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企業情報研究開発

2016年10月31日

発表者からのレポート


図1 作物収量予測技術
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2016年9月25日から29日までの4日間、SPIE REMOTE SENSING 2016が、イギリスのエジンバラにて開催されました。SPIE REMOTE SENSING は、年1回開催されるリモートセンシング技術の国際会議です。近年の衛星、ドローン利用の期待の高まりにより世界的な注目を集め、多数の研究者、科学者、エンジニアが参加します。今回の会議は11個のカンファレンスから構成されています。

日立は、ブラジルのカンピーナス大学との共同研究を行い、サトウキビの糖度予測技術(図1)を開発しました。その研究成果を、SPIE REMOTE SENSING 2016 - Remote Sensing for Agriculture, Ecosystems, and Hydrologyにおいて、「Dynamics modeling for sugarcane sucrose estimation using time series satellite imagery」と題した口頭発表を行いました。

近年、衛星搭載センサーの空間分解能、波長分解能の高度化が進み、より詳細な圃(ほ)場情報を取得できるようになりました。また、多くの衛星をコンステレーション運用することで、波長情報は限られるものの時間間隔が短いデータを取得できるようになります。そのため、これまで以上に多様かつ大量のデータの取得が可能になり、これらのデータの組み合わせによる新たな価値が期待されています。


図2 営農支援ソリューション
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日立は、衛星画像を利用した収量予測技術の実用化に向けて、ブラジルでの農業IT事業立ち上げを考えています。ブラジルは、世界最大の砂糖生産・輸出国であり、サトウキビはバイオ燃料としても注目されているため、穀物に加えてサトウキビを対象とした解析を進めています。ブラジルでは農場が非常に広大であり、常時監測による適切な育成、管理コストの削減、収量・糖度予測による売り上げ向上を実現するため、低解像度衛星画像を利用する分析手法が考えられていますが、分析精度が低いことが実用化の障害となっています。本研究では、サトウキビの糖度予測に取り組み、異なる解像度の時系列衛星画像を利用して、バイオマスと糖度のピーク時期が異なる現象に着目した作物生長モデリング手法を開発しました。その結果、糖度予測精度を従来手法に比較して9.6%向上し、90.4%の予測精度を達成しました。

本研究は生育モデルの導入により、さまざまな環境要因を表現できる手法を開発したものです。今後は、さらに多種多様のデータを分析して、リモートセンシングを利用した農業解析の基盤をなす技術(図2)として開発を進めます。本開発技術が、世界の食糧問題・環境問題の解決の一助となるよう発展させていきたいと思います。

(趙 G    記)

関連論文

  • Matsuoka, S.; Stolf, R. 2012. Sugarcane Tillering and Ratooning: Key factors for profitable cropping, in: Sugarcane: Production, Cultivation and Uses. pp. 137-157.
  • D.C. Fontana et al., "Assessing the relationship between shire winter crop yield and multi-temporal MODIS NDVI and EVI images" The national biennial conference of the spatial Sciences Institute, September, 2005. Melbourne: Spatial Science Institute.
  • Paul C.D., et al., "Operational prediction of crop yields using MODIS data", 2007 International Archives of Photogrammetric, Remote Sensing and Spatial Information Sciences Special Publications.
  • Yoriko Kazama et al., "Development of soybean yield prediction system by SSD-hierarchical Bayesian model"
  • Yu Zhao et al., "Crop growth dynamics model using time-series satellite imagery"
  • HongWei Zhang, HuaiLiang Chen, "The model of wheat forecast based on MODIS-NDVI- A case study of Xinxiang. " ISPRS Annals of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences, Volume I-7, 2012 XXII ISPRS Congress, 25 August - 01 September 2012, Melbourne, Australia.
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