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Hitachi

企業情報研究開発

2018年2月1日

発表者からのレポート

2017年12月6日から8日までの3日間、宮城県仙台市にある仙台国際センターにて、The 24th International Display Workshops(IDW '17)が開催されました。本国際会議は、ディスプレイ、ウェアラブルデバイスに関する光学技術やそれらの活用方法などを含む、幅広い領域のセッションが集まる国際会議です。参加者は約1200人で、462件の論文が集まりました。日立製作所からは合計4件の口頭発表を行い、筆者は「Bi-Functional Automotive Headlamps for Adaptive Driving Beam and Low Beam realizing Achromatic Illumination by using a Light Guide」と題して、ハイビーム照射領域の部分領域を適応的に点消灯するAdaptive Driving Beam(ADB)に対応したハイビーム/ロービーム一体型車載ヘッドランプユニットの光学系について発表を行いました。


図1 光学系構成
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図2 設計アイデア1
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提案したヘッドランプユニットは、LED、導光体(ハイビーム・ロービーム)、投射レンズから構成されています(図1)。ハイビーム光学系は、ADBを実現するため、アレイ状に並べたLEDを点消灯制御する方式を採用し、LED光を効率良く照射するため、導光体を用いて光を伝搬させる構成としました。さらにハイビーム/ロービーム一体型光学系とするために、ロービーム光学系も導光体を用いた構成としました。ここでロービームは、UN/ECE規格にて複雑な配光分布が要求されるため、発表ではロービーム用導光体の主な設計アイデアを3つ報告しました。

1つ目は水平方向の配光分布の形成方法です。ロービームは、自車近傍の歩行者を照らすため、水平方向に広い配光分布が求められます。水平方向にLEDを複数個並べ、かつ各LEDの光束量と配置間隔、および導光体の各種形状パラメータを最適化することで、水平方向を広く照射する配光分布を実現しました(図2)。2つ目は垂直方向の配光分布の形成方法です。UN/ECE規格では、配光分布の中央(道路遠方に相当)を明るく照射する必要があることが規定されています。そこで、導光体の上面の傾斜を変化させて出射面を大きくし、光線密度を変化させることで垂直方向の配光分布を実現しました(図3)。3つ目は光利用効率の改善です。導光体の出射面にフレネル構造を付加することで、光利用効率を8%改善しました(図4)


図3 設計アイデア2
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図4 設計アイデア3
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ヘッドランプユニットのプロトタイプを作ったところ、設計値と測定値が良く一致し(図5)、UN/ECE規格も満足することを確認しました。また投射レンズに単レンズを使用する場合、一般に色収差が発生するため、従来のヘッドランプユニットではカットオフラインの色にじみが課題となっていました。今回の導光体を用いた光学系では、構成上、レンズの色収差が出やすい軸外の光線の量を従来に比べて少なくできることから、カットオフラインの色にじみを大きく低減できることを確認しました(図6)


図5 ロービームの評価結果
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図6 カットオフラインの色にじみ低減
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今後は、灯具メーカと議論を進めながら、製品適用に向けた開発を行う予定です。

(長吉 真弓    記)

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