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摩擦攪拌接合(FSW)

 〜 最近話題の技術について研究者が語ります 〜

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平野 聡 (ひらの さとし)
日立製作所 日立研究所 〔1987年入社〕
専門分野:接合技術

材料を溶かさずに接合する FSW と呼ばれる新接合技術の研究をしています。 この接合方法を使うと、従来の溶融溶接と比較して接合後の変形が小さい、接合部の強度が高い等のメリットがあります。 鉄道車輌や自動車部品など、高い信頼性が要求される接合部に適用され始めています。

Q1: FSWはどういう接合技術ですか?

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A1: FSWは Friction Stir Welding の頭文字を取った通称です。日本語では、摩擦攪拌接合と呼ばれています。

接合工具または接合ツールと呼ばれている、円柱状の部材を回転させながら、材料に押し付けます。このとき接合工具と材料との接触面で摩擦熱が発生します。 これにより、材料の温度が上昇して軟化し、材料が変形しやすくなります。

変形しやすくなった材料は接合工具の回転力で混ぜ合わされて、材料が接合されます。 材料が溶けていないため、接合後の変形が小さく、また、接合部の金属組織は微細な等軸粒組織となるため、機械的強度にも優れているという特徴があります。


Q2: どんな製品に使われているの?

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A2: 10年ほど前から、日立製作所グループの様々な製品に使われるようになってきました。材料としては、溶融溶接すると欠陥が発生しやすいアルミニウム合金や溶接しにくい銅合金です。

写真は接合線が3次元的に曲がっている、蒲鉾型部材の例です。

製品としては、鉄道車輌やスパッタリング装置の部品、オートバイのブレーキやリチウム電池などに使われています。 鉄道車輌ではN700系新幹線などにも使われています。どこが接合されているのか、是非、見つけてみてください。


Q3: 普通の溶接と何が違うの?

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A3: Q1にもありますが、材料を溶かさない所が一番の違いです。溶かさないため、固まるときに生じる凝固収縮がありません。また接合時の最高温度が溶融溶接よりも低く、室温まで温度が下がるまでの、温度の低下量が小さくなります。このため、最終的に変形が小さくなります。

接合中に眩しい光(閃光)や火花、煙が出ないので、クリーンな環境で作業ができます。