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2017年5月10日

発表者からのレポート


写真1 発表風景

2017年4月4日から7日までの4日間、フランスのリールで、国際会議RailLille2017 -7th International Conference on Railway Operations Modelling and Analysis- が開催されました。RailLille2017は鉄道に関する分析、モデリング、スケジューリングなどの分野における世界トップレベルの学会であり、2年に1度開催されます。出席者は総勢約200名でフランス、ドイツ、スウェーデンなど欧州からの発表が過半数を占め、次いで日本、中国、インドなどのアジアからも複数の発表がありました。

今回、わたしたちは「A Customer-oriented Rescheduling Simulator for Large-scale Train-service Disruptions」と題し、JR東日本殿との共著で、鉄道輸送障害時のスケジューリング案を評価するシミュレーション技術に関する口頭発表を行いました(写真1)


図1 乗客不満の定義
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図2 提案シミュレータの概要
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東京首都圏の鉄道は高密度かつ厳格に運行管理されています。その一方で、人身事故などによる大規模な輸送障害が社会問題となっています。輸送障害によってダイヤの乱れが発生した場合、鉄道指令員は乗客への影響を最小限に抑えつつ、平常ダイヤへの回復手配を迅速に行う必要があります。しかし、これらの手配は鉄道指令員の経験と勘に依存するところが大きく、これまで定量的な評価を行えていませんでした。そこでわたしたちは、平常時と輸送障害時の乗客の移動時間の違い(移動損失時間)に着目し、SCORE (Scale for customer-oriented railway evaluation) という定量的な評価指標を開発しました[1-3](図1)

本発表では、鉄道指令員が実施した再スケジューリング案の評価を定量的かつ高速に行うための、シミュレータを提案しました(図2)。開発したシミュレータを用いることで、鉄道指令員は乗客にとって最も理想的な再スケジュール案を評価することが可能となります。提案シミュレータでは、輸送障害時の再スケジューリングダイヤおよび乗客データをシミュレーションに活用します。鉄道指令員が作成した改善案に対して乗客流シミュレーションを実施し、SCOREを算出することで、改善案を定量的に評価することができます。評価作業の効率化のためには、高精度かつ高速なシミュレーションを行えることが重要です。今回、実際の輸送障害14件を対象に精度評価を行い、85%の精度で乗客の移動損失時間を計算できることを確認しました。また、実際の路線を対象として200万人の損失時間を十数秒で計算できることも確認できました。今後は、輸送障害時の鉄道指令員の業務支援をめざし、さらなる精度向上に取り組みます。

(山城 昌雄    記)

関連論文

  • [1] 角田史記, 加藤学, 大塚理恵子, 助田浩子, 大関一博, "交通系ICカードを利用した鉄道輸送障害時の影響を定量化する方法の研究," 情報処理学会論文誌, vol.6, no.3, pp.187-196, 2013.
  • [2] Fuminori Tsunoda, Masao Yamashiro, Rieko Otsuka, Manabu Kato, Hiroko Sukeda, and Kazuhiro Ozeki, "Customer-Oriented Evaluation Method of Railway Performance", In: Proceedings of The 6th International Conference on Railway Operations Modelling and Analysis (RailTokyo2015), 2015.
  • [3] 角田史記, 高安洋, 山城昌雄, 大塚理恵子, 助田浩子, "鉄道における輸送障害定量化システムSCOREの展開", 電気学会産業応用部門大会講演論文集, No.5-S4-3, pp.61-64, 2016.
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