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企業情報研究開発

2017年2月17日

発表者からのレポート

2017年1月8日から10日まで、ICCE2017 (International Conference on Consumer Electronics) がアメリカのラスベガスにおいて開催されました。ICCEは毎年1月に行われるIEEE Consumer Electronics Societyのフラグシップカンファレンスであり、世界最大の家電見本市であるCES (Consumer Electronics Show) との併催学会です。今年で35回目を迎えるICCEは、口頭発表が139件、ポスター発表が58件、基調講演が5件ありました。


写真1 発表風景

今回、わたしたちは「Walkthrough-Style Multi-Finger Vein Authentication」のタイトルで口頭発表を行い、歩きながら手をかざすだけで高精度な本人認証が可能な指静脈認証技術に関する研究成果を報告しました(写真1)。近年、国際的なテロ犯罪の増加に伴い、イベント会場や大型公共施設でのセキュリティチェックが厳格化しています。一方で、本人確認のために多くの利用者が集中し、長い待ち時間が発生してしまうという問題があり、短時間でのスムーズかつ正確な本人認証が重要となっています。生体認証技術は体の一部を用いるため、忘却や紛失のリスクのない本人認証技術であり、最近ではスマートフォンなどの一般的なコンシューマ製品に採用されるなど、多くの注目を集めています。


図1 提案装置の構成および外観
拡大図



図2 認証システムの概要
拡大図

本発表では、偽造が非常に困難という特長を持つ指静脈を利用し、高精度かつ簡単な操作で認証可能なウォークスルー型の生体認証技術を提案しました。提案する指静脈認証装置は、利用者が操作しやすいユーザーインターフェイスとなっており、歩きながら容易に手をかざすことができます(図1)。また、手の位置や姿勢の変動による認証精度の低下に対しては、同時に取得できる複数の指の静脈パターンを利用することで高精度化を実現しました(図2)。指静脈の撮影においては、距離センサを用いて検知した指の高さや位置に応じて瞬時に複数光源の点灯制御を行うことで、複数の指の静脈パターンを同時に取得することが可能です。さらに、距離カメラと近赤外カメラを効率的に組み合わせることで、近赤外画像中の指静脈領域の位置を高精度に特定する技術を提案しました。試作機および認証システムを実際に実装し、実験により、歩きながらでも認証可能な認証応答速度と、高い認証精度を確認しました。

今後は、空中で静止していない状態の手の認証や、さまざまな姿勢の手の認証、大規模データを用いた精度評価といった実用化に向けた取り組みが課題となります。

(松田 友輔    記)

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