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SPECIAL TALK 先輩社員 経営に深く広くコミットし、日立のビジネスの舵を取る。 Rei Takaki SPECIAL TALK 先輩社員 経営に深く広くコミットし、日立のビジネスの舵を取る。 Rei Takaki

高木 玲

経理財務

高木 玲財務マネジメント本部 経理部 
連結決算グループ/
2003年入社
経済学研究科 経済史・地域経済専攻 修了

グローバルメーカーの経営を理解する為、経理へ。

「経営に触れられる仕事がしたい」。私の就活はこの気持ちから始まりました。実は大学院生の頃、経済政策の研究者になろうと思ったことがあります。しかしたとえ政策を打ち出せても、最終的な実践者は事業をドライブしているプレーヤー。ならばと、ビジネスの世界で生きる道を選びました。そして、会計視点から経営に直結する数値情報を分析し、経営・事業戦略の策定と実行を支援できる経理職は企業経営を知るのに最適な仕事。経理体制が万全であるはずのグローバルメーカーを志し、その中で光って見えたのが日立でした。多様で広大なグローバルプレーヤーとしての事業領域は、自分を磨く機会に満ちていると直覚しました。

現在の私は本社経理として、日立グループ全体の連結決算を担当しています。仕事の中で接する数字のスケールは、想像もできないほど大きいものでした。例えば2016年3月期の連結売上高は約10兆円。この規模感自体が稀有な醍醐味のひとつです。とはいえ、いきなりグループ会計のプロフェッショナルとして価値を発揮できるはずもありません。まずはコンピュータ部門の事業部に在籍し、工場の経理からキャリアをスタートさせました。以後10年以上、事業部の原価管理・業績管理・予算作成・決算業務・監査対応など幅広い仕事に従事。入社直後は特定の製品を担当するかたちで年間100億円規模の決算を、次に年間1,000億円規模の事業部全体の決算を、そして年間6,000億円規模の事業部全体の決算を取りまとめました。また、5〜6年目には欧州トップランクのビジネススクールであるスペインのIESEへ社費留学。MBAを取得することができました。

事業部経理時代に、私は日立の経理の特徴や魅力を知りました。例えば経営上の最重要課題ともいえる予実算管理を、経営企画部門でなく経理部門の仕事と明確に位置付けていること。経営層への提言機会が豊富で、最終的な方針決定に反映されるケースが多いこと。ボトムアップの文化があり、若い社員の提言も求められること。事業部主導で進めるM&Aが多く、連結決算への取り込みをはじめとするPMI(組織統合)推進で本領を発揮できるのはもちろん、財務デューデリジェンス(対象企業の財務調査)に携わることも可能なこと。実に活躍領域が広大でした。

高木 玲

視座が高まった“日米4拠点の組織統合”。

私の礎は事業部経理の仕事で築かれましたが、中でも思い出深い経験があります。それは4つの事業所を統合し、一元的な経営情報管理体制を確立するというプロジェクトでした。3つが国内、1つがシリコンバレーにある事業所です。国内の事業所同士の統合でさえ、一体で運営できる管理体制を構築するのは大変なこと。業態も違えば文化も異なり、業務プロセスや管理手法の違いも大きいからです。日米横断で新たな管理体制を構築し、さらに情報システムも連携させるのは、ハードルの高いチャレンジでした。

そもそも日米では会計基準も異なり、税法で認められる経理処理の範囲も違います。例えば同じ“販売管理費”という項目でも、その定義や含まれる対象が変わってくる。会計情報ひとつひとつの取り扱い方も違う中、共通の業務プロセスを立ち上げるには非常に労力が要りました。言葉の壁に加えて経営スタイルの違いもあり、米国側とは会話が一言目から噛み合いませんでした。しかも経理担当者だけでなく、CEOやCFOなどエグゼクティブ層とも共通認識を形成する必要があります。ピーク時には毎月のように出張してFace to Faceのコミュニケーションに尽力。現地での経営会議にも積極的にオブザーバー参加。こうした積み重ねの末に共通認識を形成でき、あるべき管理体制を築けました。

CEOの考えを直接聞く機会に恵まれたことも貴重な経験でしたが、経理という仕事の本質を痛感できたことが収穫でした。思えば学生時代は、数字を凝視するイメージばかり抱いていたものです。しかしおそらくそれ以上に、立場や価値観が異なる多様な人たちとコミュニケーションを図ること、さらにその上で人に動いてもらうことが、特に日立の経理では重要なのだと心底から理解できました。

高木 玲

次なる日立のビジネスの成長のために。

前述のように現在の私は本社に在籍し、9兆〜10兆円規模のグループ決算を取りまとめています。有価証券報告書を作成し、日立の営業成果を外部へ公表する財務会計業務にも従事。さらにグループ会計方針の作成や、M&Aに伴う企業結合会計も推進しています。グローバルに約900社あり、かつ業種が多様な連結子会社の財務状況を取りまとめる経験自体、なかなか得られるものではありません。各社への負荷にも配慮しながら、グループ会計基準に則ったポリシーを策定して世界中へ展開することも、大変ですが日立ならではの経験だと思います。

また、私は各国に広がる子会社のガバナンス強化も統括しています。これは外部の会計監査人との共同体制で推進していますが、実はかなりユニークな取り組みで、企業としての社会的責任を誠実に実践する日立らしさが表れています。ガバナンスの実効性を最大化するべく、日立では監督機関である監査委員会・内部監査部門である監査室と外部の会計監査人が強く連携し、“三様監査”を進めているのです。企業責任を全うするための先進的な取り組みを、実践していることの一例だと思います。

私は今後こうした共同体制の上で、日立のビジネスのグローバル展開のため、さらなるガバナンスのレベルアップに挑みたいと考えています。そしてやはり同じ目的のため、M&AのディールやPMI(組織統合)のその先を見据えて、新たなコアビジネスを立ち上げる支援をしたい。事業部と本社で経理を一通り経験してきた私は、次なるチャレンジテーマをそのように掲げています。

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