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Hitachi

企業情報研究開発

2016年1月13日

発表者からのレポート


図1 IMESのコンセプト
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2015年12月11日から13日にかけて名古屋において、制御系システムインテグレーションに関する国際会議IEEE/SICE International Symposium on System Integration 2015 (SI International; SII) がIEEEと公益社団法人 計測自動制御学会の主催で開催されました。

本会議では、約250名の研究者が企業や大学から参加し、制御技術、ロボティクス技術、ネットワークシステム制御、ハードウェア、ソフトウェア、システムインテグレーションなど多岐にわたって活発な議論を行いました。若手の研究者の発表が多く見受けられたのは特に印象的でした。

日立製作所研究開発グループからは2件の発表があり、筆者は「Development of IMES Signal Transmitters」と題して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提案し、GPS/GNSS受信チップを用いた屋内外シームレス測位を実現する屋内測位システムであるIMES方式(図1)の信号送信機(以下、IMES送信機)の開発に関する発表を行いました。


図2 開発したプロトタイプIMES送信機
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近年、GPS/GNSS受信チップを搭載したスマートフォンは市場が拡大している位置情報サービスのプラットフォームとなっています。しかしながら、GPS/GNSS衛星からの信号が届かない屋内や地下街ではGPS/GNSSで自分の位置がわからないので、別の測位システムが必要となってきます。

そこで、筆者らは、GPS信号と互換性があるため一部のGPS/GNSS受信チップで標準搭載され、屋内測位インフラとして普及への期待が高まっているIMES方式に注目し、IMES送信機の開発を行いました。

このIMES送信機は、従来のIMES送信機の課題であった水晶発振器のコスト、ユーザビリティ、送信機設置後のパラメータ設定を解決するために、 HP-TCXO水晶発振器の採用と中心周波数調整機能、ユーザビリティを向上させるためにGPS用RHCPアンテナの代替として専用開発した1/2 λ波長ホイップアンテナの搭載、IEEE 802.15.4無線によるパラメータ設定に対応しました(図2)


図3 IMESにおけるマルチパス問題
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図4 提案するIMES送信空間タイバーシティ方式
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さらに、屋内測位システムの共通課題であるマルチパス問題に対しIMES対応のGPS/GNSS受信チップは影響を受けやすいことがわかったため(図3)、アベイラビリティを向上させるための送信空間ダイバーシティ方式を提案しました(図4)。その方式に対応したIMES送信機を開発し(図5)、ショッピングモールにおける実証実験を行って有効性を示しました(図6)


図5 開発した提案方式のIMES送信機
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図6 実験環境および結果
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本発表の技術の一部を搭載したIMES送信機は既に日本国内の公共施設や病院などに導入され使用されています。

略号

IEEE: Institute of Electrical and Electronics Engineers
GPS: Global Positioning System
GNSS: Global Navigation Satellite System
JAXA: Japan Aerospace Exploration Agency
IMES: Indoor Messaging System
HP-TCXO: High-Precision Temperature Compensated Crystal Oscillator
RHCP: Right-Hand Circularly Polarized wave

(川口 貴正    記)

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