ方式を採用することで、公共性の高い発電所の運転に支障を来たさないようにしました。
   火力発電所は、火炉内で安定かつ安全な燃焼状態を維持する必要があることから、IDFの吸い出すガス量を調節することで、火炉内の圧力を一定の規定値に保っています。この制御は、従来、IDF入口のダ ンパのみで行っていましたが、本システムの導入にあたり、安定した火炉の圧力制御と省エネルギー効果を両立させるため、IDF入口のダンパ制御とモータの回転数制御を併用した方式を開発したほか、IDFのモータ駆動電源を切り替える際に発生するボイラの圧力変動を最小限に抑制する制御回路もあわせて開発しました。

   日立では、本システムのさらなる省エネルギー効果の検証、IDFモータ回転数の最適制御方式の確立を目的に、電源開発と共同で、2002年10月まで実証試験を継続する予定です。

■注釈  
   *1 IDF(Induced Draft Fan):燃焼ガスをボイラ火炉から吸い出すファン
   *2 下記IDF1台当りの消費電力比較グラフ参照

  IDF 1台当りの消費電力比較    
     *発電所の規模や設備、運転方法によって数値は異なる。

以 上




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