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企業情報研究開発

レンズレスライトフィールドカメラにおける接写技術

International Symposium on Imaging, Sensing, and Optical Memory 2017にて発表

2017年11月29日

発表者からのレポート


写真1 発表風景

2017年10月22日から25日の4日間にかけて、島根県松江市にある松江くにびきメッセにて、International Symposium on Imaging, Sensing, and Optical Memory 2017 (ISOM'17)が開催されました。本国際会議は、光メモリ、画像・計測の広い領域を対象とし、今回は41件の講演と39件のポスター発表がありました。日立製作所からは、口頭およびポスター合わせて5件の発表を行い、筆者は「レンズレスライトフィールドイメージングにおける接写技術」についての発表、ならびに開発したレンズレスカメラを用いて接写のデモを行いました(写真1)

レンズレスライトフィールドイメージングは、レンズの代わりに同心円のパターンを印刷したフィルム(Fresnel zone aperture, FZA)を用いて、動画撮影後のピント調整を可能にするカメラ技術です(図1)。本技術を用いることで、カメラの薄型軽量化が実現できるだけでなく、撮影後に任意のピント位置で動画を再生できます。薄型である特長を活かしつつ、本技術の適用先を広げるため、狭い場所での撮影や極近傍の対象物の撮影を可能とする接写技術の開発を行ってきました。


図1 システム構成
拡大図


図2 接写の問題点
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初期実験によって、FZAと被写体までの距離が3 mm以内と非常に近接した距離にある物体の撮像では、接写特有の強いノイズが問題となることがわかりました(図2)。そこでわたしたちは、ノイズの原因が画像センサ上で検出される輝度ムラに起因すると考え、差動検出により輝度ムラを除去する技術(フリンジスキャン)を開発しました。具体的には、位相が180°異なる(パターンの白黒が反転する)FZAを用いてセンサ画像を取得し、それぞれを減算することによって輝度ムラを平滑化し信号成分を取り出します。シミュレーションと、異なるパターンの表示が可能な液晶FZAを用いた実機によって、本技術がノイズの除去に有効であることを示し、2 mmの接写が可能であることを確認しました(図3)。また、複数のFZAを配列した複眼FZAにより、接写時に視野を拡大できることも確認しています(図4)


図3 接写ノイズの除去
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図4 視野の拡大
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今回は、講演だけでなく、ポスター発表の会場において実機を用いたデモを行いました。参加者と直接議論することができ、貴重なご意見をいただくことができました。結果として、The Best Paper Award としてご評価いただけたことをうれしく思います。今後は、実用化に向けた画質の向上と新しいアプリケーションの開発を行っていきます。

(佐尾 真侑    記)

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