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企業情報研究開発

2016年12月5日

発表者からのレポート

2016年10月24日から10月28日の5日間、沖縄コンベンションセンタにおいてInternational Symposium on Antennas and Propagation 2016 (ISAP 2016) が開催されました。ISAPはアンテナ、電波伝播、電磁界理論など、電磁波関連の技術分野を対象とした国際会議で、本年度は638件の発表がありました。筆者は「Direction-of-Arrival Estimation with Lüneburg Lens and Metamaterial Absorber」と題して、ルネベルグレンズと周波数可変型のメタマテリアル型電波吸収体を組み合わせた電磁波の到来方向推定手法について発表しました。


図1 電磁波到来方向推定のコンセプト
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近年、センサと無線通信技術を活用してあらゆる場所のデータを収集・分析するIoTサービスが増加しています。これら収集データの欠落を防ぐためには、無線通信の品質を高める必要があり、他の無線機器との干渉抑制や、設置現場におけるノイズ源の位置を特定する技術が求められています。

従来、電磁波の到来方向推定には、アレーアンテナと到来方向推定アルゴリズムを組み合わせた手法が用いられてきました。これらの技術は、電磁波の到来角度を高精度で推定することが可能ですが、一方で複雑な計算を要し計算負荷が増大するという課題があります。そこで、複雑な計算を要しない手法として、光の到来方向を認識できる人間の目に着目し、水晶体と類似した機能を持つ電波レンズと網膜の役割をする電界センサで構成した電磁波源の位置特定技術を開発しました(図1)

本技術では、電磁波の到来角に応じて異なる位置に焦点を結ぶルネベルグレンズの焦点位置にメタマテリアル型電波吸収体を配置し、電磁波吸収体上で検知される電磁波の干渉パターンから到来方向を推定します。さらに、電波吸収体上に生じる電磁波の理論的な干渉パターンと実測結果の干渉パターンの相関をとることで、到来方向推定精度の向上を実現しました(図2)。本方式では2GHz〜3GHzの周波数帯域において、角度推定精度2度以下で電磁波の到来方向推定が可能であることを原理検証機による実測により確認しました(図3)


図2 電磁波吸収体上での電磁波の干渉パターンと相関アルゴリズム
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図3 電磁波の到来角度推定誤差
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関連論文

[1]
R. K. Luneburg, Mathematical Theory of Optics, pp. 182-188, University of California Press, 1964.
[2]
A. Ohmae, I. Hoda, U. Paoletti, W. Li, T. Suga, H. Osaka, "Electromagnetic Wave Source Visualization System with Luneburg Lens," 2014 International Symposium on Electromagnetic Compatibility, pp. 286-289, Tokyo, 2014.
[3]
S. Yagitani, K. Katsuda, M. Nojima, Y. Yoshimura, and H. Sugiura, "Imaging radio-frequency power distributions by an EBG absorber," IEICE Trans. Commun., vol. E94-B, pp.2306-2315, 2011.
[4]
J. M. Bell, M. F. Iskander, "Equivalent Circuit Model of an Ultrawideband Hybrid EBG/Ferrite Structure," IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters, vol. 7, pp. 573-576, 2008.
[5]
Y. G. Soskind, Field Guide to Diffractive Optics, SPIE Field Guides, pp. 3-13, 2011.
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