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企業情報研究開発

2017年10月31日

発表者からのレポート

2017年10月1日から5日までの5日間、アメリカのナショナルハーバーにおいて、ECS (Electrochemical Society) 会議が開催されました。ECS会議は、創立115年の歴史を持つアメリカ電気化学会が春と秋の年2回開催している大きな国際会議です。リチウムイオン電池、燃料電池や腐食、防食といった電気化学関連のテーマを中心に、ウェハ洗浄やエッチングなど半導体ナノ構造の製造プロセスまで、幅広い分野の研究成果が報告されます。第232回目となる今回の会議には、開催国である米国を中心に、日本を初め欧州、韓国、台湾など世界各国の研究者が参集し、2300件以上の研究発表がありました。


図1 IoT社会で求められる半導体デバイス
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今回わたしたちは、"Thermal Cyclic Atomic-Level Etching of Nitride Films: A Novel Way for Atomic-Scale Nanofabrication"というタイトルで、わたしたちが新たに開発した、原子層レベルの制御性で窒化膜をエッチングする技術について招待講演を行いました。今回開発した技術により、窒化シリコンや窒化チタンなどの窒化膜を、縦方向および横方向へ、原子層レベルの制御性でエッチングすることが可能になります。この技術を用いることで、モノのインターネット (IoT: Internet of Things) 社会を実現するための中核を担う、微細な三次元構造を持つ半導体デバイスを製造することが可能となります。

モノのインターネット (IoT) の普及が進み、2020年には、家電や車両など500億個以上の物がネットワークに繋がると予測されています。これに伴って、データ処理を担う半導体集積回路には、回路性能の向上とメモリ容量の増大が求められています。このため集積回路の微細化と三次元化が進められており、最小加工寸法が10ナノメートルを切る世代が実用化を迎えようとしています。さらに微細化と三次元化の進む今後の半導体製造プロセスには、縦方向および横方向に原子層レベルの制御性でエッチング加工する技術が求められます(図1)

これに対してわたしたちは、名古屋大学および日立ハイテクノロジーズとの共同研究により、三次元NAND型フラッシュメモリのゲート電極やハードマスクなどに用いられる、窒化チタンや窒化シリコンなどの窒化膜を、原子層レベルの制御性でエッチングする技術を開発しました。本技術では、窒化膜の表面にフルオロカーボン系のプラズマを照射してアンモニウム塩からなる反応層を形成する工程と、赤外光を照射して反応層を熱脱離させるサイクルを繰り返す独自の手法を用いています(図2)。この技術により、微細な三次元構造を持つ、次世代の集積回路を製造することが可能になりました(図3)。今後、この原子層レベルエッチング技術を半導体製造装置として製品化することにより、IoT社会の発展に貢献いたします。


図2 原子層レベルエッチング装置およびプロセス
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図3 原子層レベルエッチングのサンプル加工写真
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関連論文

  • K. Shinoda, N. Miyoshi, H. Kobayashi, M. Kurihara, M. Izawa, K. Ishikawa, and M. Hori, "Thermal Cyclic Atomic-Level Etching of Nitride Films: A Novel Way for Atomic-Scale Nanofabrication", ECS Transactions, 80 (3) pp. 3-14, September 2017.
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